オーディオアナライザとは
オーディオアナライザとは、音質性能を定量的に評価するために、音の歪み率や周波数特性、S/N比などの諸々の項目を測定できる機能を持った測定器です。
例えば、音の歪み率を測定するには、低歪み発振器やフィルタ、周波数カウンタなどが必要になります。一般的に、これらの装置を組み合わせれば、周波数特性やS/N比などを含め測定可できます。オーディオアナライザは、これらの音質性能評価に使う装置を1台にまとめたものです。
最近では、パソコンを用いた歪み率を測定できるアプリケーションなどもあります。
オーディオアナライザの使用用途
オーディオアナライザは、オーディオアンプやオーディオシステムなどのオーディオ向け機器の音質特性の評価などに用いられます。具体的には、スピーカーやヘッドフォンのテストや、オーディオアンプ・イコライザなど様々なオーディオ機器の周波数特性評価、ステージの音響測定、各種音響試験などです。
オーディオアンプにおける歪み解析にはオーディオアナライザを用いますが、オーディオアンプにおける歪みには様々な要因が含まれます。具体的には、アンプ自体の非直線性に起因するものや、残留ノイズによって歪が起きてしまうもの、スイッチング歪みによるもの、高調波成分によるものなどです。
そのような音の歪みの発生要因の解析などにも、オーディオアナライザを用います。
オーディオアナライザの原理
オーディオアナライザは、音を正確に測定して定量的な性能指標に焼き直すために、音の周波数帯域特性に応じたノイズフィルタ機能を有しています。また、歪みを正確に測定解析するための発振器と測定した音の信号解析に関する演算機能を用いています。
一般のオーディオアナライザには発振器と歪み率計が備えられており、各帯域に応じてディジタルフィルタを構成して、ノイズを除去した歪みを測定できるものが多いです。オーディオアナライザの多くの製品は、信号処理部にDSPを用いており、アベレージングを用いたノイズ除去機能や、高調波分析フィルタなどの機能を有しています。
オーディオアナライザでは、混変調の歪み測定を行えるものもあります。混変調の歪み測定の手法としては、SMPTE方式とCCIF方式があります。
SMPTE方式は、周波数の離れた2つの混合波を非測定物に加えて、その高調波の両側に発生する歪みを測定するものです。一方で、CCIF方式はSMPTE方式に対して、お互い近接した2つの周波数を同一振幅で用いて、2つの周波数の差の信号で発生する歪みを測定します。
オーディオアナライザのその他情報
1. オーディオアンプの歪み率測定
オーディオアンプを自作すると、重要な特性である歪み率を評価したくなります。実際評価するためには、低歪の発振器と急峻なフィルタが必須となり、ここで活躍するのがオーディオアナライザです。
一般的な歪み率評価の手法としては、低歪の発振器からの信号波形をオーディオアンプに入力し、出力波形についてアッテネータを介して値をそろえてかつ基本波除去のフィルタを通して高調波とノイズ成分を測定する方法が挙げられます。
アンプ特性としてはもちろん低い歪み率が望ましいですが、混在しているノイズ特性や高調波成分を考慮した上で、LPFなどの帯域幅の測定条件を揃えることが重要です。
2. パソコンを用いた歪み率測定
Windows PCとUSBインターフェイスがあれば、以下のソフトの活用で歪み率の評価が可能です。
- WaveGene (信号発生源)
- WaveSpectra (測定用ソフト)
これらのソフトは、オーディオ関係者の間では有名なフリーソフトであり、優れたオーディオ解析ソフトです。PCが発生させたサイン波をかなりの低歪み率まで評価可能な特徴を有しています。
特にWaveSpectraは、オーディオ波形の高調波成分を分解解析することが可能です。実際の音楽ソースの周波数スペクトラムを可視化できます。