リフティングポイント

監修:株式会社ルッドスパンセットジャパン

リフティングポイントとは

リフティングポイントとは、吊具の一種で、重量物の吊り荷に取り付けられる金具です。

リフティングポイントは、可動域のないアイボルトとは異なり、独立のボルト部分とリング部分を持ちます。そのため、ボルトが曲がったり緩んだりすることなくリングが自在に可動します。

アイボルトでは安全上の理由で横吊りや引き起こしが禁止されていますが、リフティングポイントでは横吊りや引き起こしなどの重荷重がかかる吊り上げが可能です。自在に可動するアイボルトという意味合いで「自在アイボルト」と呼ばれる場合もあります。

リフティングポイントの使用用途

リフティングポイントは、様々な重量物の吊り上げに使用されます。通常の鉛直方向の吊り上げ以外にも、ねじの軸に対して横や斜めの方向に荷重がかかる吊り上げも可能です。そのため、金型や機械装置などの運搬、反転、引き起こしなど、さまざまな作業に利用されます。

具体的な用途例には下記のようなものがあります。

  • 各種大型金型 (大型樹脂成形用、ダイキャスト用) の移動、反転作業
  • 建設機械や輸送車両などの製造における、大型部品や構造体の組み立て
  • トンネル、橋梁工事などの重量部材の搬入、移動
  • 造船業における船体の大型部品やセクションの移動
  • 各種プラント、機械装置などの搬入、移動、設置

リフティングポイントの原理

1. 構造

リフティングポイントは、ボルト部分と部分が独立した構造になっており、荷重方向に360°回転 (ネジ軸に向かって垂直方向) 、180°可動 (ネジ軸を中心とする角度方向) します。

ボルト部分を吊り荷に埋め込んで、可動するワイヤーやチェーンを掛けて吊り上げを行います。

2. 使用荷重と使用方法

一般的に、リフティングポイントは、同一ボルト径の固定型JIS アイボルトに対して、最大で約3倍の使用荷重があることが多いです。

また、ねじの軸に対して縦の方向に荷重をかけるように設計されている固定型のアイボルトと異なり、リフティングポイントは、横吊り、斜め吊り、引き起こしといった、固定型のアイボルトでは危険の伴う作業にも対応が可能です。

なお、横吊りと垂直吊りとでは力のかかり方が異なるため、それぞれについて使用荷重が規定されています。

リフティングポイントの種類

リフティングポイントは様々な種類があり、多様な製品から選択することが可能です。

1. ボルトサイズ

ボルトサイズは製品にもよりますが、M6~M150などの多様な大きさに対応している場合が多いです。

通常、ひとつのボルトサイズにつき3種類程度の使用荷重を選ぶことが可能です。概ね、使用荷重は0.3t~250t の範囲内となっています。また、ボルト部分が長いロングボルト製品 (ネジ部分の長さ100mm前後) も対応可能な場合があります。

2. 材質

材質は一般的にはスチールや合金鋼が使用されますが、使用環境や耐久性の要求に応じて選定します。また、表面処理や仕上げも重要で、耐腐食性を向上させるために亜鉛メッキ、黒染め、粉体塗装などが施されます。より厳しい環境向けに、ステンレスのリフティングポイントを取り扱うメーカーもあります。

3. その他

シャックル部分がリング状やチェーン状になっている製品では、230°可動の製品があり、通常の180°よりも可動範囲が広いです。ベアリングを内部に封入している製品では、反転作業をよりスムーズに行うことができます。

また、ボルト式以外に、溶接によって吊り荷に固定する溶接式の製品もあります。荷重減少なしで使用出来る温度は、-40℃〜100℃ほどの製品が多く、高温対応の製品では200℃まで対応しているものもあります。それ以上の温度では使用荷重を減少させる必要があり、使用環境に応じて適切に選択することが重要です。

本記事はリフティングポイントを製造・販売する株式会社ルッドスパンセットジャパン様に監修を頂きました。

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溶剤回収装置

溶剤回収装置とは

溶剤回収装置とは、使用済みの廃溶剤から水分や不純物などを取り除いて再び利用可能な溶剤成分を回収する装置です。

溶剤回収装置は、蒸留の原理を利用して廃溶剤中から純度の高い溶剤を取り出す仕組みです。溶剤回収装置を用いて廃溶剤を再生することで、廃棄物排出量の削減や減容化、溶剤の購入コスト削減などの効果が期待できます。

なお、廃溶剤を再生する装置の他、印刷プロセスなどで使用される有機溶剤の蒸気・ガスを回収し、再利用可能な液体形態に凝縮する装置を指して溶剤回収装置と呼ぶ場合もあります。

溶剤回収装置の使用用途

1. 利用分野

溶剤回収装置は、有機溶剤を使用する様々な分野で使用されています。有機化学、無機化学、食品、医薬、金属、印刷など広い範囲の分野にまたがり、化学薬品工場、金属加工工場、印刷工場、クリーニング工場、塗装工場、ゴム工場など、様々な工場で利用が可能です。

2. 具体的な使用目的・シーン

上記の様々な分野において、廃溶剤からの溶剤回収を行う溶剤回収装置の主な使用目的には下記のようなものがあります。

  • 電子部品・精密機械の洗浄で排出される廃溶剤の回収
  • 塗装工程の際に排出される廃溶剤の回収
  • 化学・医薬品・食品・発酵工業などにおける廃溶剤回収
  • 汚泥・排水残渣の高濃縮減容化
  • 廃溶剤の焼却前の濃縮

