電力計とは
電力計 (英: Wattmeter) とは、電気電子機器 (負荷) で消費される電力を測定するための装置です。
電力計は電源と負荷の間に挿入して使用し、印加される電圧と流れる電流の積 (電圧×電流) から電力を算出することができます。交流においては、電圧と電流の間に位相差があり、それが電力に影響するため、それらを同じタイミングで測定することが重要です。
また、近年は電源の品質も重要になってきており、電圧、電流、電力の波形を評価する機能が付いているものもあります。
電力計の使用用途
近年、地球環境問題への対策として消費エネルギー削減が大きなテーマになっており、さまざまな電気電子機器の消費電力を確認するために、電力計のニーズが高まってきています。節電を目的とした一般家庭向けから、工場やビルなどの電力監視システム向けまで、その用途はさまざまです。また、開発や生産の現場では、電力の測定に加えて、位相角や力率、高調波、フリッカ、ひずみ、ノイズなどの各種評価を行うために、高精度で高機能な電力計が必要とされています。
電力計の原理
電力は電圧×電流の積であるため、電圧と電流をそれぞれ測定して算出することができます。直流の場合は電圧も電流も一定になるので、それぞれを別々に測定しても電力を算出することができますが、交流の場合は電圧と電流の位相差を考慮しなければならないので、それぞれの瞬時値を同じタイミングで連続して測定することが必要です。
電圧と電流の瞬時値の積で算出される瞬時電力を積分し、一周期で平均した値が電力になります。これは実際に負荷で消費される電力であり、有効電力といいます。電圧の実効値をV、電流の実効値をI、電圧と電流の位相差をθとすると、有効電力はV×I×cos(θ)で算出できます。
交流の電力には、ほかに無効電力と皮相電力があります。それぞれ電力供給システムの効率や安定性を評価するために使用され、特に産業用電力システムや電力会社にとって重要です。電力ファクター (Power Factor) という概念は、有効電力と無効電力の比率を表し、電力供給システムの効率を改善するための対策を検討する際に参考にされます。
1. 無効電力 (英: Reactive Power)
電力供給システムにおいて電流と電圧の位相差によって生じる電力の一部で、電源と機器の間を往復する電力のことです。具体的な成分は負荷のコイル成分やコンデンサ成分によるもので、電力はV×I×sin(θ)で算出することができます。
2. 皮相電力 (英: Apparent Power)
電力供給システムにおいて実際に流れる電流と電圧の積で、皮相電力の二乗=有効電力の二乗+無効電力の二乗、という関係式が成り立ちます。
電力計の選び方
1. 測定対象の種類と要求精度の確認
測定対象 (電力、電流、電圧、力率など) と必要な測定精度を明確にします。用途に応じて、必要な測定範囲や解像度が異なるため、正確な要件を把握することが重要です。
2. 電力計のタイプの選択
電力計には、アナログ電力計とデジタル電力計の2つの主要なタイプがあります。アナログ電力計は瞬時値を表示し、デジタル電力計はデジタル表示とデータログ機能を提供します。そのため、使用用途や実際の作業環境、読み取りのしやすさに合わせて選ぶ必要があります。
3. 電力ファクターと精度の検討
電力ファクターとは、有効電力と無効電力の比率を示します。電力ファクターの評価と、選んだ電力計の精度に注意を払う必要があります。高い電力ファクターを維持するために、適切な製品を選びます。
4. 通信とデータ収集機能の確認
最新の電力計には、通信インターフェース (通常はModbusやEthernetなど) やデータ収集機能が備わっていることがあります。リアルタイムデータの収集や遠隔監視が必要な場合には、これらの機能を備えた電力計を選択することが重要です。
参考文献
https://tmi.yokogawa.com/jp/library/resources/measurement-tips/fundamentals_of_power_meter_and_power_measurement/
https://e-sysnet.com/
https://ednjapan.com/edn/articles/2003/16/news010.html