ねじ歯車

ねじ歯車とは

ねじ歯車とは、歯が斜めに切られた歯車です。

はすば歯車同士、または平歯車とはすば歯車を組み合わせた歯車を指す場合が多いです。歯筋がつるまき線としてツイストしていることや、スラスト方向へ軸力が発生することなどが特徴として挙げられます。

ねじ歯車ははすば歯車の亜種ですが、平行軸だけでなく、軸が交差した食い違い軸の場合でも動力を伝達することが可能です。歯車軸は直行している必要はなく、ねじれの位置であっても動力を伝達することができます。

また、ねじ歯車は歯が斜めに配置されており、歯同士の噛み合いが滑らかで連続的です。そのため、騒音や振動が少なく、静かに動作します。ただし、歯が斜めに配置されているので、設計や製造が比較的複雑であり、歯の形状や傾斜角度の正確な計算が必要です。

ねじ歯車の使用用途

ねじ歯車はさまざまな産業・用途で使用されます。以下はねじ歯車における使用用途です。

1. 自動車

自動車の変速機において、ねじ歯車はエンジンの出力を効率的に車輪に伝える役割を果たします。変速機の中で、ねじ歯車は異なるギア比での動力伝達を担当し、適切な速度域でのトルクと速度を提供します。滑らかな変速と静粛性の点において肝要です。

2. 工業用機械

工業用機械では、ねじ歯車が生産ラインの異なる部分で使用されます。コンベアベルトの駆動やコンピュータ数値制御 (CNC) 機械の軸駆動などにねじ歯車が利用されます。これにより、高い精度と信頼性が確保することが可能です。

3. 航空機

航空機において、ねじ歯車はエンジンや操縦系の動力伝達に用いられます。エンジンの回転運動をプロペラやファンに効率的に伝え、操縦系の制御サーボ機構においても使用される場合も多いです。

航空機には高い信頼性と耐久性が求められるため、ねじ歯車はその要件を満たす構造部品の一部です。

4. 発電機

発電機やタービンでは、ねじ歯車が高速回転の動力を発電機部分に伝えるために使用されます。これにより、効率的な発電が可能です。大規模なエネルギー供給が求められるため、ねじ歯車の高耐久な特性と効率が大切です。

ねじ歯車の原理

ねじ歯車は、斜めに切られた歯車が互いに噛み合うことによって、回転運動を伝達しています。歯筋がつるまき線状態であるため、歯車同士の噛み合いの比率が高い点が特徴です。滑らかで連続した噛み合いを実現することができます。

歯車同士が噛み合う際に、歯の先端が順次当たっていき、力が分散される仕組みです。これにより、急激な力の変化を和らげ、動力伝達が滑らかに行われます。

ただし、軸から見るとツイストした歯筋になっているため、回転時にはスラスト方向の推力が発生します。この歯車における軸には、スラスト推力を受けるための軸受が大切です。用いられる軸受としてはアンギュラ軸受が多いですが、重荷重を伝達する場合にはスラスト軸受を使用することもあります。

ねじ歯車の原理は、歯車同士の滑らかな噛み合いと連続的な接触によるものです。この仕組みによって、静粛性や効率性が向上し、高い負荷にも耐える信頼性のある動力伝達が実現することが可能です。

ねじ歯車の選び方

ねじ歯車におけるねじれ具合は右方向と左方向があり、入力軸と出力時の状態で選定する場合がほとんどです。軸が平行状態である場合は、ねじれ方向が同様である製品を使用します。軸が交差しているか、あるいはねじれの関係になっている場合は逆方向の組合せで使用します。

また、シャフトの回転方向によっても右回転と左回転の検討が必要です。ねじれ方向の選定ミスは動力がうまく伝達されないだけでなく、歯車の寿命を縮めることにもなります。

なお、歯車の歯が斜めに配置される角度をヘリカルアングルと呼びます。この角度は、歯車が1回転するごとに進む軸方向の距離です。ヘリカルアングルが大きいほど、歯車同士の噛み合いが滑らかになり、静粛性が向上します。

参考文献
https://www.khkgears.co.jp/catalogs/pdf/screw.pdf
https://www.khkgears.co.jp/gear_technology/pdf/gearabc_c.pdf

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