健診システム

健診システムとは

健診システムとは、健康診断業務を効率化・省力化するシステム製品全般を指します。

予約管理、受付登録などの窓口業務から、検査機器や電子カルテとデータ連携した健診業務、報告書・帳票出力、会計業務などを一括して処理することができます。従来のペーパーベースの業務よりも運営負担も軽減され、スムーズな運営を行うことが可能です。健康診断の他にも、予防接種、保健指導面接などにも対応しています。

健診システムの使用用途

健診システムは、クリニック、診療所、病院、健診センターなど、健康診断を行う検査機関などで使用されるシステムです。

健康診断は、従業員に健康診断を受けさせる義務を負っている企業や、自治体の集団健診など、様々なシーンで行われており、病院や健診センターへ委託されています。健診機関は、様々な団体を受け入れ、多数の受診者の健診を行う場合が多いため、健診システムを導入することで、省力化やヒューマンエラー防止の効果が期待されます。また、健康診断を検査機関へ依頼する企業側で使用されているシステムもあります。

健診システムは、通常の健康診断以外にも活用が可能で、主な用途には下記のようなものがあります。下記のうち、特殊健康診断とは、特定の業務に従事する従業員に義務付けられている健診で、業務ごとに数百種類もの種類があります。

  • 定期健診
  • 人間ドック
  • 特殊健康診断
  • 生活習慣病健診
  • 予防接種
  • 保健指導や面接

健診システムの原理

健診システムの主な機能には下記のようなものがあります。

  • 受付: 予約管理/受診者情報の管理
  • 問診の受付
  • 健診の実施
  • 結果の入力: 自動判定や医師判定の入力
  • 報告書の出力データ出力
  • 企業や健保への請求書発行
  • 精密検査対象者のフォロー

健診業務の受付から受診後のフォローまでを一括して処理することができます。システムによっては、電子カルテや検査オーダー・結果、医療画像管理 (PACS) と連携することも可能です。会計処理では、受診者ごとや受付団体ごとに、請求・入金管理、請求書発行・領収書発行まで一元管理することができます。健診システムは、従来の紙ベースの業務に比べて、効率化、省力化に有効です。

健診システムの種類

健診システムは、様々な製品があります。機能面や、システム運営を行うサーバーの仕組みなど複数の観点で区分分けすることができ、様々な製品があります。

1. 機能面

機能面では、受診者数によって大きくシステムが異なります。受診者数の少ない中小施設を対象に作られたシステムでは、概ね機能がコンパクトになっており、コストが抑えられています。オプションは少なく、受付、検査結果入力、報告書作成、会計などの基本機能が中心です。反面、端末の利用が簡便になっており、初期設定が簡略化されていたり、操作方法の説明が詳しい場合も多いです。

一方、大規模な病院や健診センターを主に想定した製品では、多数の受診者を処理することができるよう、下記のような機能が充実しています。

  • 一括予約・管理
  • 健診コースの複数設定 (男女別・年齢別・年代別・団体別など)
  • 特定健診への対応 (メタボリックシンドローム診断・特定の業務に義務付けられている特殊健康診断など)
  • 問診票のバーコード印字・読取
  • 検査・計測機器とのデータ連携
  • 統計情報の作成

2. オンプレミス型とクラウド型

サーバーなどの運営面では、オンプレミス型とクラウド型とがあります。オンプレミス型は院内にサーバを設置するタイプであり、クラウド型は、外部のサーバにアクセスして使用するタイプのシステムです。

オンプレミス型は、施設ごとの業務に合わせたシステム構成をカスタマイズできることが特徴です。ただし、初期投資が必要であり、導入後は保守契約を行う必要があります。

クラウド型は、外部のサーバにアクセスして使用するため、ネットにつながる環境ならどこでも利用することが可能です。コストを抑えることが可能ですが、カスタマイズを行うことは少ない傾向にあります。

健診予約システム

健診予約システムとは

健診予約システムとは、健康診断を運営するうえで予約・受付を効率的に運営するためのシステムです。

健康診断の予約受付をインターネットを介して一元的に管理することにより、従来のペーパーベースの業務よりも運営負担も軽減され、スムーズな運営を行うことが可能です。健康診断の他にも、予防接種、保健指導面接などにも対応しています。健康診断を実施する健診センターや、従業員の健康診断を管理する企業側、自治体が行う集団健診などでの導入が進んでいます。

