タンパク質構造解析

タンパク質構造解析とは

タンパク質構造解析とは、タンパク質の立体構造を明らかにするための研究手法や技術の総称のことです。

具体的な解析方法には、X線結晶構造解析を始め、核磁気共鳴 (NMR) 分光法や電子顕微鏡法などがあります。タンパク質の機能を理解し、新しい薬剤や治療法の開発に重要な役割を果たしています。

タンパク質は人間の体にとって糖質、脂質と並ぶ三大栄養素の1つです。タンパク質は筋肉だけでなく、骨や皮膚、臓器や髪を生成する際に必要となります。タンパク質は20種類のアミノ酸という分子の結合でできています。

アミノ酸は炭素 (C) を中心にアミノ基 (H2N) 、カルボキシル基 (COOH) 、水素 (H) が結合しており、炭素の残り1つの結合相手に、タンパク質の構成要素となる20種類の原子や分子が結びついています。そして、このアミノ酸同士がペプチド結合してできた物質がタンパク質です。

タンパク質構造解析の使用用途

タンパク質構造解析は、タンパク質の詳細な構造や機能を解明するだけでなく、新薬の開発、タンパク質の改質や新しいタンパク質の開発、生命の進化の解明等、医療やバイオテクノロジーの幅広い分野で活用されています。

詳細な構造を知ることで、他の分子と相互作用によって果たされる生物学的機能や、薬物との結合による機能調節の度合いなどを知る手掛かりになります。これにより効果的な薬物設計やターゲット指向の治療法の開発が可能となります。

また、改質や新しい合成にも役立つため、特定の性質や機能を持つ新しいタンパク質を開発するバイオテクノロジーの分野で重要な技術と言われています。生物進化の過程を知ることができ、異なる種や系統間でのタンパク質の構造の類似性や相違点を解析することで、進化のメカニズムや生物種の関係性を調査できます。

タンパク質構造解析の原理

タンパク質の構造解析の手法には、X線結晶構造解析、核磁気共鳴 (NMR) 分光法や電子顕微鏡法などがあり、コンピューターシミュレーションによってタンパク質構造を予測することも行われています。

1. X線結晶構造解析

X線結晶構造解析は、タンパク質の構造解析で最も一般的に用いられている手法です。X線結晶構造解析では、タンパク質の結晶にX線を照射し、散乱したX線を解析することで、タンパク質の構造を決定します。

2. 核磁気共鳴 (NMR) 分光法

核磁気共鳴 (NMR) 分光法では、タンパク質分子中の原子核に磁場をかけて、原子核がエネルギー状態を変化させるときの周波数を測定します。この周波数は、原子核の周囲の電子密度に依存するため、NMR分光法を用いることでタンパク質分子の構造情報を得ることができます。

3. 電子顕微鏡法

タンパク質構造解析で用いられる電子顕微鏡法は、クライオ電子顕微鏡法 (クライオ EM)と呼ばれます。この手法では、タンパク質を急速凍結した上で、透過型電子顕微鏡を使って、その構造を観察して行きます。観察のためにタンパク質を結晶化させる必要がなく、少ない試料で高精度な分析ができるのが特徴です。

4. コンピューターシミュレーション

コンピューターシミュレーションによるタンパク質構造解析では、タンパク質の構造を、タンパク質の原子間の相互作用をシミュレートすることで解析します。この手法は、結晶構造解析や電子顕微鏡法では観察が困難なタンパク質の構造を解析できることが利点です。

タンパク質構造解析の選び方

タンパク質構造解析には、タンパク質の発現、精製、結晶化、X線構造解析などの工程がありますが、外注先がどのような解析手法を行っているか、どの工程まで対応しているか、その費用はいくらか、納期はどのくらいかなどを比較検討します。高度な技術と経験が必要なため、外注先が過去にどのような構造解析を行ってきたかの実績も参考になります。

外部機関に委託する際は、いくつかの会社や研究機関の中から選択することができます。基本的に非常に高度な解析作業になるため、タンパク質構造解析の手法と費用、これまでの実績、良好なコミニュケーションなどを参考に選択することが大切です。

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