また、排気されたガスを回収して濃縮するタイプの溶剤回収装置もあり、主な用途は下記の通りです。

  • 自動車関連部品、精密部品、半導体などの脱脂洗浄工程における排気処理
  • 化学薬品・樹脂などの乾燥・反応工程における排気処理
  • 医薬原体・中間体などの、反応・遠心分離・貯蔵の各工程における排気処理

溶剤回収装置の原理

1. 廃溶剤からの回収

溶剤回収装置は、蒸留を利用して廃溶剤から純粋な溶剤成分を取り出します。再生したい溶剤の沸点まで加熱して気化させ、生じた蒸気を冷却して凝結させることで溶剤成分だけを回収できます。

一般的な装置の仕組みは下記の通りです。

  1. 廃溶剤を蒸留用のタンクに投入する
  2. ヒーターでタンク内の廃溶剤を沸点まで温める
  3. 溶剤が気化して蒸気になる
  4. 生じた蒸気を空冷コンデンサ・冷却ファンで冷却する
  5. 冷却によって再度液体になった純粋な溶剤を回収する

2. 排ガスからの回収

排ガスから溶剤を回収するタイプの溶剤回収装置は、粒状活性炭などを利用して排ガス中の溶剤を吸着させ、清浄空気を排気します。活性炭層に水蒸気を吹き込むことにより吸着した溶剤を活性炭から脱離させ、凝縮・分離し、回収する仕組みです。

3. 回収可能な溶剤

溶剤回収装置で回収可能な主な溶剤には、炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、ハロゲン系溶剤などがあります。一方、下記の条件に当てはまる溶剤は、一般的に回収することが困難です。

  • 沸点が280℃以上の場合
  • 液性が酸性やアルカリ性の場合
  • 粘度が高い場合
  • ニトロセルロースが混入されている溶剤

溶剤回収装置の種類

溶剤回収装置には様々な種類があり、用途に応じて使い分けることが必要です。廃溶剤から回収する製品と排ガスから回収する製品で大きく装置の仕組みが異なり、その上でそれぞれに細かい機構の違いがあります。

1. バッチ式と連続式

廃溶剤からの回収装置には、バッチ式と連続式があります。バッチ式とは、タンクに一回充填した分の廃溶剤のみを処理する方式です。

対して連続式とは、タンク内の廃溶剤の減少に応じてポンプで連続自動充填される方式です。廃溶剤の減少は蒸留タンク内の液面センサーで感知されます。連続式の長所は、追加充填を行うことでタンク容量の数倍の量を連続的に再生することが可能である点です。

2. 圧力

溶剤回収装置は、常圧で蒸留する製品と減圧で蒸留する製品があります。常圧で蒸留する製品の場合、主に溶剤の沸点温度が約50℃~180℃の溶剤を処理することが可能です。

それよりも沸点の高い溶剤を処理する場合は減圧式の製品を用いる必要があります。減圧下では沸点が下がるため、概ね常圧時の沸点が250℃までの溶剤の蒸留が可能です。

業務用アロマディフューザー

業務用アロマディフューザー

業務用アロマディフューザーとは、オフィス、商業施設をはじめとして、業務シーンで使用されているアロマディフューザーです。

業務用アロマディフューザーは、店舗などにおいて顧客満足度を向上させる目的や、フィットネスジムなどの臭いを改善したい使用シーンのほか、一般オフィスでも来客へのおもてなしや業務モチベーション向上などに活用されています。

一般的に家庭用アロマディフューザーよりも香りの拡散範囲が広く、熱や高圧を使用しない安全な製品が使用されていることが多いです。

業務用アロマディフューザーの使用用途

1 . 顧客向け

業務用アロマディフューザーは、商業施設などにおいて心地よい空間を演出し、施設を訪れる顧客の満足度を高めたり、滞在時間を長くしたり、リピート率を高くしたりする効果が期待できます。このような目的で使用される施設には主に下記のようなものがあります。

  • アパレルなどの小売店・商業施設
  • ショールーム
  • ラウンジ・バー
  • ホテル・宿泊施設
  • ブライダルサロン
  • フィットネスジム
  • 温浴施設
  • クリニック・医療施設
  • 介護施設
  • エステティックサロン
  • 美容室

また、業務用アロマディフューザーの中には消臭効果のある製品もあり、フィットネスジムなど臭いが気になりやすい場所での対策としても効果的です。

2. オフィス

業務用アロマディフューザーは、一般的なオフィスでも活用されています。受付・来客スペースにおける使用では、空間演出、企業イメージ向上、ブランディング効果などが期待できます。

また、一般執務室においてもリラックス効果や集中力向上のため、職場の環境改善や生産性向上を目的に導入されているケースが多いです。

業務用アロマディフューザーの原理

1. 動作機構

アロマディフューザーには、気化式、噴霧式、超音波式、加熱式などの動作機構があります。業務用アロマディフューザーは不特定多数の人が利用する大空間で使用することが前提であるため、安全に広範囲へ香りを広げることができる噴霧式が一般的です。

噴霧式には、 オイルそのものを微粒子に変え、空間に拡散させることで香りを広げるネブライザー式や、ガラス容器の中でオイルをたらし、微細な振動を使ってオイルを微粒子に変えて香りを拡散させるアロマドロップ式などがあります。

