ポータブル振動計

ポータブル振動計とは

ポータブル振動計とは、機械の振動測定と振動解析を行う持ち運び式の振動計です。

小型軽量で、手軽に測定しやすいパネルやボタンを備えているのが特徴です。そのため、現場ですぐに使いやすいです。構造物や機械装置が破損や異常停止などを引き起こす原因には、振動が大きく関わっています。ポータブル振動計を使うと、振動測定と振動解析を高い技術を必要とせずに手軽に行うことができます。

ポータブル振動計の使用用途

ポータブル振動計の使用用途

図1. ポータブル振動計を用いた3相モーターの振動測定

ポータブル振動計は、図1のような三相モーターなどの産業機械の点検や、製品ラインの製品検査点検に用いられます。

振動計は直接機器に取り付けて常時監視を行ったり、出荷・輸送環境などで据え置きで設置され、検査や研究開発などに用いられることもありますが、ポータブル振動計は持ち運びに特化しているため、巡回監視や点検、管理保全の場面で使用されています。

ポータブル振動計の原理

振動を表す尺度には、大きく「周波数」「振幅」の2つがあり、これらの測定処理をすることで振動を計測しています。

  • 周波数: 振動が発生している周波数。
  • 振幅: 振動の揺れの大きさ。

測定処理を行うには、まず振動を一定サンプリング周期で測定し、これらの値から変換して電気信号にします。多くの場合、この電気信号はアンプで増幅させてA/Dコンバータが計測しやすい値に処理されます。

この振動値を用いてフィルタリング処理を加えてノイズを除去し、振動の正確なレベルを測定します。これによって物体の振動している周波数と振幅が分かります。

加えて、高速フーリエ変換 (FFT) による解析処理などを行う場合もあります。FFTを行うと、どの周波数でどれくらいの振動が発生しているかが分かります。FFTによる解析処理は、異常な振動が発生した機械の測定においてよく用いられます。

これらの処理を行い、波形グラフや数値化によって可視化し、認識しやすい値に変換し、モニターに表示させています。ポータブル振動計は、小型でありながら多機能を保持しているため、モニター画面に効率よく数値を表示したり、Wi-Fi接続やSDカードでPCにデータを転送したりできるなどの工夫が施されています。

ポータブル振動計の種類

ポータブル振動計は大きく分けて「接触式」と「非接触式」の2種類があります。

1. 接触式タイプのポータブル振動計

加速度ピックアップタイプのポータブル振動計

図2. 接触式タイプのポータブル振動計

図2のような接触式タイプのポータブル振動計は、加速度ピックアップを備えています。加速度ピックアップを直接機械に取り付け、その振動を計測します。接触式タイプのポータブル振動計は、比較的安価で小型なことがメリットです。

2. 非接触式タイプのポータブル振動計

レーザードップラー振動計

図3. 非接触式タイプのポータブル振動計

図3のような非接触式タイプのポータブル振動計は、レーザードップラー振動計がよく使用されます。レーザー光を対象物に照射し、光のドップラー効果を利用して対象物の振動を計測します。

非接触式タイプのポータブル振動計は、非接触で振動を計測できるため、モーターの回転軸など回転している物体の計測が可能なことがメリットです。

参考文献
https://www.imv.co.jp/pr/naruhodo_vibrograph/chapter02/#section1
https://www.imv.co.jp/pr/naruhodo_vibrograph/chapter03/#section1
https://go.orixrentec.jp/rentecinsight/measure/article-26
https://svmeas.rion.co.jp/support/st_vibrations.aspx
https://www.tlv.com/ja/products/070000/070600/p070604/

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