健診予約システムの使用用途

1. 概要

健診予約システムは、企業における健康診断や、自治体が行う集団健診や、人間ドックなどに活用されています。従業員に健康診断を受けさせる企業や、健診機関、自治体などで活用されているシステムです。通常の健康診断以外にも活用が可能で、主な用途には下記のようなものがあります。下記のうち、特定健診とは、特定の業務に従事する従業員に義務付けられている健診で、業務ごとに数百種類もの種類があります。

  • 健康診断
  • 人間ドック
  • 特定健診
  • 予防接種
  • 保健指導や面接

2. 健診予約システムのメリット

健診予約システムは、従来の紙・電話ベースの予約受付に比べて下記のような効率化のメリットがあります。

  • 受診者自身が手続きを行うため、受診日程の調整が自動化される
  • 予約の重複や受付ミスによるトラブルを防止
  • 予約受付に関わる運営負担の軽減
  • 予約手続きに関わる煩雑さが解消し、受診率が向上する
  • 未受診者の発見が容易になる
  • 受診資格の有無の確認が容易になる
  • 受診可能な健診の内容確認が容易になる

健診予約システムは、導入によってこのような効率化が進められ、運営の省力化に貢献することが可能なシステムです。紙や電話による煩雑な手続きから解放され、スマートに運営を行うことができます。

健診予約システムの原理

健診予約システムの基本機能には下記のようなものがあります。

  • オンライン予約
  • 検査コースの管理
  • キャンセル待ち対応
  • メールの自動送信
  • 受診者情報の一元管理
  • フォームデザインのカスタマイズ

健診予約システムの導入により、24時間365日オンライン上で受診者本人による健診の予約受付が可能です。また、検査内容の種類が複数ある場合、予約システム内で検査内容を管理したり、最適な健診コースやおすすめのオプションを提示したりすることが可能です。

キャンセルが出た場合はキャンセル待ちをしている受診者にメールでお知らせが自動配信されます。また、メール自動配信機能によりリマインダーを送信することも可能です。

健診予約システムの種類

健診予約システムは様々な種類の製品があります。システムによって企業や健康保険組合などの健康診断に特化している製品や、健康診断以外にも予防接種などに特化している製品などがあります。健診機関向けシステムや、受診企業側向けシステム、自治体特化システムなど、製品によって対象が異なるため注意が必要です。

システムごとに特色ある機能が搭載されており、目的に合ったものを選定することができます。例えば、再検査・精密検査などの二次検査の推奨機能が搭載されている製品や、予約受付だけでなく結果まで一元的に管理することができるシステム、特定の業務に義務付けられている特殊健康診断に対応しているシステムなどがあります。企業は再検査が必要な従業員に対して受診を勧める必要 (場合によっては義務) があるため、二次検査の推奨機能は特に業務省力化に有効です。

その他のカスタマイズ機能としては、主に下記のようなものがあります。一般に機能の多い製品のほうが便利ではあるもののコストが高くなる傾向にあり、シンプルなものは低コストで利用することが可能です。

  • 問診表の作成
  • 健康保険組合特有のメニューへの対応
  • CT、MRI、内視鏡検査など設備管理への対応
  • 柔軟な予約枠設定 (時間設定、上限人数、区分設定、その他詳細条件設定)
  • メールの自動送信機能と対象者指定送信
  • イベント告知・案内メールの日時指定自動送信
  • アンケート機能
  • QRコード受付への対応

気化器

監修:株式会社リンテック

気化器とは

気化器とは、液体状態(液相)の物質を気体状態(気相)に変えるための装置です。

様々な工業プロセスや半導体プロセスでは、水や各種工業用液体・液化ガスを、高精度に流量制御された蒸気 (気化ガス) に変換する必要があります。このような場合に使用されるのが気化器です。 キャリアガスと混合して液化ガスの分圧比率を下げて安定的な気化供給を行うキャリアガス気化器や、キャリアガスを使用しないノンキャリア気化器などがあります。