2. オイル

香りの素として使用されるオイルには、天然成分のエッセンシャルオイルや、合成香料などがあります。エッセンシャルオイルは 自然の動植物から抽出された100%天然の香料で複雑な豊かな香りが特徴ですが、一般的にやや高価です。天然の動植物を原料とするため、香りの持続性や均一性は原料によって異なります。

合成香料は、石油系の原料から合成され、天然香料よりも安価であるという特徴があります。自然界にない香りも合成可能であり、均一で持続性の高い香りを作り出すことができる一方、単調な香りになりやすい場合もあります。

天然香料と合成香料の両者をブレンドしたフレグランスが用いられる場合もあります。

業務用アロマディフューザーの種類

業務用アロマディフューザーには、様々な製品があり、用途や目的に合わせて適切に選択することが必要です。

各製品の対応範囲は、床面積にして120m2ほどの製品から、240m2、500m2ほどの中程度の製品、1200m2ほど (テニスコート約10面分) の大空間まで様々です。床据え置き、棚置き、壁設置のほか、大空間用では空調ダクトに取り付ける製品もあります。

また、製品によってそれぞれ様々な専用香料が用意されています。タイマー運転、曜日ごとの詳細な設定や、1日の中でも複数の濃度設定ができるなど、こまかな演出が可能な機能を搭載している製品もあります。

空洞調査サービス

空洞調査サービスとは

空洞調査サービスとは、レーダー探査機などを用いて、地下の空洞や埋設物などを調査するサービスです。

路面の空洞や埋設管の調査の他、遺跡や防空壕などの探査も可能です。ボーリング調査などが行われる場合もありますが、レーダー探査の場合は非破壊探査であるため、採掘や地面への損傷なく調査を行うことができます。

効率よく広範囲の調査を効率良く行うため、道路調査車などが利用されています。

空洞調査サービスの使用用途

1. 使用目的

空洞調査サービスは、路面地下の空洞を検出することで空洞による陥没事故を防止したり、土地売買の際に地中埋設物を調査したりする目的などで使用されています。

下水管や雨水管など地下に埋められた管路の老朽化は、地中への漏出を引き起こし、周辺の地盤に空洞を発生させます。こうした空洞は、路面の陥没事故の原因となるため、適切な調査が必要です。

また、工事などを計画する際に電気管や水道管、ガス管などの埋設管の位置を予め把握することで、配管損傷事故を防ぐことも可能です。

2. 検出可能なものの例

基本的に地盤と誘電率の差があるものなら探査・検出が可能です。主な検出物には下記のようなものがあります。

  • 空洞、路面下空洞
  • 地中埋設管類 (上下水道管・ガス管、電力・信号ケーブル)
  • 遺跡・遺構、防空壕
  • 産業廃棄物などの地下埋設物
  • 地層構造

空洞調査サービスの原理

1. レーダー探査

空洞調査サービスは、主にレーダー探査が使用されています。レーダー探査は、地中や構造物に向けて電磁波を送信し、電磁波の反射を分析して埋設物の種類や位置を特定する探査方法です。

電磁波の速度はその媒体固有の比誘電率に影響されます。比誘電率から電磁波の速度を求め、反射時間を計算することで埋設物の深さを算出することが可能です。

地中等に送信する電波の照射方向を制御することはできないため、レーダー装置は移動させながら計測します。例えば、車道の路面下であれば道路調査車が使用されます。道路調査車は横方向に地中レーダが搭載され、時速30〜45kmで走行する車両です。

それ以外にも、手押し式の地中探査機や、削孔してスコープを挿入するスコープ調査などが用いられる場合もあります。

2. その他

レーダー探査以外の地中探査の方法には、ボーリング調査や弾性波探査、電気探査、表面波探査などがあります。

ボーリング調査は、ボーリング孔を利用した空洞調査・計測を行う目的で実施します。空洞の規模・拡がりを調べたり、充填状況を確認したりする場合は、ロータリーバイブロ式ボーリングマシンを使用することが多いです。

空洞調査サービスの種類

空洞調査サービスは、様々な企業より提供されています。提供企業によって、得意としている分野が異なる場合もあるため、目的に合わせて適切なサービスを選定することが必要です。

例えば、路面下空洞調査に特化しているサービスでは、道路調査に特化したレーダー車両を保有してます。また、電磁波レーダーに加えてレーザーなどによる表面撮影 (路面性状調査) を組み合わせた複合探査車が用いられる場合もあります。

AIとの技術融合を行っているサービスでは、路面画像からひび割れを描画したり、自動的に空洞を抽出したりすることが可能です。

家屋やビル建設などの地質調査を得意としているサービスでは、測量・補強工事・住民説明などにも対応している場合があります。サービスによっては、一般的な地中レーダー探査の他に防空壕位置調査、遺跡埋蔵文化財調査も可能です。

その他、特殊な調査に対応した例では、トンネル背面調査、湾岸・護岸・漁港空同調査などがあります。

レーダー探査

レーダー探査とは

レーダー探査とは、電磁波レーダーの反射、屈折、透過現象を用いて建造物内部や地中などを検査する非破壊検査サービスです。

レーダー探査は、主に建物などのコンクリート内部の鉄筋や電気配線管の位置を特定したり、地中の空洞・埋設物などを探索したりするために使用されます。非破壊かつ短時間で広範囲を探査することが可能です。

