L型クランプとは
L型クランプとは、アゴの片側をスライドさせてある程度の距離を詰め、最後にハンドルを回してネジを締めて材料を固定するタイプのクランプです。
クランプは、締め具などとも呼ばれる、材料を作業台などに固定する工具を指します。本体バー (腕) の形状がアルファベットの「L」に見えるため、L型クランプと呼ばれます。
また、腕とスライド部分とを合わせた形状がアルファベットの「F」に見えるため、F型クランプと呼ばれることもあります。
L型クランプの使用用途
L型クランプは、一般のDIYから土木建築、家具製造、板金、鉄工業などの専門的な組み立て作業や加工作業まで、幅広く使用されます。L型クランプは、材料を切断したり、穴を開けたり、接着させたりする加工において、材料を固定する工具です。材料をしっかり固定することで、作業の効率や正確の向上につながります。
クランプには、L型以外にもC型、G型、ラチェットタイプ、バネ型などさまざまです。それぞれに特徴がありますが、L型クランプは腕の部分をスライドさせることができるので、厚みのある材料を固定する作業に適しています。
L型クランプの原理
L型クランプは、L字型になっている本体バー (腕) のアゴと、スライド可能なアームのアゴをアームを移動させることによって、材料を挟みます。アゴとアゴの間のことを口開きと呼びますが、口開きの幅をアームにあるハンドルを回して狭めることによって、アゴ同士を締め付け、材料を強力に固定します。
L型クランプは、スライドできるアームがあることによって、素早く材料に合わせて口開きの幅を調節することが可能です。C型クランプのようにネジを締める動作だけで口開きを調節する必要がないので、C型クランプよりは強度が劣りますが、作業効率の面では優れています。
L型クランプの種類
1. スタンダードタイプ
スライドアームを上下させ、口開きの調節を行います。ハンドルはグリップタイプのものが多いです。
2. 強力タイプ
スライドアームのハンドルがT型になっており、強い締め付けが可能です。また、スライドアームのアゴ部分が六角形になっているものは、ハンドルを閉めてから、六角レンチでさらに締め付けることができます。
3. ワンタッチタイプ
スライドアームのハンドルがラチェット構造になっており、レバーを倒すことによりワンタッチで締め付けられます。
L型クランプの選び方
L型クランプには、「最大口開きサイズ」と「ふところの深さ」の組み合せで、さまざまなものがあります。
1. 最大口開きサイズ
最大口開きサイズは、100mmから600mm程度まで幅広いサイズがあり、挟む材料の厚さで決めます。本体バーの長いL型クランプの方が高い汎用性を持ち、対応可能な口開き幅の範囲は広くなりますが、必要以上に本体バーの長いものを選択すると取扱いしづらくなり、また収納場所をとられることになるため、適当な長さのL型クランプを選択することが大切です。
2. ふところの深さ
L型クランプのふところの深さは、最大口開きサイズに対して、3分の1から半分程度のサイズが一般的です。深型と呼ばれるもので、最大口開きサイズと同サイズ程度です。ふところの深さは、材料を挟む位置を想定して決めます。重い材料を浮かせて固定するときなど、より深い位置で材料を挟みたいときは、ふところのサイズが大きいものを選択します。
3. 本体バー (腕) の太さや材質
本体バー (腕) の太さや、材質がスチール製や、ニッケルクロムメッキ、鋳鉄製のものがあり、強度が違ってきます。
4. ネジを回すハンドルのタイプ
ネジを回すハンドルはC型クランプと同じ、てこの原理で開閉できるT型ハンドルと、ドライバーのようなグリップタイプがあります。強くネジ締めしたいときはT型、微調整をしながら締めたいときはグリップタイプなど、作業性を考慮してハンドルタイプを選択すると良いです。