吸湿試験

吸湿試験とは

吸湿試験とは、湿度に関する試験のことです。

吸湿試験には下記の通り大きく2つのカテゴリーがあります。

1つ目は湿度が製品や材料に与える影響を知るための試験であり、品質保証の面から行われます。製品がどの程度の湿気を吸収すると、その製品の品質に悪影響が出るかを知るための試験です。

2つ目は繊維製品などがどれくらい湿気を吸う能力があるかを測定する試験です。タオルや吸湿剤、一部の衣類などには水や汗を拭き取り、湿気を吸収する目的があります。その性能を客観的かつ定量的に知るために規格化された試験方法 (吸湿発熱性試験・ボーケン規格BQE A 035) などもあります。

本ページでは、前者の湿度が製品や部材の品質に対する影響の度合いを知り、その製品がどのくらいの湿度の中で品質を保持できるかを確認するために行う吸湿試験について記述します。

吸湿試験の使用用途

吸湿試験は、医薬品や化学薬品、食品や化粧品など湿気を吸収する消費材や、電子機器や医療機器など湿気の影響を受ける心配がある機器類など、広い製品に対して実施されます。

また、前述の繊維製品など湿気を吸い取る機能を持つ製品でも、品質保証の観点から湿気による変色や性能劣化を知るために吸湿試験を実施する場合もあります。

薬品や食品、化粧品等は湿気によって品質や安全性が影響を受けることがあります。吸湿試験によって、湿気に対する耐性や保存性、変質のリスクなどを評価することができます。また、製品の包装材料や保存方法の検討にも活用されます。

化学製品や材料 (塗料、接着剤、プラスチックなど) に対しては、吸湿性や耐久性を評価するために吸湿試験を行います。その結果は湿度の変化による性能の変化や劣化のリスクを評価し、適切な使用条件や保管方法を決定するために利用されています。

電子機器や医療機器に対する吸湿試験は、これらの機器が湿気の影響を受けないようにするための試験です。この試験では、電子機器を高湿度の環境に置き、その動作を観察します。電子機器が正常に動作する範囲を知り、マニュアルに使用条件として明記します。

吸湿試験の原理

吸湿試験には非常に多くの種類があります。

ここでは、薬品に対する吸湿試験について説明します。薬品に対して行われる吸湿試験は薬品の品質を評価し、安全性を向上させるために重要な試験です。この試験の目的は、薬品の水分含有量を測定し、薬品が水分によって変質するかどうかを検査することです。この試験は、薬品の製造過程で定期的に実施されています。

この吸湿試験は、薬品の種類や使用目的に応じて様々な方法で実施されます。一般的には試験片を一定の温度と湿度に保った環境に置き、一定時間後に試験片の質量を測定します。吸湿量は試験片の質量の変化から計算されます。

吸湿量が多いほど薬品に含まれる水分が多くなります。水分含有量が多い薬品は変質する可能性が高く、吸湿量が基準値を超えている場合は薬品の品質に問題がある可能性があります。

1. 吸湿試験に使われる装置

薬品の吸湿試験に使われる装置はいくつかありますが、最も一般的な装置は水分吸脱着測定装置です。この装置は、重量法により様々な物質の水分吸脱着を自動的に測定する装置です。装置内から取り出すことなく、高精度な天秤を使い、設定された温度・湿度下での水分含有量を自動測定します。

その他にも、吸湿剤を使った試験方法や、ガスクロマトグラフを使った試験方法などがあります。

2. 吸湿剤を使用する方法

吸湿剤を使用する方法は水分吸着剤を試料に接触させ、試料の水分を吸着させることで吸湿性を評価する方法です。この方法は、簡易的に吸湿性を評価するのに適しています。

3. ガスクロマトグラフィによる方法

ガスクロマトグラフィによる方法は、試料をガスクロマトグラフに注入し、試料の水分を測定する方法です。この方法は、試料の水分含有量を正確に測定することができます。

吸湿試験の選び方

吸湿試験を受託している会社はいくつかあります。試験の委託先を選択する際には、試験対象の試料に合致した試験が実施できることを前提に、試験方法、試験機器、試験費用などを考慮して選択することが推奨されます。

対象としている試料の試験方法がJISの規格にある場合には、JIS規格に準拠した試験方法を提供しているかどうかが重要です。

吸湿試験には高精度な温湿度制御や質量測定が必要です。そのため、試験機器の性能やメンテナンス状況などを確認することが望ましいです。また、試験機器の種類や数によって試験できる試料の種類や量、試験期間などが変わります。自分のニーズに合った試験環境を備えているかどうかも重要なポイントです。

吸湿試験の費用は、試験方法や試料の種類や量、試験期間などによって異なります。また、会社によっても費用体系や割引制度などが異なります。そのため、事前に見積もりを取って検討することが大切です。

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