道路調査車や探査機械を用いて電磁波を発信して反射してくる電磁波を受信し、材質による比誘電率の違いを利用して探査対象物を分析します。

レーダー探査の使用用途

 レーダー探査は、建造物や地中などにおける様々な配管・鉄筋・埋設物を調査・検出するために使用されます。下記のようなものを検出することが可能です。

  • 鉄筋
  • 上下水道管・ガス管
  • 電力・信号ケーブル
  • 空洞
  • ひび割れ
  • 地層構造

土木・建築などの分野で広く使用されており、主な調査には下記のようなものがあります。

  • コンクリート構造物の鉄筋・配管のかぶり厚の調査
  • 改修工事・耐震診断などにおける鉄筋位置の調査
  • 地中やコンクリート内における既設の埋設物・埋設管の位置、深度の調査
  • 橋梁の床版変状の検出
  • 路面ひび割れ・路面下空洞の調査
  • 地盤中の空洞、ゆるみの調査
  • トンネルのコンクリート厚、背面の空洞調査
  • 遺跡調査
  • タイルの剥離・タイル浮き探査
  • 建築物建設や土地売買の際における地中埋設物調査

レーダー探査の原理

1. 基本的な仕組み

レーダー探査は、地中や構造物に向けて電磁波を送信し、電磁波の反射を分析して、埋設物の種類や位置を特定する探査方法です。地中等に送信する電波の照射方向を制御することはできないため、通常レーダー装置には移動させながら計測するための車輪がついていることが多いです。

装置からコンクリートや地中に向けて電磁波を放射すると、鉄筋・電気配線管・空洞など、周囲と電気的な性質が異なる物質との境界面で反射が起こります。この反射した電磁波を探査装置の受信アンテナで受信することで、埋設物を検出する仕組みです。

送信から受信までにかかる時間を計測することで、埋設物までの距離 (かぶり厚) を算出することができます。使用周波数帯は、50MHz~4.5GHzの範囲であることが多いです。

2. 比誘電率

比誘電率とは、物質の誘電率と真空の誘電率の比であり、物質ごとの固有の値です。電磁波の速度はその媒体固有の比誘電率に影響されます。比誘電率から電磁波の速度を求め、反射時間を計算することで埋設物の深さを算出することが可能です。

水分量によりこの比誘電率は変化し、例えば打設後間もないコンクリートは水分含有量が高いため比誘電率が高くなる傾向にあります。機器によっては比誘電率を自動で算出可能です。

レーダー探査の種類

レーダー探査は、土木・建設などの分野で広く使用されています。使用分野によって必要な機能が少しずつ異なる場合もあるため、適切なサービスを選択することが必要です。

建設物などで用いられる多くのレーダー探査機は、車輪がついていて、手で転がす、もしくは台車のように両手で押して走らせます。路面調査など大掛かりな地下探査の場合は、道路調査車による調査が必要です。

製品やサービスによって特色ある機能が搭載されている場合もあります。例えば、クロススキャン機能を搭載している製品は、鉄筋奥の第二鉄筋や塩ビ管、CD管、PV管、空洞などを正確に検出することに長けています。

路面調査などでは、電磁波レーダーに加えてレーザーなどによる表面撮影 (路面性状調査) を組み合わせた複合探査車が用いられる場合もあります。また、AIとの技術融合を行っているサービスでは、路面画像からひび割れを描画したり、自動的に空洞を抽出したりすることが可能です。

フロッキー加工

フロッキー加工とは

フロッキー加工とは、予め接着剤を塗布した基材の上に、静電気の帯電を利用して短い長さ (0.5~2mm程度) の繊維を接着させる技術です。

フロッキー加工を施すことで、ベルベットやスエードのような質感を表面に与えることができ、立体感を演出できます。手触りのほかに、保温効果、断熱効果、遮光効果などの機能面もあります。

別名では、フロック加工、静電植毛、電着加工、電気植毛などと呼ばれる場合もあります。一般的に、フロッキー加工と呼ばれる場合は、服飾製品、人形、インテリアなどに用いられている場合が多く、静電植毛と呼ばれる場合は、機能面を目的とした工業製品への加工が行われる場合が多いです。

例えば、吸光・反射防止を目的としたカメラ部品への加工や、火傷防止を目的とした金属部品への加工、結露防止を目的としたエアコンルーバーへの加工などがあります。

フロッキー加工の使用用途

フロッキー加工は、短繊維を垂直に接着し、毛羽を植毛する表面加工の方法です。毛が生えた見た目や、ふわふわとしたベルベットやスエードのような手触りを与えることが可能です。

加飾用途では、フォーマルアイテムやエレガントなデザインの製品に用いられたり、服飾用布地などに対して部分的に植毛をして柄を作ったりなどの用途があります。

その他、機能面では遮熱・断熱効果、反射防止効果、迷光抑制効果、結露防止効果、消音効果、防滴効果などの効果があり、こちらは同じ加工方法で呼び方が違う「静電植毛加工」として扱われることが多いです。

それぞれの呼び名と主流となる業界や、主な使用用途はそれぞれ下記の通りです。

1. フロッキー加工が主流となる業界

  • 玩具業界:ぬいぐるみ、人形、ジオラマ用の芝生、ペーパークラフトなど、柔らかい質感や見た目が必要な製品に多く用いられます。
  • 雑貨業界: 宝石箱、贈答用の箱、DVDボックス、ご祝儀袋などの加飾、文具、スマートフォンなどの滑り止めシールや、ハンガーなどの滑り止め、ポーチ、スマホケースなど、日常的に使用する製品に幅広く採用されています。
  • ファッション業界: 服飾品、アクセサリーなど、デザイン性の高い製品に用いられることがあります。