気化器の使用用途

気化器は、様々な産業用途、工業用途などにおいて、水蒸気を発生させたり、各種液体・液化ガスを蒸気へ変換する用途で使用されています。

  • 水蒸気供給/加湿
  • 化学蒸着(CVD、ALD)
  • 薄膜を蒸着することで、熱特性、光学特性、強度特性を高める
  • 真空ポリマー膜蒸着用のモノマー気化
  • キャリブレーション用蒸気の生成
  • 液化炭化水素、液化LNGなどの気化

気化器の原理

1. 概要

気化器は、液体の温度を上昇させる(蒸気圧を上げる)、またはキャリアガスに溶け込ませることで、各種液体を気体へと変えます。

2. 直接気化方式

気化器

直接気化方式の気化器は、液体マスフローと組み合わせる事で、液体の気化量を物理的に制御する気化方式です。従来のバブリング方式では温度、圧力、表面積等の多くのパラメーターを高精度で制御しなければ気化量の安定が出来ませんでした。直接気化方式は気化室の一次側で液体・気体の量を制御することで気化量をコントロールする方式です。

気化器

  • 気化室直前に気化量を液体マスフローで流量制御
  • 気化室に連続的に液体を導入
  • 気化室で瞬間気化

0.01g/minの微小流量制御が可能な液体マスフローと気化器を組み合わせる事で、微小流量から大流量まで様々な気化条件をコントロールする事が可能です。

また、制御部が全て常温の為、温度の制約を受けません。その為、最新の半導体プロセスで必要とされる高沸点材料の気化制御が可能です。

3. キャブレター

エンジンへの燃料供給装置である気化器は、キャブレターと呼ばれています。エンジンに吸入される空気の流れのベンチュリ効果を利用し、燃料の微粒化と吸入空気との混合により気化を促進させる仕組みです。

4. 気化器選び方

直接気化方式の気化器は気化量の正確なコントロールが求められる半導体製造プロセスや、燃料電池、水素や炭化水素の合成評価で使用されます。

気化器の選定には液体の物性(沸点・蒸気圧曲線・粘性・反応性)と気化条件(供給温度・気化器二次圧・キャリアガス量)に合わせた気化器の材質、構造の選定が必要です。

また、気化効率の悪い気化器の場合、未気化やメンテナンス頻度の増加につながります。
高効率な気化器のアプローチとして、ミスト径を小さくし表面積を拡大する事で高濃度でも瞬間気化を実現する等があります。

気化器

また、半導体装置プロセスで使用される気化器には以下のような要件が求められます。

  • 高い気化効率:液体材料を効率よく気化させることが重要です。これにより、材料の無駄を減らし、プロセスのコストを削減できます。
  • 安定した流量制御:気化したガスの流量を精密に制御することで、成膜やエッチングの品質を向上させます。
  • 温度と圧力の制御:気化プロセス中の温度と圧力を正確に制御することで、材料の分解や不純物の発生を防ぎます。
  • 大流量対応:特に最新の半導体プロセスでは、大口径ウエハーに対応するために大流量の気化が求められます。
  • 低温度気化:材料によっては低温での気化が必要となるため、低温度での気化能力も重要です。
  • キャリアガスの使用量削減:キャリアガスの使用量を減らすことで、コスト削減と環境負荷の低減が図れます。

気化器の種類

気化器には、用途に合わせて様々な製品があります。キャブレターは燃料を気化させてエンジンなどへ供給する製品であり、単純気化器や、空気ブリード付き気化器などの種類があります。

炭酸ガス蒸発器やLNG気化器などは、熱交換により液化ガスを気化する装置です。LNG気化器には、12℃前後の冷水を利用する冷水式LNG気化器や、温水ボイラを用いる温水式LNG気化器、空気強制循環式LNG気化器などがあります。
冷水式LNG気化器はLNG冷熱の有効活用が可能です。また、空気強制循環式LNG気化器は気化器予備機、及び温水式気化器が不要でイニシャルコストが低いなど、それぞれに特徴があります。

半導体製造に使用されるTEOSなどのガスや水蒸気に使用できる産業用製品には、小型気化器、高効率気化器、高温高効率大流量気化器などがあり、キャリアガス気化器とノンキャリア気化器に大別されます。用途に合わせて適切なものを選定することが必要です。

