ベルトレンチとは
ベルトレンチ (英: belt wrench) は、パイプや缶の蓋など円筒状のものにベルトを巻き付けて外したり締めたりする工具です。
ベルトは繊維質とゴム質のものがあり、いずれも摩擦力が高いです。主に引っ掛かりがなく手では滑ってしまうものを回す際や、固くなって握力だけでは開けられなくなった蓋を開ける場合に用いられいます。
柔らかい材質のベルトを使用するため摩擦力はありますが、メッキコーティングされたパイプやステンレス管、ビニールパイプなどを傷つけません。
ベルトレンチの使用用途
ベルトレンチの特徴は一般的な工具では回すのが難しい対象物でも、傷つけることなく締めたり緩めたりできる点です。身近な場所では、瓶や缶の蓋など固く締まったものを開ける際に役立ちます。
家庭用としての用途のほか、自動車整備でプーリーを固定したり、固着して動かないオイルフィルターを回す際などにも用いられます。設備工事では、水道配管の組み立てに使用可能です。ベルトレンチのベルトの幅や長さ、本体サイズは様々なものがあり、使用用途に合わせて適したものを選択します。
ベルトレンチの原理
普通のレンチはナットやボルトの角にはめてホールドしますが、ベルトレンチは名前の通りベルトを巻きつけてしっかりとホールドします。ベルト部分を対象部の外周に巻き付けて、一周したらレンチ本体に通します。ベルトを絞り円周に密着させた後、柄の部分を持って回します。高い摩擦力により他のものでは回せない蓋や部品を緩めたり締めたりでき、対象物を傷つけるリスクも少ないです。
ベルトレンチの使用前には水、油、その他付着物を取り除きます。絞り方が甘いと滑るため注意が必要です。強い力を掛ける前に軽く力を入れて引っかかり具合を確かめてから本格的に力を掛けることが大切です。あまり強く引っ張りすぎると、ベルトが傷つく可能性があります。ゴム製のベルトは布製よりもちぎれやすいため、特に注意して使う必要があります。
ベルトレンチの選び方
ベルトの素材によって締結を行うときに必要な力の強さや使用用途が異なるため、特徴を確認して目的に合うタイプを選ぶことが重要です。
1. ゴム製
ゴム製のベルトは繊維製に比べてグリップ力が強く、滑りやすいツルツルした表面のパイプなどにも使えます。柔らかいプラスチックの蓋も傷つけずに開けることができます。一方で引張強度は弱く、大きな力で締結する場合に適していません。家庭用として扱いやすいですが、固定力は低く、角のある素材に使うとベルトが破損する可能性もあります。
2. 繊維製
強い力で締結する場合には繊維製のベルトを選択します。ゴム製の場合に破損の危険がある角張った蓋や部品にも使えます。対象物を傷つけにくく、家庭用として扱いやすいです。様々なサイズがあり、対象物の大きさによって選べます。一方で、ゴム製と比べると弾性や摩擦力がありません。滑りやすい瓶の蓋には使いにくいです。
3. 金属製
金属製は、ラバーやナイロンが傷つくほど固く締まった部品に強い力を加えたい場合に適しています。関節を持つ金属製のベルトが細かく動いて、力を入れて締結を行えます。柔らかい金属やプラスチックが対象物の場合には、チェーンベルトで回すと損傷や破損のリスクが高いです。自動車整備で固着して動かないオイルフィルターを回す際などに金属製が役立ちます。