サリチルアルデヒド

サリチルアルデヒドとは

サリチルアルデヒド (英: Salicylaldehyde) とは、アーモンド臭のある、無色透明の液体です。

化学式はC7H6O2で表され、分子量は122.12、CAS登録番号は90-02-8です。サリチルアルデヒドの別名としては、IUPAC名の2-ヒドロキシベンズアルデヒド (英: 2-Hydroxybenzaldehyde) や、o-ホルミルフェノール、2-ヒドロキシベンゼンカルボアルデヒドなどがあります。

サリチルアルデヒドは、ベンズアルデヒドのオルト位がヒドロキシ基で置換された構造を持ち、3-ヒドロキシベンズアルデヒドや4-ヒドロキシベンズアルデヒドとともに、ヒドロキシベンズアルデヒドの異性体の1つです。サリチルアルデヒドは、様々なキレート材の重要な前駆体であり、そのうちのいくつかは商業的に重要です。

サリチルアルデヒドの使用用途

サリチルアルデヒドは、種々の化学品の合成原料として利用されています。ダキン反応により過酸化水素を用いて酸化すると、カテコールが得られます。クロロ酢酸によるエーテル化と環化反応により、複素環化合物のベンゾフランを得ることも可能です。アミンと縮合させることで、キレート配位子であるサレンやサリチルアルドキシムも得られます。

そのほか、香料としても利用されます。具体的には、バターやカラメル、ナッツ、シナモン、フルーツ系のフレーバーなどです。

サリチルアルデヒドの性質

サリチルアルデヒドの融点は-7℃、沸点は196~197℃、密度は1.17g/cm3です。サリチルアルデヒドの溶媒に対する溶解度は、水に対しては17.1g/kgであまり溶けません。有機溶媒に対しては、クロロホルムにはわずかにしか溶けず、エタノールとは混和し、アセトンやベンゼンには易溶です。

サリチルアルデヒドは、ソバに含まれる特徴的な香気成分として同定されています。香水に使用される成熟した北米やヨーロッパのビーバーの香嚢からの分泌液の成分の1つでもあります。

サリチルアルデヒドのその他情報

1. サリチルアルデヒドの製法

サリチルアルデヒドは、ライマー・ティーマン反応で水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムとともに加熱することにより、フェノールとクロロホルムから調製することができます。

   C6H5OH + CHCl3 + 3KOH → C6H4(OH)CHO + 3KCl + 2H2O

または、フェノールあるいはその誘導体をホルムアルデヒドと縮合させてヒドロキシベンジルアルコールを生成し、これをアルデヒドに酸化させることによって製造することもできます。

2. 法規情報

サリチルアルデヒドは、毒物及び劇物取締法には該当がありあません。一方で、消防法では「危険物第4類引火性液体、第3石油類非水溶性液体」に、化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) では「第一種指定化学物質」に、船舶安全法や航空法では「毒物」にそれぞれ指定されており、取扱いの際には注意が必要です。

3. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 容器を密栓し、直射日光を避け冷暗所に保管する。
  • 引火の可能性があるため、炎や高温のものから遠ざける。
  • 揮発性の性質があるため、ヒュームや蒸気を吸わないように注意する。
  • 混触危険物質として、 塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化ナトリウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、硝酸、硫酸、無水クロム酸、亜塩素酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、重クロム酸カリウムなどがあるため、これらとの接触の可能性がある際には充分注意する。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡、保護衣、保護面を着用する。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。
  • 皮膚に付着した場合は、石鹸と水で洗い流す。
  • 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/90-02-8.html

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