2. 静電植毛加工が主流となる業界

  • 自動車業界: 内装部品、ダッシュボードなど、耐久性と耐摩耗性が求められる部品に用いられます。
  • 電子機器業界: スピーカー、マイクなど、音響機器や精密機器の表面処理に利用されます。また、カメラの内部や、自動車のヘッドアップディスプレイ(HUD)の内部などの吸光・反射防止や、コピー機内部の金属部品、こたつの金属部分などの火傷防止など幅広く利用されます。
  • 医療機器業界: 内視鏡、カテーテルなど、生体適合性と耐久性が求められる医療機器の表面処理に用いられます。

3. 両方の呼び方が混在する業界

  • 印刷業界: 卒業証書ホルダー、ブックカバーの表装など、印刷物の表面に特殊な効果を出すために、両方の呼び方が混在して使用されることがあります。
  • 産業用部品業界: 製品の種類や用途によって、どちらの呼び方が使われるかが異なります。

フロッキー加工の原理

1. 材料

フロッキー加工は、接着剤を塗布した基材の上に、静電気を帯電した短繊維を植毛する加工です。

基材にはフィルム、樹脂 (ポリエチレン、ポリプロピレン、
塩化ビニルなど) 、紙類、布地、不織布、ゴム、鉄・SUS・アルミなどの金属、木材、コンクリートなどを用いることが可能です。

植毛する短繊維 (フロック) にはナイロン、レーヨンが主に使用され、その他ではアクリルやポリエステルなどの合成繊維、シルクやコットンなどの天然繊維などが用いられます。標準的なフロックは、直径11~90μm、長さは0.3~5mm程度です。

接着剤には、アクリルエマルジョン接着剤、酢酸ビニルエマルジョン接着剤などの水溶性接着剤が主に使用されます。また、水を使うことができない製品や金属製品への腐食を避ける目的でポリウレタン接着剤、エポキシ樹脂接着剤などの溶剤系接着剤が使用される場合もあります。

2. 加工プロセス

フロッキー加工の大まかな流れは下記の通りです。

  1. 接着剤塗布
  2. 静電植毛
  3. 乾燥
  4. 余剰フロック除去
  5. 検品・梱包・納品

接着剤を塗布した被植毛基材は、電極板と高電圧電源によって生じる電界の中にセットされます。フロックは電極板に載せられて高電圧によって電荷を帯び、電界中の静電気力によって基材に向かって飛翔し、直立して接着されます。この際使用される直流高電圧は約20~60kVです。

乾燥工程では、温風やヒーターにより接着剤の加熱硬化を行い、その後、表面に付着した余剰フロックを加振やブラシ掛けにより除去します。

フロッキー加工の種類

フロッキー加工、または静電植毛加工は、その手法や目的によって様々な種類に分類できます。ここでは、代表的なものをいくつかご紹介します。

1. アップ法

パイルを下方から上方へ飛翔させて植毛する方法で、パイル密度や立毛性に優れます。基材全体に均一な植毛が可能。
パイルの密度を高くできるため、ふっくらとした質感が出やすいのが特徴です。

2. ダウン法

パイルを上方より下方へ飛翔させて植毛する方法で、植毛効率が高いのが特徴です。パイルが基材に深く食い込むため、耐久性も高く、毛足が長く、柔らかい風合いが出しやすいです。

3. サイド法

パイルを横方向に飛翔させて植毛する方法。基材を吊り下げて、連続で植毛することができます。特殊なパターンや模様や、立体的な効果を出すことができます。

4. アップダウン法

アップ法とダウン法を組み合わせた方法で、の両方のメリットを活かせます。より自然な風合いを出すことができるのも特徴です。

歯車修理サービス

歯車修理サービスとは

歯車修理サービスとは、歯車の破損、すり減りや歯こぼれなどに対応して、必要な歯車部品製作を行うサービスです。

様々な工業ライン・設備に使用されている歯車は、使用とともに歯が欠けたり破損したりして故障する場合があります。そのような場合、歯車修理サービスを用いて破損箇所に対応する歯車のみを調達することで、ライン全体を入れ替えるよりも低コストで故障に対応することが可能です。

歯車修理サービスでは、図面がない場合でも現物から歯車の再製作を行うことができます。

歯車修理サービスの使用用途

歯車修理サービスは、各種産業設備・ 産業機器・生産ラインなどにおいて、歯車の摩耗・歯こぼれ・破損などが発生した場合に修理を行う目的で利用されます。

各種産業用途における歯車は経年とともに劣化や破損が発生しますが、製造メーカーで歯車部品が欠品していたり廃盤となっていたりする場合があります。そのような場合でも歯車修理サービスでは、現場で詳細な形状・寸法を採寸し、破損した部分のみの再製作が可能です。

減速機、化学メーカーのプラント装置部品、工業製品の生産ライン、工作機械、農業用運搬機、食品機械、撹拌機、クラッシックカーやバイク等のカスタムなど様々なシーンで利用されています。

主な目的は下記のとおりです。

  • 一般的な歯車部品の歯の一部欠損・すり減り・破損に対する修理
  • 図面や部品手配の難しい海外製の歯車部品の修理
  • メーカーサポートが終了して部品が廃盤になってしまった機械の歯車交換
  • 停止すると困る機械に対してスペアの歯車部品の製作
  • 図面のない予備パーツからの複製
  • メーカーの回答納期では間に合わない場合の歯車部品調達

