樹脂流動解析

樹脂流動解析とは

樹脂流動解析は、樹脂を成形機で成形する場合、金型やダイ内での溶融樹脂の流動を計算によって解析・可視化して樹脂の温度、圧力、速度、流動状態、収縮量などを予測することを言います。シミュレーションにより、ウェルドやそり変形、残留応力などの成形不良を予測したり、成形不良の原因分析をします。

射出成形解析では、金型内での溶融樹脂の充填・圧力・冷却の解析、そり解析、金型の冷却解析、樹脂の熱硬化反応解析などを行います。押出成形解析では、ダイ内での樹脂の流動解析、ダイ押出後の冷却速度解析、冷却後の形状変形の予測、多層成形した場合の流動解析、連成解析による金型変形解析、流動残留応力の解析などです。この他、ブロー成形解析や熱成形・真空成形解析なども行います。

樹脂流動解析の使用用途

製品設計、金型設計、成形の各部門において樹脂流動解析を行うことにより、事前に机上で問題点を把握して解決できるので、納期の短縮、コスト低減、品質の向上などが図れます。

型技術の分野での用途例として、目標ウェルド位置から仮想的に樹脂を注入した流動解析によってゲート設計の最適化などを行っています。

射出成形の分野では、CIP法を用いた数値解析によって樹脂挙動だけでなく、金型内部の空気の挙動も同時に解析しています。また、段差部での樹脂流動の詳細解析、CF-SMC 成形における繊維配向シミュレーション技術、熱硬化性樹脂流動解析によるキャビティ多数個取り金型の流路設計などがあります。

さらに、超高速射出成形におけるウェルドライン生成および消失過程の可視化解析、押出混錬機の評価技術、フェノール樹脂の押出成形とフェノール樹脂パイプの用途などに応用されています。

樹脂流動解析の特徴

金型内における溶融材料の流れ解析は、プラスチ ック成形品では粘度が高く薄肉の三次元形状が多いので、狭い隙間の平板間流れに簡略化して行います。まず局所直交座標系において連続、運動及びエネル ギーの方程式を作ります。材料物性値が必要ですが、このうち粘度はせん断速度と温度の実験式を使用します。

次にこの方程式をコンピュータで数値的に解きます。数値解析の手法は、いくつかの方式が使われています。すなわち、差分法、有限要素法、境界要素法、BFM (Branching Flow Method)、FAN法(Flow Analysis Network Method)などです。これらの手法を使った樹脂流動解析ソフトが多数市販されており、樹脂製品・金型・ダイ設計の技術者や生産技術者が比較的容易にシミュレーションを行うことができます。

金型内各部の温度、圧力、流量、速度、収縮量などが解明でき、可視化してシミュレーション結果を一目で見ることもできます。そしてフローパターン、ウェルド、そり変形、収縮量などを予測して、設計段階で成形不良の防止、ゲート位置設定、金型温度選定などができるようになります。

参考文献
https://www.cybernet.co.jp/eng-service/kaiseki/service/cfrp.html
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