養生テープとは
養生テープは、マスキングテープのひとつです。マスキングは「覆い隠す」「包み込む」といった意味があります。
マスキングテープは、金属表面処理のマスキング材料として使用されます。用途別に分類すると、塗装用と電気メッキ用の2種類に分けられます。
しかし、養生テープは、主に荷運びのときに建造物の保護材として使用されます。そのほかの用途としては、工事における建材の保護や塗料のはみ出し防止、仮止め、一時固定として利用されています。近年、色合いも豊富ですが、これは剥がし忘れを防止する目的があります。
養生テープの使用用途
養生テープは、コンクリート工事におけるせき板部を対象とした養生材料としても使用されています。養生は、コンクリートに所要の性能を付与するための重要な工種です。
コンクリートの硬化過程で、セメントの水和が継続されるように、温度や湿度をしっかりと管理する必要があります。コンクリートは、若材齢時に緻密な硬化組織が形成されていません。したがって、大気中に水分が一散しやすいです。この問題を解決するために、型枠の存置期間を延ばしたり、直接外気にコンクリートの表面がさらされる場合は、被膜養生剤を用いて表面を保護するなど、さまざまな対策が講じられています。
しかし、工期におよぼす影響や被膜効果に影響することから、型枠に代わるせき板部の養生材料としてコンクリート表面に直接貼り付けて、乾燥を防止する養生用保水テープが開発されました。
この研究と適用効果の検証は「コンクリート工学年次論文集. Vol. 24. No. 1. 2002」に掲載されています。
養生テープの原理
養生テープは、一般にクロスタイプとフィルムタイプが販売されています。養生テープは、表面の基材と裏面の粘着剤で構成されています。また、利便性を向上させるために下塗り層や背面処理層を設けている製品も販売されています。
クロスタイプは、基材が縦糸と横糸を交互に重ねており、強靭なつくりですが、どこからでも手で切ることができます。
フィルムタイプは、基材が縦糸のみで、柔軟なつくりです。しかし、横糸がないため、文字が書きやすく、表面も平滑です。
養生テープに限った話ではないですが、テープが物体に張り付くためには、分子レベルで近づく必要があります。物が接着するのは、分子と分子の間に電気的な力が作用し、お互いを引きつけるためだといわれています。この力を分子間力と呼びます。そして、この力の代わりを担っているのが、粘着剤です。
粘着剤は、固体の表面にある凹凸を液体や液体に近い物質の代わりとして、なじむことで接着します。よって、テープを貼る被着体によくなじむテープ(粘着剤)を選ぶことが重要です。