CBN砥石とは
CBN砥石とは、立方晶窒化硼素 (Cubic Boron Nitride) を用いた研削や研磨に使用される砥石のことです。
CBNは、耐摩耗性に優れるダイヤモンドに次ぐ硬さと耐摩耗性を備えた人工鉱物であり、自動車部品を始めとする高精度が要求される部品の機械加工に使用されます。CBN砥石は、熱伝導率が高く、耐熱鋼、機械部品の焼き入れ合金鋼、ベアリング鋼などの加工に広く利用されています。一般的な砥石では加工が難しいため、CBN砥石の使用が必要です。
また、ダイヤモンド砥石と比べて比較的低価格であり、ダイヤモンド砥石ではなくCBN砥石を使用する方が経済的です。ただし、CBN砥石は高い技術力を必要とするため、使用する際には専門知識や経験が必要になります。また、砥石の使用には、加工対象物や砥石の材質、形状、粒度などを考慮しなければなりません。
CBN砥石は、高精度が求められる産業分野で広く使用されており、その特性を活かして加工品質の向上が可能です。しかし、適切な使用法を守らない場合、加工品質に悪影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。
CBN砥石の使用用途
CBN砥石は、主に高硬度で非常に難削な鉄系金属の加工に使用されます。CBNはダイヤモンドに次ぐ硬さ・耐摩耗性を持ちながら、耐熱性にも優れている点が特徴です。
具体的な使用用途として、車両用エンジン部品やベアリングの製造、航空宇宙産業でのタービンブレードの加工、また工作機械の主軸やハイスピンドル、ツールの切れ刃などが挙げられます。また、CBN砥石は高品質の仕上げ面を生み出せるため、工具の表面仕上げや研磨精度が要求される電子部品の加工などにも使用されます。
耐久性と高精度な研削・研磨能力から、CBN砥石は高品質の部品加工に欠かせない重要な工具です。一方で、ダイヤモンド砥石は高硬度な非鉄系難削材の加工に適していますが、耐熱性が低く、加工中に高温になると軟化するため、CBN砥石の方が鉄系金属の加工には適しています。
CBN砥石の原理
CBN砥石は、砥粒、ボンド、気孔の3つの要素で構成されており、その組み合わせによって、砥石の性能が左右されます。砥粒には、CBNやダイヤモンドなどがあり、ボンドには、レジンやメタル、ビトリファイドなどが用いられます。
砥石の性能に影響する要素は、「砥粒」「粒度」「結合度」「集中度」「結合剤」「結合度」の5つです。これらを「砥石の5因子」と呼びます。CBN砥石は、ダイヤモンドに次ぐ硬度と耐摩耗性を有しており、ダイヤモンドが700℃で酸化が始まるのに対し、CBNは1,300℃まで耐えられる高い耐熱性を持っている点が特徴です。
そのため、一般的には鉄系金属の加工に多く用いられています。また、砥粒は研削が進むにつれて摩耗し、切れ味が落ちますが、そのような場合には砥粒を脱落させ、新しい砥粒と入れ替える必要があります。
しかし、砥粒が脱落しないようにしっかりとボンドで保持することも大切です。そのため、砥石の5因子を勘案して、加工条件に応じた適切な砥石設計や選定が重要となります。
CBN砥石へのその他情報
1. CBN砥石へのドレッシング実施
ドレッシングは、砥石表面にある不要なボンドや切屑を除き、砥粒を突出させる作業です。スティックの粒度は、CBN砥石の粒度よりも1~2ランク程度細かい砥粒を使用し、結合度はE~Hのものが推奨されています。
効果的なドレッシング方法は、スティックを砥石に強く押付け、ドレッシング中は砥石にスラリーが出る程度の研削液の量に調整することです。CBN砥石を有効的に使用して、優れた性能を発揮させるためにとても重要な手順となります。
2. CBN砥石の集中度
集中度は、砥粒層中のCBN砥粒が含有している割合を表します。同じ粒度の場合、集中度が高くなると砥粒数が増え、集中度が低くなると砥粒数が減ります。CBN砥石を適切に使用にするためには、被削する材料や加工の種類に合った集中度のCBN砥石を選択することが重要です。
定義は[4.4ct/cm3=集中度100]で、集中度20~200の範囲で使用されるのが一般的です。表示対象はレジンボンド、メタルボンドとビトリファインドボンドの3種類があります。電着の場合は、砥粒層が1層であるため、集中度の規格がありません。
3. CBN砥石の目詰まり
研削中の砥石は正常形・目こぼれ形・目詰まり形・目つぶれ形の4つの状態に分類されています。目詰まり形の砥石は、砥石の気孔が塞がれて切り屑の逃げ場がなくなった状態を指します。
気孔が塞がれる原因は2種類あります。1つ目はアルミニウム・ステンレスなどの柔らかく粘い材料を加工した時の切屑が砥粒の切れ刃の先をまたがって付着する場合です。2つ目は鋳物や石材を乾いた状態で研削する際に、切屑の排出が悪く、気孔に詰まってしまうことが挙げられます。
両方の場合は、研削抵抗が大きくなってしまい、振動が生じやすいです。この状態の砥石を使った場合の仕上げ面は、ムシレやビビリが多く発生します。目詰まりしてしまった砥石で研削するときに多くみられる切屑として、溶融形切り屑が挙げられます。この切屑は砥石の切れ味が悪く、切屑が研削熱によって溶融し、球状もしくは半球状になっています。
参考文献
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00506417
https://www.allied-material.co.jp/products/diamond/knowledge/diamond_cbn-wheel.html
http://www.keihin-kogyo.co.jp/products/004_dia_bn_wheel.html
https://www.noritake.co.jp/products/support/detail/16/