本記事は気化器を製造・販売する株式会社リンテック様に監修を頂きました。

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クラウドHPC

監修:株式会社エヌ・ディ・アール

クラウドHPCとは

クラウドHPCとは、従来の単一のコンピュータよりも高度で複雑な計算を行うシステムであるHPCをクラウド上で使用するものです。

HPCとは、High Performance Computingの略で、一般的なコンピュータより遥かに速い計算能力を持ちます。標準的なコンピュータでは個別に処理できないほど大きい問題や、処理に時間がかかりすぎる問題の解決に有用です。学術研究、科学、設計、シミュレーション、ビジネスなど様々な分野における活用が行われています。

クラウドHPCの使用用途

1. 概要

クラウドHPCは、学術研究、産業を問わず様々な分野で使用されています。主な分野には下記のようなものがあります。

  • 製造業一般
  • 自動車
  • 航空宇宙
  • エネルギー
  • 生命科学

それ以外にも、天候予測や、銀行における数百万件のクレジット カード取引の不正行為を検証するシミュレーションなどに活用することが可能です。

以下は主要分野におけるそれぞれの活用例です。

2. 製造業一般

製造業一般においては、設計開発や、製造工程の効率化などにおいて下記のようなシミュレーションが活用されています。シミュレーションを行うことで試作品製作などのコスト・時間を削減することが可能です。

  • マルチフィジックス
  • 離散要素 (DEM)
  • 流体力学 (CFD)
  • 有限要素法

3. 自動車

自動車メーカーにおける開発設計では、様々な計算・シミュレーション・テストが必要です。自動車の性能と効率の最適化に、クラウドHPCが活用されています。例えば、数値流体力学的解析は、エンジン燃焼の改善に有効です。また、安全性の観点では、オーバーヒートや欠陥を防ぐため、バッテリー周りの解析が活用されています。

主なシミュレーション・計算例は下記の通りです。

  • 数値流体力学のシミュレーション
  • 空気力学的観点によるボディやホイールの曲率の最適化
  • 衝突安全性に関する設計のテスト
  • センサー、アンテナ、半導体のシミュレーション
  • 素材、射出成形や鋳造の方法などが音響に与える影響
  • バッテリー電源の化学反応、及び熱力学的特性のテスト

4. 航空宇宙

航空宇宙開発には、空気力学、構造剛性、重量、発射軌道、別名弾道学などに基づく、様々な精密な計算が必要です。

主には下記のような具体例があります。

  • 乱気流への反応をシミュレーションする
  • 航空機の周囲の気流をシミュレートする
  • 翼やエンジンの設計において、空気力学と燃料効率を最適化する
  • 航空機部品の構造的完全性を評価し、安全性と耐久性を向上させる
  • 騒音レベルを最小限に抑えるための音響シミュレーション

5. エネルギー

エネルギー分野では、増加するエネルギー需要に対応して、効率化や最適化、新規エネルギー源探索などにHPCが活用されています。

主な用途例は下記の通りです。

  • 化石燃料の発見・抽出方法の改善
  • 送電網の効率改善
  • 新しいエネルギー源の開発におけるシミュレーション (風力、波力、太陽光、小規模原子力や核融合など)
  • 気象変動の予測

6. ライフサイエンス

ライフサイエンス・生命科学分野においては、膨大な量のデータ解析により、基礎研究から応用まで広くイノベーションに活用されています。下記のような多くの学術分野での活用が可能です。

  • ゲノムシーケンス
  • 分子動力学
  • 薬物動態学
  • 流体力学
  • 結晶化
  • タンパク質フォールディング
  • 計算化学
  • 量子化学

これらの活用により、医薬品の開発は加速され、更に医療機器、ゲノム治療の革新にも貢献しています。細胞や分子レベルでのシミュレーションやモデリングを行うことができ、研究開発の効率と効果を高めることができます。例えば、大量の症例データを学習させたHPCに患者のスキャン画像を取り込むことで、学習した症例を基に身体の異常を発見するような活用法も可能です。

クラウドHPCの原理

クラウドHPCとは、インターネット経由でベンダーのHPCにアクセスして計算資源を利用できるパッケージです。HPCで利用するコンピュートノード、 ログインノード、ジョブスケジューラ、ストレージ、アプリケーションソフトウェア一式を事前にセットアップすることにより、HPC環境をいつでもすぐにオンデマンドで利用可能です。

