ノナンとは
ノナンとは、化学式C9H20で表され、異性体が35種類存在する有機化合物です。
中でも、直鎖上の構造を持つもののみを指してノナンと呼ぶ場合が多いです。ノナンは炭素数9の直鎖状アルカンで、無色で油状の液体です。常温で甘い芳香を持ち、水に不溶、エタノールに可溶です。
工業的には、ナフサを分留することで得られます。実験室では、ノナン酸をヨウ化水素やリンとともに加熱するなどの方法で合成可能です。
ノナンは、主に石油産業や化学工業で利用されます。塗料や樹脂、脂肪、ワックスの抽出や希釈に有用です。また、ガソリンやディーゼル燃料の一部として使用されることもあります。
可燃性で引火点は31℃と比較的低いため、高温や火気に注意が必要です。また、吸入や皮膚への接触、目への刺激があります。取り扱う際は、適切な保護具や換気が必要です。
ノナンの使用用途
ノナンは、主に石油産業や化学工業で利用されます。生分解性洗剤の原料や有機溶媒として使用されることが多く、有機溶媒として塗料や樹脂、脂肪、ワックスの抽出や希釈にも有用です。
また、ガソリンやディーゼル燃料の一部として、実験室では非極性溶媒として使われることがあります。なお、ノナンは原油の分留によって150℃~270℃の範囲で得られるケロシンと呼ばれる重油に含まれています。
ケロシンは、触媒の作用によって分解するクラッキングという反応を行い、水素添加によって還元するなどの操作を行った後、さまざまな燃料として使用されます。最も一般的な用途は、家庭などで使われる灯油です。そのほか、ジェット燃料などに使われる場合もあります。
ノナンの性質
ノナンは、炭素数9の直鎖状アルカンで、無色で油状の液体です。分子式はC9H20で、9つの炭素原子が直鎖状に結合し、それぞれの炭素原子は2または3つの水素原子と結合しています。
常温・常圧下では無色で油状の液体で、甘い、特徴的な石油臭があります。沸点は150.8℃ 、融点は-53.6℃、比重は0.718g/cm³で、水より軽いです。極性が非常に低いため、水にほとんど溶けませんが、ヘキサン、エーテル、クロロホルムなどの非極性有機溶媒にはよく溶けます。
また、酸化剤、還元剤、塩基、酸などの極性試薬に対して反応性が低いです。ただし、強力な酸化剤と接触すると反応し、燃焼を引き起こすことがあります。
ノナンの構造
ノナンは直鎖状のアルカンで、9個の炭素原子が連なっている構造を持ちます。飽和炭化水素であり、非極性です。
なお、分子式はC9H20です。ノナンは直鎖状アルカンであるため、炭素原子は一直線上に連なり、構造異性体は存在しません。化学的には安定で、強い酸や塩基に対しては反応性が低いです。
ノナンのその他情報
ノナンの製造方法
ノナンは、石油を原料として、複数の方法で製造されます。
1. 石油精製
ノナンは、石油の精製過程から直接得られます。原油は、さまざまな炭化水素の混合物で構成されており、これを蒸留によって異なる沸点を持つ成分に分離します。
ノナンは、留出物から分離される軽油 (石油エーテルやナフサなど) に存在する物質です。分別蒸留により、ノナンを他のアルカン類や成分から分離することができます。
2. 触媒的分解
触媒的分解は、石油精製過程で炭化水素の大きな分子を小さな分子に分解する方法です。この過程では、通常は酸性ゼオライト触媒の存在下で、炭化水素の高分子量成分が熱分解されます。
3. アルキル化
イソブタンとオレフィンとの反応を酸触媒存在下で行うことで、より大きなアルカン分子を生成する方法です。例えば、イソブタンとヘキセンを反応させることで、ノナンが生成される場合があります。
しかし、この方法は珍しく、実験室レベルで報告されている手法に留まります。
4. フィッシャー・トロプシュ法
合成ガスを触媒の存在下で反応させて、ノナンや他のアルカン類を生成する方法です。炭素数の異なるアルカンが生成されるため、後続の分別蒸留によって、ノナンを得ることができます。