超音波金属接合機

超音波金属接合機とは

超音波金属接合機

超音波金属接合機とは、超音波が発生した際に生じる空気の振動を利用して、金属同士を接合する機械です。

通常、金属を接合する際は、熱によって金属を溶かすことで接合させますが、超音波接合機では熱を使用しません。超音波によって金属原子を振動させるため、融点が異なる金属同士での接合が可能です。

一方で、熱のように一度溶かして完全に接合するわけではないので、接合強度が弱いことがデメリットとして挙げられます。そのため、強度を求める場合は注意が必要です。

なお、金属の接合は大きく分けて3つに分類できます。具体的には、接合部を加熱・溶融させる融接、機械的圧力を加えて接合部に塑性変形を起こさせる固相接合、融点の低いロウ材を接合部に流すろう接の3つです。超音波接合は、固相接合に分類されています。

超音波金属接合機の使用用途

超音波金属接合機は、バッテリー極板の箔積層やコネクタ端子と銅線の接合など、周囲に影響がでると困るものの接合に使用されます。超音波金属接合機は、 金属を熱で融解しているわけではないので、素材自体が強い熱を受けることはありません。

そのため、接合部分以外に対しても熱の影響を受けることが少ないです。しかし、接続強度が高くはないので、大きく動く場所には不向きです。

超音波金属接合機の原理

金属は空気などに触れることによって、表面に酸化被膜を作ったり、異物が付着したりします。これらがついた状態では一度接合面を融解しない限り接合はできません。

しかし、金属に対し垂直方向の力で圧力を与えながら、接合面に対し平行に超音波による振動を与えると、この超音波の振動によって金属同士が擦れ合い、酸化被膜や付着物が剥がれ金属面がしっかりと露出します。ここに原子間力が働くことで、金属を融解させずとも原子同士が接合が可能になります。

一度金属を融解させてしまうと、金属面が薄いものであれば、その形自体が変形や収縮してしまうこともあります。しかし、超音波金属接合では接合面のごく一部の層のみに力が働くので、大きく形が崩れることはないです。

また、超音波のエネルギーのみを使用するため、ガスの消費はありません。電気エネルギーの消費も大きく抑えられるので、環境にも優しい接合方法と言えます。

超音波金属接合機の構造

超音波金属接合機は発振器、振動部、超音波ホーンで構成されています。

1. 発振器

高周波の電力を供給するとともに、周波数の制御を行います。周波数は使用する超音波ホーンごとに異なり、動作稼働中の温度や加圧状況によって変動するため、最適な周波数になるように調整する周波数追尾回路が搭載されています。

2. 振動部

振動部は振動子と固定ホーンで構成されており、発振器から送られた周波数を振動子を介し、固定ホーンに伝達されてきた振幅を増幅させます。

3. 超音波ホーン

超音波ホーンは、振動部から送られた超音波による振動と加圧力が加わることで、ワークの接合面で瞬間的に摩擦熱が生じ、ワークの接触面が溶融して分子同士で結合されます。超音波による振動が停止すると、溶融したワークが急速に冷却され凝固していきます。

冷却中も加圧をかけ続けると接合面がより密度の高い状態で凝固し、強度の高い接合が可能です。

超音波金属接合機の特徴

超音波金属接合機は他の接合方法と比べて、安全で短時間かつ正確な接合が可能です。超音波による接合は、スポットで接合するため、正確に加工することができます。また、接合するまでの時間は数秒程度しかかかりません。

スポット部分以外は金属への影響が少なく、損傷や変形が出にくいのも特徴です。超音波による固相接合のため、母材への温度上昇が緩やかで、母材の溶融温度の35%~50%程度の比較的低温での接合が可能です。

そのため、火花や煙がでることもなく、優れた強度や導電性を確保することができます。

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