ライトガイド

監修:株式会社押野電気製作所

ライトガイドとは

ライトガイド (英: light guide) とは、外周に配置したLEDなどの光源から光を取り込んで、目的に合わせて光を外に出す光学部品のことです。

ライトガイドは主に射出成形ライトガイドと光ファイバライトガイドに分けられます。ポリメチルメタクリレート樹脂 (PMMA) やポリカーボネート (PC) のような透明樹脂材料を射出成形するとライトガイドが製造できます。

射出成形ライトガイドでは各製品で成形用金型を製造する必要がありますが、用途に合わせて細長い長尺、円形、矩形などの形状を設計でき、発光部分の明るさや配光の方向などのバランスを変えられます。

その一方で一般的に光ファイバライトガイドは押し出し成形で作られるため、特定の断面形状や大きさに限定されます。ただし各製品で成形用金型を作成する必要がなく、イニシャルコストが生じません。

素材が柔軟なため容易に曲げて使用でき、全周方向へ均一に光を発散させるための光学設計は不要です。しかし特定の方向だけに照らしたり、明るさを部位によって変えたりできず、ほかの部品で固定構造を考える必要があります。

ライトガイドの使用用途

ライトガイドは光源装置に接続して、効率的に入射した光を伝送するために使われます。LEDなどの光源から離れた場所でも、明るさが不均一にならずに発光可能です。近年では自動車の内装照明を代表として、一般産業機器や家庭用電化製品での採用が増えています。

車載向けの具体例は、細長くライン状に光る長尺ライト、パワーウィンドウスイッチのバックライト、USBポートやAUXポートの円形や矩形の照明、防災機器表示灯、セキュリティ用品、車内マップランプなどです。

パターン見えがない光ファイバ方式は、直接照明として用いられます。光ファイバは光を全方向へ発散しますが、射出成形ライトガイドは光が出る向きを調整できます。射出成形ライトガイドの発光は、ブラスト方式、プリズム方式、ドット方式などに分類され、複数の方式の組み合わせも可能です。

ブラスト方式にはパターン見えがなく均整度を調節でき、直接照明に使われます。プリズム方式はパターンが見えやすく直接照明には向いていませんが、ブラスト方式よりも発光が明るいため間接照明に使用されます。ドット方式はブラスト方式と比較して明るく、プリズム方式に比べてパターン見えが生じにくいです。

ライトガイドの原理

ライトガイドの発光には突起や散乱による経路変更を利用可能です。

形状が直方体で各面が鏡のように透明なアクリル部品の場合には、片側の面から入った光は内部で全反射を繰り返して反対側の面からすべて出ます。

光を出す面とは反対にある面に突起や溝がある場合や粗い鏡面の場合には、散乱が生じて光が入った面に対して反対の面以外からでも光を出せます。すなわちライトガイドは、光源から取り込んだ光によって目的に沿った光を出せる光学部品です。

ライトガイドの構造

数百~数万本の光ファイバー素線を結束して、 結束ファイバーの出射側と入射側に口金を取り付けてSUS製 (英: Steel Special Use Stainless) 保護管を被せています。素線の種類にはプラスチック、石英ガラス、多成分ガラスなどがあり、 光源の照度、波長、熱に合わせて素線を用います。用途によって、ライン、リング、スポット、面発光、多分岐など、出射側の幅広い形状を選択可能です。

ライトガイドの光学加工方法は、プリズム加工、シボ加工、ドット加工の3種類に分類可能です。

プリズム加工ではライトガイドの表面に溝を作って光を反射させます。加工方法の中で最も明るく、設計によって溝の高さや幅を調整して発光を均整できます。シボ加工は物理的に模様を付ける表面処理法です。シボ加工をライトガイドの表面に施すと小さい凸凹が作られ、意匠面への映り込みがありません。ドット加工ではライトガイドの表面に円形の出っ張りを作ります。シボ加工と比べて明るく、意匠面への映り込みを抑え、発光を均整可能です。

枝分かれ構造を有するライトガイドは、一つの光源装置から光を分岐させて利用可能です。2分岐、3分岐、4分岐などの多分岐のライトガイドを用いると、高価な光源装置の数を抑えられます。用途に応じてヘッドを交換して柔軟に対応可能です。ただし2分岐させると一つのヘッドから照射される光が、入射された光量の半分以下になります。

ライトガイドの選び方

光を均一にライン状に光らせる際には光ファイバライトガイドと射出成形ライトガイドのどちらも利用可能です。柔らかい樹脂素材で製造された光ファイバライトガイドは自由に曲げて使用できますが、ほかの部品で光ファイバを固定する構造が必要です。

成形用金型が必要な射出成形ライトガイドには初期投資費用がかかりますが、光ファイバには必要ありません。しかし大量生産する場合には同じ形状の光ファイバライトガイドと比べると、射出成形ライトガイドの方が安くなります。

本記事はライトガイドを製造・販売する株式会社押野電気製作所様に監修を頂きました。

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