歯車修理サービスの原理

1. 歯車修理サービスの流れ

歯車部品は部分的な補修が難しいため、歯車修理サービスでは基本的に該当部品の再製作となります。基本的な流れは下記の通りです。

  1. 現物調査・見積: 歯車の破損部位を確認し、製造工程の検討と見積算出を行います。
  2. 採寸・製図: 現物の精密測定・採寸を行い、それを元に図面を作成します。
  3. 製作: 切削加工、熱処理、メッキ・表面処理、研磨などを用い、製品に適した対応した加工方法で歯車製造を行います。
  4. 検品・出荷: 適切な検査・測定の後、梱包・出荷を行います。

一般的な納期は2週間〜1ヶ月ほどです。サービス提供者や修理する歯車部品によって異なります。

2. 主な歯車の種類

歯車修理サービスで修理 (再製作) される主な歯車の種類は下記の通りです。

  • 平歯車
  • ヘリカルギヤ 
  • スプライン 
  • ベベルギヤ 
  • スパイラルベベルギヤ
  • ゼロールギヤ
  • ハイポイドギヤ
  • スパーギヤ

利用するサービスによって異なりますが、手のひらぐらいの大きさからφ800以上の大盤、2m以上の長尺にも対応している場合があります。

歯車修理サービスの選び方

歯車修理サービスは様々な種類があり、ニーズ・目的に合ったものを選定することが重要です。

例えば、歯車部品製作期間中も生産ラインや生産設備を停止できないような緊急性を要するケースでは、応急歯車 (テンポラリ・ギヤ) などの仮の製品を提供しているサービスが向いています。

また、図面がない場合は、図面なしで現物からの修理に対応しているサービスを選択することが必要です。サービス事業者によっては、次回以降の修理のためにデータ提供を行っている場合もあります。

ブレーカープレート

ブレーカープレートとは

ブレーカープレートとは、押出成形機のスクリューの先端と 金型との間に使用される金属部品です。

たくさんの穴が空いた円形の板で、スクリーンメッシュと呼ばれる金網と共に流路に設置されます。ブレーカープレートとスクリーンメッシュの組み合わせを用いることで、異物除去と背圧上昇の効果をもたらします。

ブレーカープレートは清掃により繰り返し使用できる部品です。目詰まりや材料変更のたびに清掃が必要となるため、押出成形機の中にはシリンダーを分解せずにブレーカープレートを交換できるスクリーンチェンジャーを搭載しているものもあります。

ブレーカープレートの使用用途

ブレーカープレートは、押出成形機のシリンダと金型との間に設置される部品です。押出成形機とは、加熱した熱可塑性プラスチックや金属などの材料を、シリンダのスクリューで押し出してチューブやシート、フィルムなどを生産する装置です。

ブレーカープレートを使用する主な目的として、スクリーンメッシュを保持する、成形材料に含まれる異物をろ過によって取り除く、シリンダ内部の背圧流を増加させて樹脂の混練効果を大きくする、などがあります。

また、ブレーカープレートは、下流の流れを一定速度にする効果もあります。ポリマーのレオロジーテストにおいて、スクリーン領域全体に分布を最適化することも可能です。

ブレーカープレートの原理

1. 押出成形機における役割

ブレーカープレートは、金属製の円板で多数の穴が空いています。押出成形機において、材料を押し出すシリンダ先端にスクリーンメッシュと共に設置される部品です。スクリーンメッシュはステンレス製の金網であり、30~120メッシュの粗さのものを1枚、もしくは複数枚重ねます。

ブレーカープレートとスクリーンメッシュを取り付けることで、材料に含まれる異物をろ過によって取り除くことが可能です。また、背圧が生じるため、後述の通り混練効果が上昇します。また、材料の変更や目詰まりの際は、取り外して洗浄機で洗浄を行います。

2. 背圧

背圧とは、シリンダー内において前進する材料と後退する材料のぶつかり合いによって生じる圧力です。この際の流れの様子は背圧流と呼ばれます。

スクリューが回転してシリンダ先端に送り込まれた溶融材料は、ブレーカープレートとスクリーンメッシュに妨げられ、 スクリュー方向へ材料が後退します。その結果、剪断が発生して背圧流が生じます。

シリンダ内部の背圧流が増加することで、高い混練効果を得ることが可能です。また、加圧により溶融材料の間の空気が抜けるため、ピンホールなどの不具合対策にもなります。

一方で、背圧によって剪断発熱が生じる場合があります。剪断発熱が過剰になると、炭化・熱分解・ゲル化など熱劣化の原因にもつながるため注意が必要です。

また、背圧がかかり過ぎた場合、真空ベントから材料があふれるベントアップが発生するおそれもあります。適切なブレーカープレートとスクリーンメッシュの組み合わせを用いることでこのようなデメリットを防ぐことが可能です。

ブレーカープレートの種類

1. 素材

ブレーカープレートには様々な製品があります。素材では、ステンレスの他、S50C (炭素鋼鋼材) やSUJ2 (高炭素クロム軸受鋼鋼材) などの鋼材、アルミなどが用いられることが多いです。

2. 外形寸法・穴径

ブレーカープレートの外形寸法は、押出成形機の大きさに合わせて様々です。小さいものではΦ30mm程度から、Φ115mm、Φ155mm、Φ200mm程度などの種類があります。

プレートに開けられる穴径はΦ2〜4mmを中心に製品によって異なります。穴の数も概ね400〜1300を中心に様々です。ブレーカープレートの穴径はクラス2、クラス3、クラス4などの区分で分類される場合もあり、クラス2を業界標準として、クラス3、クラス4の順に穴径は大きくなります。

