差圧流量計とは
差圧流量計とは、流体が管路内を通る際に生じる圧力差を利用して流量を測定する流量計です。
流体の流れる管路に取り付けられた制約構造物 (オリフィスプレートなど) を通過する際に生じる圧力差を測定することで、流量を計算します。この制約構造物は流体の速度を変化させ、その変化から流量を推定するための情報を提供します。
他の一般的な流量計に比べて比較的低コストで入手可能です。そのため、予算に制約のあるプロジェクトや用途に適しています。シンプルな構造のため耐久性があり、特に金属製の場合は高温・高圧環境にも耐えることが可能です。ただし、圧力損失が大きい場合も多いです。
また、測定範囲に制限がある場合も多く、過大な流量や過小な流量に対しては正確な測定ができない場合があります。用途に応じて適切に選定することが重要です。ダイヤフラムやオリフィス、ベルヌーイの定理などを利用することで測定しています。安価で広い範囲の応用ができることが特徴で、実流校正も不要です。
差圧流量計の使用用途
差圧流量計は気体・液体・蒸気の検出を行うことが可能で、価格が安価な点が特徴です。構造も簡単で、保守が容易な点もメリットとして挙げられます。これのメリットから、以下のような用途で使用されます。
1. 環境測定
環境監視において、差圧流量計は重要な役割を果たします。一例として、工業用炉の排ガス流量測定などに使用される場合が多いです。工業用炉の排ガスは大口径の煙道で大流量となることも多いため、安価な差圧流量計が使用されます。
2. 発電所
水力発電所では、水の流量を正確に測定することが重要です。差圧流量計は、水の流量を測定するために使用されます。これにより、発電効率を最適化し、水力発電の効果的な運用を実現します。
また、火力発電所のうち、蒸気ボイラ・タービンシステムにおいても差圧流量計が使用されることが多いです。差圧流量計は蒸気発生状況監視やタービンへの供給制御に使用されます。
3. レジャー施設
温泉地や銭湯などのレジャー施設では、加温のために蒸気を使用することが多いです。この蒸気流量を検知するために、差圧流量計が使用されることがあります。蒸気流量を管理することで、ボイラー燃料の低減や最適な施設運用に貢献します。
差圧流量計の原理
差圧流量計の測定原理はベルヌーイの定理により説明することが可能です。差圧流量計は配管中にオリフィスなどの制約構造物が入れて流量測定します。制約構造物を通過する流体は速度が増加し、同時に圧力が減少する仕組みです。制約構造物の上流側と下流側のポートに取り付けられた圧力センサーによって、差圧を測定します。
差圧値は流体の速度と密接に関連しているため、流体の流量を推定することが可能です。一般的に、差圧値は流量の平方根に比例します。差圧流量計の特性や設定された係数を使用し、この差圧から実際の流体の流量を計算できます。
測定する際にオリフィス手前の流量が安定していないといけないため、比較的長い直管をオリフィス手前に設けなくてはなりません。配管直径に対して、5~10倍の直管長が必要になります。
差圧流量計の種類
差圧流量計にはさまざまな種類が存在します。以下は差圧流量計の種類一例です。
1. オリフィスプレート式流量計
オリフィスプレート流量計は、円形または楕円形の孔を持つプレートを使用して流体の流量を測定する差圧流量計です。このプレートをオリフィスプレートと呼びます。流体がオリフィスプレートを通過する際に生じる圧力差を測定し、流量を推定します。
単純な構造であり、比較的低コストで利用されることが多いです。蒸気使用量の確認や排ガス量測定などに広く使用されます。
2. ベンチュリ―メーター
ベンチュリメーターは、円錐形の制約部を持つ管状の差圧流量計です。流体がベンチュリメーターを通過する際に速度が増加し、同時に圧力が減少します。圧力差を測定することで、流量を推定することが可能です。
高い測定精度を持ち、広い範囲の流量測定に適しています。
3. ピトー管式流量計
ピトー管は、円錐形のプローブが取り付けられた管状のデバイスです。流体の速度変化により、ピトー管の先端に圧力差が生じます。
ピトー管の先端の圧力差を測定することで、流体の速度と流量を推定することが可能です。特に気体の流量測定に広く使用されます。
参考文献
https://www.tokyokeiso.co.jp/techinfo/magazine/pdf/flow2.pdf
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/type/diaphragm.jsp