試料研磨機

監修:株式会社マルトー

試料研磨機とは

試料研磨機

図1. 試料研磨機

試料研磨機とは、研究室・実験室・品質管理部門等で試験、検査、分析に使用する光学顕微鏡試料、電子顕微鏡試料、強度試験片を作成するために用いられる加工機械のことです。

様々な目的の研磨を実施するため、研磨定盤、研磨シート、バフ (布など) 、研磨剤、治具の種類が多彩で、卓上に収まる比較的小型な装置が多く、取り扱いが容易な手動式や治具式など目的用用途にあわせ、様々な形式の機種、製品があります。

試料研磨機の使用用途

試料研磨機は下記の研磨加工を行う際に使用されます。

1. 鏡面研磨

加工対象物の表面を鏡面にする加工です。主に光学顕微鏡・電子顕微鏡など表面観察試料作成に用いられます。

2. 薄片作成

加工対象物を薄く削っていき、必要となる厚さまで研磨する加工です。主に岩石、鉱物、土壌、陶器、骨等のプレパラート作成、TEM試料、EPMA試料の前工程での薄片化等に用いられます。

3. 面出し、寸法出し、平行、平面出し

加工の基準となる面出しや、必要な寸法、平行、平面を求めるための研磨加工です。主に強度試験、引張試験に使用する試料の作成等に用いられます。

4. 面粗さ調整

必要な面粗さを求めるための研磨加工です。主に強度試験、摩擦摩耗試験に使用する試料の作成等に用いられます。

試料研磨機の原理

1. メカニカル研磨 (遊離砥粒、固定砥粒を使用しての研磨) 

物理的作用による研磨のことを言います。

遊離砥粒加工法
砥粒を定盤やバフに直接塗布して研磨加工する方法のことを言います。 研磨剤 (砥粒) の保持力は弱く、研磨剤 (砥粒) が転がりながら (転動) 研磨面に作用し、研磨されます。 固定砥粒に比べ、加工対象物に与えるダメージは小さく仕上げ研磨に適しています。 砥粒が破砕して小さくなることと、砥粒が加工面より流出して少なくなることで研磨効率が低下するため、定期的な砥粒の供給が必要となります。 主にラッピング研磨、ポリシング研磨 (バフ研磨) に用いられます。

固定砥粒加工法
ボンド材等で固定された砥粒を使用して研磨加工する方法のことを言います。 研磨剤 (砥粒) の保持力が強く、高能率な研磨に適しています。 遊離砥粒を使用した研磨法と比べ、加工対象物に与えるダメージは大きく、砥粒の摩耗 (目つぶれ) ・目詰まりにより研削力が低下します。 定期的な研磨シートの交換や、研磨盤などの目立てが必要となります。 主に粗研磨に用いられます。

2. ケミカル反応を利用しての研磨

加工対象物を薬品に浸漬し、表面を溶かして研磨します。主にメカニカル研磨で発生した加工変質層の除去や、金相試料作成などに用いられます。

3. CMP

化学機械研磨 (英: Chemical Mechanical Polishing) は、化学的作用を伴う機械研磨 (物理研磨) の総称で、物理的・化学的作用によって被加工物表面を平坦化・平滑化する研磨技術です。加工変質層の除去及び表面の平滑化の目的で、基板の最終研磨法として用いられています。

4. 電解研磨

加工対象物を電解液に浸して電流を流すことで、工作物表面を溶かし研磨効果を得る工法です。ステンレス、アルミ等一部の金属にしか適用できません。

試料研磨機の種類

1. 手動式研磨機

手動式研磨機

図2. 手動式研磨機

加工対象物を手で保持して研磨する簡便な小型試料研磨機です。粗研磨から仕上げ研磨に用いられ、加工目的によっては熟練が必要になります。 主にメカニカル研磨が用いられます。

2. 治具式研磨機

治具式研磨機

図3. 治具式研磨機

研磨目的に応じ、サンプルホルダーやガイドアーム等の治具 (試料保持具) を用い、精度の高い研磨が行えます。鏡面研磨、平行平面研磨等に用いられます。 主にメカニカル研磨に用いられ、場合によりCMPに用いられることもあります。

3. 電解研磨

加工対象物を電解液に浸して直流電源を流し、研磨効果を得る工法です。

試料研磨機の選び方

試料研磨機を選ぶ場合は下記の項目に気をつけて選定します。

  • 試料の大きさ (研磨対象の試料の大きさの研磨が出来る研磨機を選定します) 
  • 試料の材質 (材質に適した研磨定盤、研磨シート、研磨剤等を選定します) 
  • 研磨の目的 (研磨方法、治具等の選定) 
  • 精度 (面粗さ等予め要求事項を明確にする) 

試料研磨機のその他情報

試料の用途によっては前処理として試料切断機を使用した切断加工が必要な場合があります。研磨の目的や形状等により、試料の固定方法を考慮、樹脂包埋、ワックス固定等使用する必要があります。

本記事は試料研磨機を製造・販売する株式会社マルトー様に監修を頂きました。

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