それぞれの穴径のブレーカープレートに合った細かさのスクリーンメッシュが使用されます。個々のケースに合わせて開口面積と耐圧強度のバランスを取り、圧力損失を少なくする組み合わせを選択することが必要です。

例えば、粘性が高い材料の場合は圧力損失が大きくなりやすいため、穴径の大きいものを用いることで圧力損失を減らすことが可能です。また、Φ125mm前後までの比較的小さいブレーカープレートには概ねクラス2とクラス3のみが使用されます。

3. 特殊形状

押出成形機に合わせて特殊形状のブレーカープレートが使用される場合もあります。例えば、連続スクリーンチェンジャー用ブレーカープレートは凸状です。この構造により、吹き付けが行われる中央部の強度が増しています。

汚物除去機

監修:エレクトロラックス・プロフェッショナル・ジャパン株式会社

汚物除去機とは

汚物除去機とは、汚物の付着したシーツや衣類などを下洗い無しでそのまま洗うことができる業務用洗濯機です。

介護現場や福祉施設、医療機関などにおいては、便や尿などが付着したリネンや衣類の洗濯が必要となる場面があります。通常の洗濯機を用いる場合、そのまま洗うことができないため、手洗いをしたり、薬品に1時間以上浸漬させて消毒したりするなどの処理を経てから洗濯・乾燥を行うことが必要です。

汚物除去機を用いることで、このような時間と人的負担を要する汚物処理の負担を軽減できます。汚物除去機を用いることで、漂白・洗浄・脱水を一本化して自動化することが可能です。

汚物除去機の使用用途

汚物除去機は主に介護施設、福祉施設、医療機関などで導入されています。尿や便、吐瀉物などの汚物が付着したタオル、シーツや衣類の洗濯に用いられる洗濯機です。

洗濯される衣類・リネンは主に下記のようなものがあります。

  • 汚物のついた衣類 (肌着・パジャマなど)
  • 布おむつ
  • 清拭タオル
  • シーツ
  • 医療従事者の白衣やナース服
  • 介護者のユニフォーム

汚物除去機を使用しない場合、固形物の除去、下洗い、消毒・漂白などを手作業で行う必要があり、重労働となります。汚物除去機は、下洗い無しで直接洗濯ができるため、省力化・業務負担軽減に有効です。また、汚物除去機を用いることで汚物の洗濯にかかる全体の時間も短くなるため、作業時間短縮の効果もあります。

業務用洗濯機の一種であるため、家庭用洗濯機を用いる場合に比べて機械の耐久性が高く、壊れにくい点もメリットの1つです。

汚物除去機の原理

汚物除去機はドラム型横開き式の形状が一般的です。汚物を衛生的に処理できるよう、いくつかの点が通常の業務用洗濯機と異なっています。

1. ドラム

ドラムは、ドラム内の排水の穴を大小の組み合わせにすることで、洗浄中に細かくなった固形物をスムーズに排水できる仕組みになっています。通常の業務用洗濯機だと穴が小さく、固形物がドラム内に残ってしまいますが、汚物除去機では全て取り除くことが可能です。

2. 排水配管・トラップ

汚物除去機は、排水口から臭いが逆流するのを防ぐ構造になっており、衛生的に汚物を処理することが可能です。機械内部に排水トラップを内蔵した製品や、大型の排水弁を備えた製品などがあります。

3. 感染対策

汚物除去機は、85℃以上の熱水での10分以上の洗濯など、高温での洗濯により消毒が可能な場合が多いです。また、感染対策のための専用洗剤が用意されている場合もあります。専用洗剤にはいくつか種類があり、白物専用の漂白剤や、ノロウイルスや新型コロナウイルスに対応した酸素系漂白剤、アルカリ性洗浄剤などが挙げられます。

人の手で下洗いをする場合は、次亜塩素酸が使用される場合が多く、色落ちに気をつける必要がありました。汚物除去機では、色柄物用の洗剤・漂白剤を用いることにより、色落ちを気にすることなく衛生的に消毒を行うことが可能です。

汚物除去機の種類

汚物除去機には複数の大きさの製品があり、洗濯容量は主に8kg、10kg、11kg、20kgなどがあります。5.5kg前後の小型汚物除去機は家庭用洗濯機のスペースで設置できるようになっているため、家庭用洗濯機からの入れ替えを想定して製品提供されています。

また、熱源タイプでは温水式や電気式、蒸気式があり、このうち電気式と蒸気式では85℃以上の熱水による10分以上の消毒滅菌が可能です。

他にも製品によって様々な機能を備えている場合もあります。例えば、オムツ専用プログラムを搭載している製品や、洗剤自動投入機能を備えた製品、節水や静音、制振に力を入れている製品などがあります。用途や利用シーンなどに合ったものを選択することが可能です。

本記事は汚物除去機を製造・販売するエレクトロラックス・プロフェッショナル・ジャパン株式会社様に監修を頂きました。

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粗砕機

監修:平野整機工業株式会社

粗砕機とは

粗砕機とは、大きな塊となった固化原料を粗めの大きさに砕く装置です。

食品製造で使用される原料や医薬品原料などの無機性、有機性原料の他、鉱石や砕石などで使用されることもあります。手で解す、床にたたきつけるなどで、人手を使って作業してる際に大きな効果が期待できます。

特徴として、袋詰めの粉末原料が固化した状態でも中身を砕いたり、ほぐしたりすることができる装置も有ります。粉砕機などで細かく粉砕する前段階に粗砕機が使用される場合も多いです。

