PBO繊維

PBO繊維とは

PBO繊維とは、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールという素材を使用して作られた繊維のことです。

強度や弾性率、耐熱性、耐炎性が高い繊維のことを指します。一般的な繊維は、高温環境下において分解されるのに対し、PBO繊維は、650℃という超高温環境下においても分解されにくいのが特徴です。

また、500℃の環境下においては耐久性についても高いままを維持します。この耐久性や耐熱性や弾性率は、かなり強力な繊維であり、現在商品として販売されている有機繊維品の中では最も高いと言えます。

PBO繊維の使用用途

繊維は高分子であるほど多くの分子が結合しているため、固く強い製品を作ることができます。PBO繊維は高分子繊維であることから、耐熱性と耐久性が高いです。この特徴を利用して、主に高温環境下にさらされる場面で使用されます。

1960年代に誕生し、同じく性能に優れた繊維としてアラミド繊維が挙げられますが、2つを比較してもPBO繊維の方がさらに優れていることから、近年需要が高まってきています。

PBO繊維の具体的な使用用途は、以下のとおりです。

1. 機械の保護剤

機械などでいえば、金属を溶接する際にはかなり高温になります。通常のロボットなどは金属や樹脂で作られることが多いため、そのままの状態では溶接の際の熱で溶けてしまうことも珍しくありません。

そこでPBO繊維で作られた生地を保護剤としてまとうことで、耐久性にすぐれたロボットになります。

2. 消防服

PBO繊維の持つ難燃性を活かして作られた消防服は、火災現場に飛び込んでいってもやけどに臆することなく救助を行うために役立っています。

3. 安全手袋

高い強度と弾性、耐熱性を持つことから、安全手袋の原料としても使用されています。皮製品や合成繊維、綿などと比べると圧倒的な切創予防効果を得られること以外にも、軽量であることや、経時変化による劣化もしづらいことが特徴です。

4. 補強

高い強度と弾性率を持つことから、ゴムや樹脂製品の補強を目的として使用されることも多いです。単体としては用途を満たさない場合、他の繊維と複合させて製品化することもできます。

高い衝撃吸収性を持つザイロンと複合することによって劣化を遅らせたり、衝撃を吸収したりできるという利点から、スーターなどにも適用されています。

PBO繊維の特徴

PBO繊維は、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、略してPBOという素材を使用して作られた繊維です。PBOには構造によってシス体とトランス体がありますが、現在流通している商品の原料として使用されているのはシス体です。

PBO繊維が通常被覆などに使用されるポリエステルなどに比べて、かなり高い耐久性や耐熱性を持っているのは、他の素材とは分子配列が大きく異なっていることが要因として挙げられます。合成繊維においては、繊維軸などに関わらず、分子が分散した状態で存在しています。

対してPBO繊維の構造を観察してみると、繊維軸方向に対しほぼ平行に分子が配列しています。通常繊維中の分子は、繊維軸に対して並行であればあるほど耐久性は高いです。これによって、PBO繊維は他とは比べられないくらいの高い耐久性を実現しています。

PBO繊維の構造

PBO繊維は、「液晶紡糸」と呼ばれる方法で繊維化されています。高分子であるPBO分子は通常液体でありながら、分子配列が規則的になっており、物理的な性質は結晶のようであることから、液晶状態と呼ばれます。この現象は固体から液体、液体から気体へと変化する間の物質の状態に近いものであり、PBO分子の場合は液晶状態で安定しています。

この安定した状態を利用して、分子鎖をうまく配合させながら紡糸することで繊維にしているのがPBO繊維です。この液晶紡糸で生成される繊維は耐久性の高いものが多く、PBO繊維の他、アラミド繊維などでも同じ方法で生成されています。

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