アセトアルデヒド

アセトアルデヒドとは

アセトアルデヒドの基本情報

図1. アセトアルデヒドの基本情報

アセトアルデヒド (Acetaldehyde) とは、有機化合物の一種で、化学式 C2H4Oで表されるアルデヒドです。

IUPAC命名法による名称は エタナール (Ethanal) であり、他の名称には酢酸アルデヒド、エチルアルデヒドなどがあります。CAS登録番号は、75-07-0 です。

分子量44.05、融点-123℃、沸点20.1℃であり、常温では無色透明の液体です。果実臭がありますが、高濃度ではむせる様な腐敗臭とされます。密度は0.790g/cm3 (10℃) であり、水、及び、エタノールジエチルエーテルなどの溶媒に極めて溶けやすい物質です。25℃における水への溶解度は1kg/L です。

アセトアルデヒドの使用用途

アセトアルデヒドの主な用途には、酢酸やアルデヒド類をはじめとする種々の有機化合物製造原料、防かび剤、防腐剤、溶剤、写真現像用薬品、燃料配合剤、還元剤、医療用薬品などがあります。

合成原料としては、ペンタエリスリトール・クロトンアルデヒド・グリオキザール・ピリジン・ラクトニトリル・酢酸などの合成に用いられています。

アセトアルデヒドの原理

アセアルデビド の原理を製造と化学反応などの観点から解説します。

1. アセトアルデヒドの製造

アセトアルデヒドの工業的合成

図2. アセトアルデヒドの工業的合成

アセトアルデヒドは、工業的にエチレンのワッカー酸化によって得られています。また、エタノールの酸化によっても製造されています。

2. アセトアルデヒドの化学反応

アセトアルデヒドの化学反応

図3. アセトアルデヒドの化学反応

産業で用いられるアセトアルデヒドの大部分は、ティシチェンコ反応による酢酸エチルの工業的合成に用いられています。この反応では、アルコキシドを触媒として、アセトアルデヒド2分子がカルボン酸とアルコールとに不均化し、脱水縮合によって酢酸エチルが合成されます。

以前は酢酸の合成原料としても利用されてましたが、現在ではメタノールアセチレンからの直接合成の方が効率的であるため、あまり利用されなくなりました。

3. アセトアルデヒドの化学的性質

アセトアルデヒドは沸点が20.1℃と低い、揮発性の物質です。アセトアルデヒドには、ケト-エノール互変異性があります。すなわち、ビニルアルコールと平衡状態にありますが、常温における平衡定数は 6 × 10−5であることから、ほとんどはケト型の構造です。

引火点が-38 ℃と低いため引火性が高く、燃焼範囲は極めて広いとされます。また、空気と接触すると爆発性過酸化物を生成する可能性がある物質です。酸素、塩化コバルト、五酸化二窒素、塩素酸水銀、過塩素酸水銀、硝酸銀過酸化水素との接触によっても爆発の恐れがあります。

微量の金属 (鉄) の存在下においては、酸、アルカリ性水酸化物の作用により重合する可能性がある物質です。更に、アセトアルデヒドは還元剤としての作用があるため、酸化剤、強酸、ハロゲン、アミンと激しく反応した場合に、火災や爆発の危険をもたらします。

以上の危険性から、消防法では、 第4類引火性液体、特殊引火物に定められています。その他にも、PRTR法、労働安全衛生法をはじめとする種々の法令で規制を受けている化合物です。

4. アセトアルデヒドと人体

独特の臭気と刺激性を持ち、自動車の排気やたばこの煙、合板接着剤などに由来する大気汚染物質でもあります。アセトアルデヒドを大量に曝露することにより、発がんリスクが上昇するという有害性も報告されています。シックハウス症候群などの原因物質の一つです。

人体においては、エタノールを摂取した際に肝臓でアルコール脱水素酵素によって生成され、体内で生成したアセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素によって、酢酸へと代謝されます。

アセトアルデヒドは、二日酔いの症状を引き起こすことで有名な物質です。アセトアルデヒドの代謝は、人種・体質によって生まれつき差異があり、飲酒に関係する体質はこれに由来しているとされます。

アセトアルデヒドの種類

現在製品として市場に流通しているアセトアルデヒドは、研究開発用の試薬製品や、工業用有機合成の原料として販売されています。

試薬製品については、100mL , 500mL , 1L , 500gなど、実験室で取り扱いやすい容量の種類があります。沸点が低いことから冷蔵保管が必要な試薬です。

工業用薬品としては、14kgのキャニスター缶などの容量があります。大型容量で提供されていることが一般的です。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/75-07-0.html

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