糸鋸盤

糸鋸盤とは

糸鋸盤

糸鋸盤 (英: scroll saw) は、糸鋸を電動化したもので、材料を置くテーブルと一体化した工具です。

糸のこ盤や糸ノコ盤と表記される場合もあります。

糸鋸がモーターで上下し、作業者はテーブル上で材料を移動させて糸鋸に押しつけ、切断・加工します。木材、プラスチック、金属など様々な材料を加工でき、電動工具の中でも特に細かい曲線で切断でき、中抜き加工なども可能です。

糸鋸盤の使用用途

糸鋸盤には、モーターで刃を下に引張り、バネの力で上方向に戻す「バネ式」、刃の両端を支えるアームをモーターで上下させる「パラレルアーム (カム式) 」、パラレルアームの改良版で、アームを前後に動かし先端は上下に動く「パラレルリンク (カム式) 」の3種類があります。いずれも主要な用途は木材の切断・加工です。一般的に糸鋸盤は木工機械に分類されています。

ただし実際には薄い鉄板やプラスチックなどを切断できるブレードも販売されています。さらに複雑な曲線を切ったり、透かし模様や切り抜き文字などの精密なクラフトにも最適です。

糸鋸盤の原理

一般的な糸鋸盤の使用方法は以下の通りです。

1. 刃を選ぶ

加工する材料や加工内容に合わせて糸鋸の刃を選びます。材質によって、木工用、プラスチック用、金工用などを選び、材料の厚さ、加工の細かさなどによって、刃の幅、数、厚さなどを選択します。

2. 刃を固定する

コンセントを抜いた状態で、糸鋸をセットします。最初にテーブルの下にある下部刃止めのネジを締め、次に上部刃止めレバーをセットして刃を固定します。

3. 材料を切断する

糸鋸盤のスイッチを入れて動作を開始させると、糸鋸がミシン針のように上下します。材料をテーブルに置き、切断したい部分に刃を当て、両手で上から材料を押さえながら押し出します。

糸鋸盤の種類

主に糸鋸盤はバネ式・パラレルアームシステム・パラレルリンクシステムに大別されます。

1. バネ式

国産に多い機構です。下側から引っ張られた刃を強力なバネで引き戻す動作を繰り返して刃を動かします。

振動が発生しやすい構造なため、重量や頑丈さが必要です。刃に伝わるテンションが不安定で、刃が折れやすいです。

2. パラレルアームシステム

海外産に多い機構です。アームを動かす回転軸が2ヶ所あり、直接モーターにつながった下部のアームと連動して上部のアームも動いて刃を動かします。

刃に伝わるテンションが一定で、バネ式の問題が解消されています。振動や騒音も少なく、バランスが良い機構です。

3. パラレルリンクシステム

海外でも限られたメーカーのみが販売している機構です。パラレルアームシステムをさらに改良したのがパラレルリンクシステムですが、外観だけで見分けるのは難しいです。

アームを動かす回転軸が4ヶ所あり、モーターにつながった後部のアームと連動して上下のアームも動いて刃を動かします。

パラレルアームシステムよりも振動や騒音が少なく、動作音は静かです。ただし構造が複雑なため、価格も高くなります。

糸鋸盤の選び方

糸鋸盤を選ぶ際には以下の点に気をつける必要があります。

1. サイズ

糸鋸盤には卓上に設置できる小型のものから据え置きタイプの大型のものまで、多彩なサイズがあります。

サイズを選ぶときの基準はふところ寸法 (糸鋸からアームまでの距離) です。小型のものは一般的にふところ寸法が300mm〜600mm程度で、大型になると1000mm以上のものもあります。ふところ寸法が材料に対して十分余裕のあるものを選びます。

2. 性能

糸鋸盤の性能はストローク数 (糸鋸が1分間に上下する回数) とストローク幅 (糸鋸が上下する幅) で決まります。いずれも数値が大きいほど作業スピードが上がります。ただしストローク幅が大きいと本体のサイズも大きくなるため、サイズとストローク幅の両方を考えなくてはいけません。

一般的に木材は高速で、プラスチックや金属は低速で加工します。ストローク数を調節可能なものもあり、様々な材料や加工内容を網羅したい場合には、ストローク数の確認が重要です。

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