メガネレンチとは
メガネレンチとは、六角ボルトと六角ナットを締めたり緩めたりするための工具です。
棒状のハンドルの両端に六角ボルトまたはナットに適合する開口部分があり、メガネのような形状をしているためメガネレンチと名付けられています。スパナ (SPANNER) はイギリス英語、レンチ (WRENCH) はアメリカ英語で、もともとの意味に差は無く、スパナとレンチの違いは明確に定義されません。
しかしながら、日本では一般的に工具の先端が開いているものをスパナ、先端が閉じているものをレンチと呼びます。先端が開いているスパナと異なり、対象の六角部の全周を掴むことができるよう閉じた形状になっています。その内径は12角形状になっているものが主流です。対象の六角部の対辺寸法に合わせてサイズが決められており、ミリ系とインチ系があります。
メガネレンチの使用用途
メガネレンチは、一般的なDIYから専門的な現場まで、幅広く使われています。メガネレンチは主に六角ボルトやナットを、締めたり緩めたりする時に使用します。機械設備、精密機器、車両、エンジン、建築、家具、DIYなど、あらゆる場面で欠かせない工具です。
メガネレンチは、ボルトやナットと6点で接して力が加わるため、2点で接するスパナよりも大きなトルクをかけることができます。ボルトやナットの上から入れ込むので、ボルトやナットの上にスペースが必要です。メガネレンチが入らない部分のボルトやナットは、スパナなど別の工具を使用します。
メガネ部分からハンドルまで立ち上がる角度をオフセットと言い、メガネレンチにはさまざまなオフセットのものがあります。レンチを振る場所に応じものを使用することで、作業性が向上します。
メガネレンチの原理
メガネレンチは「てこの原理」を利用して、小さい力で大きな力を生み出し、ボルトやナットを締めたり緩めたりします。支点はボルトやナットの中心、力点は手でメガネレンチを持っているところ、作用点は、ボルトやナットとメガネレンチの口部が接する6点の角です。メガネレンチの端の方を持って回すことで、簡単にボルトやナットを締めたり緩めたりできます。
また、メガネレンチは、ボルトやナットと6点で接して力が加わるため、2点で接するスパナよりも大きなトルクをかけることが可能です。
メガネレンチの種類
ボルトやナットを挟む部分を口部、リング状になっている部分サイズを二面幅と呼びます。
1. オフセットタイプ
両端の口部が持ち手から上下に角度がついているメガネレンチです。オフセット角度は15度、45度、60度の3種類があります。
2. ショートタイプ
持ち手の長さがオフセットタイプに比べ、短いタイプのメガネレンチです。狭い場所にあるボルトやナットに使用します。
3. ストレートタイプ
持ち手の部分と口部がオフセットになっていない、真っ直ぐなメガネレンチです。他のタイプでは届かない奥まった場所にあるボルトやナットに使用します。
4. ハーフムーンレンチ
持ち手が半円状に曲がっているメガネレンチです。通常のレンチではアクセスできないボルトやナットに使用します。曲がり方はメーカーによって異なります。
5. シノ付きメガネレンチ
片側にメガネの口部をもち、もう片方には円錐状のシノがあるタイプのレンチです。
6. 片口メガネレンチ
持ち手の片方だけに口部があるメガネレンチです。口部だけに角度がついているため、場所によっては便利です。
7. 曲柄両口メガネレンチ
Sがたメガネレンチとも呼ばれます。持ち手から45度の角度で口部が上下ではなく、左右についています。
8. 打撃メガネレンチ
打撃に耐えられるようにできており、大きな力でボルトやナットを締めたり、錆びついてしまったボルトやナットを緩めたりできるメガネレンチです。通常のメガネレンチは、ハンマーなどで打撃を加えるような耐久性はありません。
メガネレンチの選び方
作業目的にあったメガネレンチを使用することによって、作業効率や安全の向上、仕上がりの正確さの観点において非常に重要です。
1. サイズ
ボルトやナットを挟む部分は固定されているので、ボルトやナットのサイズにあったものを選びます。サイズは直径や半径ではなく、メガネレンチがボルトやナットにはまる「二面の幅」の距離を確認します。
サイズは持ち手に数字で記してあります。基本的に、サイズはメートルで記してありますが、稀にインチのものもあるため注意が必要です。
2. セット
メガネレンチは使用頻度が高いので、複数のサイズのメガネレンチを揃えておくと便利です。
3. 類似品
口径部が開いているスパナがあります。ボルトやナットに横から挟むことができるので、メガネレンチが入らない狭い場所にある場合や、長ねじの途中にあるボルトやナットに使用します。
メガネレンチのその他情報
メガネレンチの使い方
- まず手でボルトやナットを回して締めます。
- ボルトやナットが口部の一番奥にしっかりとはまるように当てます。口部はボルトとナットと平行になるようにします。
- メガネレンチを回し、ボルトやナットを締めていきます。持ち手の端の方を持って回した方が効率よく力が伝わります。
狭い場所でレンチを回す角度が制限される場面では、1回あたり何度 (°) 振ることができるかで、作業性が変わってきます。メガネレンチは、12角で作られている場合がほとんどです。
そのため、30度ずつ掛け替える作業ができるので、30度+α振ることができれば、継続して作業ができることになります。硬く締まって動かないボルトやナットを緩めたい時は、油をさしてしばらく置いてから回すと良いです。