トライアック

トライアックとは

トライアック(TRIAC)はTriode for Alternating Currentの略で、3つの端子を持つ半導体スイッチの一種です。

トライアックは、2つのサイリスタを互いに逆方向になるように並列に接続した構造で、双方向の電流のスイッチング動作を1つのゲートで制御することができます。

双方向に電流を流せることから、トライアックは交流スイッチとして使用されています。また、ゲート入力の位相をずらすことで、交流電力を簡単に制御することができます。

トライアックの使用用途

トライアックは、交流スイッチとして広く使用されています。

特に、小さいゲート信号で大電流のスイッチング制御が可能であることから、テレビやエアコンなどパワーの大きな家電製品のリモコンスイッチに使用されます。

また、ゲート入力を交流に対して位相をずらすことで電力量を制御することができるため、トライアックは照明の調光器、蛍光灯の電流を一定に保つ安定器、扇風機、エアコン、洗濯機などのモーターの回転数制御、冷蔵庫の温度制御、交流電車の速度制御、モーターを用いた産業機器の制御などさまざまな用途に使用されています。

トライアックの原理

トライアックを構成するサイリスタはPNPN4層構造をしていますが、これはPNP型とNPN型のバイポーラ・トランジスタを組み合わせ、PNP型のゲートとNPN型のアノード、PNP型のカソードとNPN型のゲートを接続した等価回路で表すことができます。

ゲート信号を入力し、アノード・カソード間に順電圧を印加すると、2つのトランジスタはオン状態になります。双方のトランジスタのオン状態が互いのゲート入力に正帰還することで、安定したオン状態になり、一度アノード・カソード間に電流が流れ始めるとゲート信号がなくなっても電流は流れ続けます。

アノード・カソード間に逆電圧が印加されるとサイリスタはオフ状態になり、電流は遮断されます。したがって、サイリスタのアノード・カソード間に交流電流を流すと、交流サイクルの半分だけ電力供給を行い、逆方向の電流をブロックするという動作をします。

トライアックは、このような動作をするサイリスタ2つを互いに逆方向になるように並列に接続しています。

ゲート電流を入力すると、順方向に接続されている方のサイリスタがオン状態になり、トライアックに順電圧が印加されている間だけ電流が流れます。交流電流の半サイクルが終わると、オン状態であったサイリスタは逆バイアスとなってオフ状態になり、電流は流れなくなります。

その後、逆バイアスになる後半のサイクルで再びゲート電流を入力すると、今度は反対側のサイリスタがオン状態になります。このように、1つのゲード入力によって双方向の電流のスイッチングタイミングを制御します。

また、ゲート電流の位相を交流電流に対してずらすと、トライアックがオン状態になる時間が変化し、これによって供給電力量を制御することができます。

参考文献
https://kobaweb.ei.st.gunma-u.ac.jp/lecture/20190618_matsuda_1.pdf
https://jeea.or.jp/course/contents/12119/
https://www.sanyu-group.com/techno/userbox/data/denshi_text2.ppt

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