業務用タブレットとは
業務用タブレットとは、企業や団体が日常の業務に使用する携帯端末です。
以前はシャープのザウルスのようなPDA (英: Personal Digital Assistant) が活用されていました。現在ではアップルのiPadに代表されるような汎用タブレットPCをベースにして、業務用ソフトをインストールしたり、必要な周辺機器を付けて業務用タブレットとしているケースがほとんどです。
技術の進歩に伴ってタブレットPCのコンピュータとしての能力が向上してきました。特に、人が情報を入力したり閲覧することが中心となる作業では、性能面でデスクトップPCやノートPCと差を感じることは殆どなくなりました。逆にタブレットPCは持ち運びのしやすさ、使用の手軽さ、省スペース性など長所が認知され、業務で活用される例が非常に増えてきています。
市販のタブレットPCをそのまま業務に使う場合も業務用タブレットと言えますが、ここではより積極的に業務用にカスタマイズされた専用性の高いタブレットPCについて説明します。
業務用タブレットの使用用途
業務用タブレットは製造現場、物流現場、医療現場などで検査結果や進捗情報の入力と閲覧、ホテル、空港などのセルフサービス機 (キオスク端末) 、機械や乗り物などでの操作パネルなど幅広い分野で使用されています。
1. 製造現場
製造現場では、部品や製品の進捗状況や検査結果をリアルタイムに進捗管理システムに入力しています。従来からこの作業を各現場に設置されたPCを使って行っていますが、業務用タブレットを使用することで、省スペース化と柔軟な運用ができるようになりました。
2. 空港やホテル
空港やホテルなどでは、利用客がセルフサービスでチェックインや発券を行う自動チェックイン機 (キオスク端末) の導入が進んでいます。この機械では、利用客がタッチパネルを操作して手続きを進めます。この装置に業務用タブレットを使用している場合があります。
3. オペレーション用
オペレーション用にタッチパネルが使われている装置は数多くあります。入出力専用のタッチパネルを使用する場合も多いですが、業務用タブレットを組み込んである場合もあります。最近では電車の中のアナウンスには、事前に録音された音声を使用しています。車掌がアナウンスを流す装置として、業務用タブレットを活用している例を多く見かけます。
業務用タブレットの原理
業務用タブレットは殆どがアップルのiPadをはじめ、WindowsやAndroidをOSとして動く汎用タブレットPCをベースにしています。市販のタブレットPCを使うことで、市販のアプリケーションソフトや開発ツール、ドライバなどをそのまま活用することができます。殆どの場合USBやLANの接続コネクタ、Wi-Fi無線LANが標準で備わっているため、ネットワークへの接続やバーコードリーダー等の周辺機器の取り付けが簡単に行えます。
逆に、利用者に不必要な用途に使われたくない場合には、利用できるソフトに制限を掛けたり、不必要なソフトをアンインストールします。ハードウエアを改造できる範囲はあまり多くありません。主な改造は、専用のケースに入れてストラップを付けて首からぶら下げる、アタッチメントを付けて装置に組み付けるなどがあります。
対顧客で使用する業務用タブレットにおいて、会社としてのブランドイメージを持たせたい場合には、ロゴを付ける、専用のケースに入れるなどのアクセサリーで対応します。ホテルの自動チェックイン機などキオスク端末としての活用事例では、専用デザインのクレドールを開発して、それにセットした状態で設置することで、専用機としてのイメージを出している例もあります。
業務用タブレットの選び方
業務用タブレットの選定は、システムインテグレーションをどのようにするかが重要です。社内に強力な情報処理部門があり、自社で課題を解決できる場合には必要ありませんが、そうでない場合にはシステムインテグレーターの選び方が重要になります。特に一度に大量の業務用タブレットを導入して大規模な業務改善を目指す際には、システムインテグレーターの役割が重要です。
外部のシステムインテグレータに依頼する場合は、希望通りの業務ソフトを開発可能か、導入サポートと導入コスト、保守運用のサポートと運用コストが適切かなどを検討します。
タブレットPCは現在でも進歩の早い電子機器です。一度導入したシステムを長く使い続けて行く予定ならば、OSやメーカーのサポート期限や周辺機器の更新にも注意が必要です。
かつては製造現場において、高額の製造機械本体はまだまだ動くが、装置に組み込んであるPCが壊れて修理できなくて困る場合や、データの読み書きに使っているフロッピーディスクが購入困難になった場合などがよくありました。これから先、業務用タブレットでもよく似た問題が発生する可能性があるため、長期的な運用を見据えてどのように業務用タブレットを導入するべきを考える必要があります。