トルクヒンジ

トルクヒンジとは

トルクヒンジ

トルクヒンジとは、扉の開閉などで使用されるヒンジの1種です。

ヒンジ部分に機構が設けられており、単純な扉の開閉軸としての機能以外にも、開閉を補助する付加機能を持っています。例えば、大きくて重たい蓋を閉める際に、蓋の重さで勢いよく蓋が閉まってしまうのを防ぐ機能です。

このような機能は、ヒンジとは別の部品でつけることもできますが、機能をヒンジに組み込むことで、設計上の手間やスペースを有効に活用できます。また、別部品が付かないため、デザインがすっきりするなどの効果も期待できます。

トルクヒンジの使用用途

トルクヒンジは、さまざまな機械のカバー類、工作機械や計測機器などのモニターや照明の角度調整に使用されています。住宅建材のドアにも用いられますが、これはドアがゆっくりと開閉することによって、高級感を演出できるからです。

トルクヒンジの原理

トルクヒンジには、いくつかの構造があります。代表的な構造は、以下の3つです。

1. ばね付きタイプ

ばね付きタイプのトルクヒンジが使われるのは、重い扉を少ない力で開閉させたい場合や扉が開きっぱなしにならないように、強制的に扉を閉める場合などです。

ばね付きタイプの原理は、ヒンジの中心軸周りにねじりコイルバネが挿入されており、常に片側に力が加わるようになっています。開く方向に取り付けることで、重たい扉を開くときの補助となります。

反対に、閉じる方向に取り付けると、開けた扉を自動で閉めることが可能です。

2. ダンパー付きタイプ

ダンパー付きタイプのトルクヒンジは、扉をゆっくりと開閉させたい場合に使用します。扉の開閉する際に、誤って指を挟まないようにするのが目的です。

ダンパー付きタイプのトルクヒンジには、ヒンジの中心にロータリーダンパーなどの減衰力を得られる機構が設けられています。ただし、あくまでダンパーなので、機能は動作速度を制限するのみです。

組み込まれるダンパーは両方向に効くものと、片方向に効くものがあります。両方向に効くものは、開けるときにもダンパーが効いてしまうので、片方向に効くものが使いやすいです。

3. トルク調整式タイプ

トルク調整式タイプのトルクヒンジは、扉の位置や液晶ディスプレイ、照明などの角度を固定するために使われます。ヒンジの中心にディスクタイプのトルクリミッタのような機構を備えており、扉にトルクリミッタよりも大きな力が加わらない限り、扉の角度は変化しません。

必要になるトルクの大きさは、扉の重さと用途によって変わるので、多くのものはトルクの調整機構が設けられています。調整値によってはダンパータイプと同じように、動作速度を制限する働きもあります。

ただし、あくまでブレーキのような構造のため、扉の開閉途中で止まってしまい、速度制限の用途には向いていません。

トルクヒンジのその他情報

1. トルクヒンジの長所

トルクヒンジの長所は、主に以下の3つがあります。

作業効率が向上する
例えば、自動車のトランクやハッチバックのように収納箱の上面が蓋になっている場合、扉を手で支えておかなくても蓋が開いた状態を保つことができます。

デザイン性が高い
扉の動きを止めるためのステーが不要なので、すっきりとしたデザインになります。また、ステーによって収納スペースなどが削減されることもありません。

安全性が高くなる
重たい蓋が急に閉まり、手指などが挟まれてしまうような事故を防ぐことができます。

2. トルクヒンジの付加機能

トルクヒンジには扉などをゆっくり動作させるだけでなく、以下のような付加機能もあります。

ワンウェイトルクヒンジ
例えば持ち上げて開く扉の場合、扉を閉める方向にだけトルクが発生し、持ち上げる動作にはトルクが発生しません。

調整機能付きトルクヒンジ
調整機能付きトルクヒンジは、扉の重さや操作感に応じて、扉に発生するトルクの大きさを調整できます。

ディテントトルクヒンジ
ディテントトルクヒンジは、扉をぴったり閉めたい場合に有効です。常にトルクが発生するとスプリングバックによって、扉の締まり際に扉が開く方向にトルクが発生してしまいます。 (スプリングバック)

ディテントトルクヒンジなら、扉の締まり際にトルクが解放されて、スプリングバックが生じません。

参考文献
https://www.takigen.co.jp/products/list/12090

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