粗砕機の使用用途

粗砕機は、様々な産業分野における塊の粗砕などに使用されます。下記は使用の一例です。

1. 食品

食品関係の用途には、食塩や砂糖類、乳製品、クエン酸など、固化しやすい原料の粗砕用途があります。製糖・製塩や、清涼飲料水や各種食品の製造で有効です。また、その他塊状の様々な原料の粗砕に用いられます。

主な使用品目には下記のようなものがあります。

  • 食塩類
  • 砂糖・ブドウ糖
  • クエン酸
  • 酢酸ソーダ
  • ビールホップ
  • 各種フレーク
  • 乳製品
  • ココア
  • レモン氷塊
  • 野菜・乾燥野菜
  • 豚骨

2. 化学・医薬品

化学薬品の粉末結晶、医薬品、樹脂など袋の中などで固着しやすく、粗砕が必要になる場合があります。粗砕機を用いることで、人の力よりも細かく、効率的かつ安全にほぐすことが可能です。

主な使用品目には下記のようなものがあります。

  • 重炭酸カリアンモニウム
  • 炭酸水素アンモニウム
  • 硝酸アンモニウム
  • リン酸カリウム
  • ホウ酸
  • パラトルエンスルホン酸
  • 硝酸ニッケル
  • 原料蝋
  • 樹脂ペレット・ゴムペレット
  • ラクタム
  • グルタミン酸ソーダ
  • クイントン系ペレット

3. 採石・建設業

採石業においては、鉱石処理、砕石生産などの一連の破砕・粉砕処理において、一番はじめの段階で使用されます。採掘したままの大きな塊の鉱石や鉱石を崩すことが可能です。

また、建設現場においては、岩石やコンクリートなどの建設材料を砕き、建設資材としてサイズや形状に加工するための最初の粗砕として利用されます。

4. 廃棄物処理

廃棄物処理における、粗砕機の使用目的の1つは、廃棄物の嵩を減らすことです。アルミなどのパネルやバンパー、フィルム、容器などの1次破砕が可能です。金属や木材、プラスチック、紙類などを、数mm程度のチップへ細断することができます。廃棄物細断化により、廃棄物処理コストや廃棄物管理コストの削減につながる場合があります。

また、リサイクル可能なプラスチックやガラス、金属などの場合は、粒度を細かくした上で攪拌することにより物性が均一になり、リサイクル効率を上げることが可能です。

粗砕機の原理

粗砕機は、対象物を大きな力で叩いたり、回転する刃やハンマーで切断・剪断したりすることで砕く機械です。大きな塊を数cmもしくは数mmのある程度の大きさに砕くことに用いられます。

対象物を直接砕く製品のほか、袋の上からほぐすことができる製品もあります。袋の上からほぐす製品は、特に袋体粗砕機と呼ばれる場合があります。袋を損傷することなく、中身だけを粗砕することが可能です。中の塊を砕いて全体を均一にほぐし、均一な厚みに整袋します。製品や内容物にもよりますが、一般的に1分当たり2〜3袋を砕くことが可能です。

対象物の投入方法には、連続投入式とリターン式があります。連続投入式は、一方向の運動で動作しており、投入口に入れた対象物はベルトコンベヤーで運ばれながら粗砕され、順次反対側から出てきます。特に袋数が多い場合などに適する粗砕機です。

リターン式は、投入と破砕が往復運動によって繰り返される仕組みの機械です。連続投入式とリターン式を切り替えることが可能な製品もあります。

粗砕機の種類

粗砕機の種類には、動作機構別では、圧縮式粗砕機、衝撃式破砕機、切断・剪断式粗砕機の3種類があります。

また、細かな分類では、固化した粉体向けに特化した製品や、袋の上から粗砕を行うことに特化している製品などがあります。

1. 圧縮式破砕機

圧縮式粉砕機は、2つの面の間に対象物を噛み込み、圧縮によって砕きます。主にジョークラッシャー (2つの平面で圧縮する)、ジャイレトリークラッシャー・コーンクラッシャー (2つの円錐体の内外壁面を用いて圧縮する) 、ロールクラッシャー (2本のロール間で圧縮する)などの種類があります。ジョークラッシャーは、2平板をV型に配置して、開いた側の端を水平に運動させて圧縮を行う仕組みです。ロールクラッシャーは、二つの回転数を変えて剪断作用を加える場合もあります。

2. 衝撃式破砕機

衝撃式破砕機とは、衝撃力で破砕を行う粗砕機です。

高速回転するローターの周辺に衝撃板やハンマーを取り付け、対象物を上方から円周方向に落下させて打撃を与えます。壁側に反発板を取り付けて、一度衝撃作用を受けた対象物をはね返すことで、繰り返し衝撃を行うようにした構造のものもあります。

ハンマーは、スイングハンマータイプのものもありますが、一般的には固定型が多いです。

3. 切断・剪断式粗砕機

切断・剪断式粗砕機は、鋭利な刃物による切断・剪断により粗砕を行います。大型の一枚刃を落下させて切断するギロチン型シュレッダーをはじめとして、切断用の刃をロール状にしたものや複数刃を高速回転させるタイプのシュレッダーなど、多種多様な製品があります。

鉱物質の対象物よりも、金属、木材、プラスチック、紙などのチップ化として使用されることが多い粗砕機です。

本記事は粉砕機を製造・販売する平野整機工業株式会社様に監修を頂きました。

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