利用者自身でHPCの環境を構築する必要がないため、迅速な導入ができます。また、解析に必要なデータを用意するだけで、必要な時に必要な分だけ利用することが可能です。

クラウドHPCの種類

クラウドHPCは様々な事業者からサービス提供されており、多様な製品があります。

マシンスペックは事業者によって異なりますが、基本的に非常に高いパフォーマンスの計算システムを利用することが可能です。製品によって様々な特色があり、ウェブブラウザ上からの簡単な操作でクラウドHPCを立ち上げて利用できるシステムや、スパコンとの互換性があるシステムなどがあります。HPCを利用するために必要なソフトウェアやライブラリは標準搭載されていることが多く、便利に利用することができます。

本記事はクラウドHPCを提供する株式会社エヌ・ディ・アール様に監修を頂きました。

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ブラシ植毛

ブラシ植毛とは

ブラシ植毛とは、ブラシの毛を植毛して植え込みブラシを製造する加工サービスです。

特に、植え込みブラシと呼ばれているタイプのブラシに対して施される加工で、板ブラシや円形ブラシなどの形状があります。ブラシ植毛台にブラシ毛材を植え込むために植毛穴が形成され、その植毛穴に適量のブラシ毛材が植毛されます。工業用部品、製造現場の使用部品や、作業道具などとして使用される工業用ブラシの他、キッチンブラシ、お掃除ブラシをはじめとする家庭用ブラシも植え込みブラシで製造されています。

ブラシ植毛の使用用途

ブラシ植毛は、様々な植え込みブラシを製造する加工に使用されています。ブラシ植毛で製造される工業用ブラシの用途には下記のようなものがあります。

  • 半導体製造装置
  • プール清掃装置用
  • 水処理装置のフィルタ清掃用
  • ロードスィーパー、床掃除、作業現場の清掃
  • 食品洗浄、各種工業洗浄、クリーニング
  • 印刷関連
  • 工業部品・工業製品・食料品の搬送ライン
  • 工業用製品の表面清掃、下地処理、バリ取り、異物除去
  • 研磨用ブラシ

また、ブラシ植毛は、下記のような一般的な家庭用ブラシの製造加工も可能です。

  • 歯ブラシ
  • キッチンブラシ
  • トイレブラシ
  • ボディブラシ
  • 洋服ブラシ
  • 靴ブラシ
  • 各種掃除ブラシ

ブラシ植毛の原理

ブラシ植毛は、植毛台にブラシを植毛することにより植え込みブラシを製造する加工手法です。

手作業で植毛を行う場合のほか、機械式植毛の場合は自動植毛機が使用されます。ブラシ植毛後、毛の長さは最終工程にて、専用のカッターまたはバリカンなどで、指示寸法に刈り揃えられます。ブラシ植毛配列は、並列型・千鳥型・ランダム型など様々な配列があります。一般的には、ブラシ植毛穴径に対し植毛穴深さは2倍の深さが必要です。ブラシ台は、植毛穴深さを確保できる十分な厚みを確保する必要があります。

2. 素材

植毛台の素材には木台や樹脂台、金属台 (アルミやステンレスなど) などの種類があります。木台には、針葉樹、広葉樹、合板などの種類があり、軽くて使用後の廃棄時に焼却処分が可能です。針葉樹は一般的に軽く柔らかい性質があり、一方、広葉樹は一般的に重く硬い性質があります。

樹脂台には、

  • PVC (ポリ塩化ビニール)
  • PP (ポリプロプレン)
  • PE (ポリエチレン)
  • PS (ポリスチレン)
  • ABS (アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)

などの汎用プラスチックのほか、エンジニアプラスチックが使用される場合があります。金型を製作し樹脂成型によって大量のブラシ樹脂台を製造することができるため、樹脂台の植え込みブラシは量産向きと言えます。

また、植え込む主な毛材は下記のような繊維が一般的です。

  • 化学繊維 (PA、PP、PET、PMMA、PBTなど)
  • 獣毛 (豚毛、馬毛、山羊毛)
  • 食物繊維 (シュロ、パーム、サイザル、パキン)

この他、特殊毛材としては、砥粒入りナイロンを研磨用ブラシに使用したり、ペットブラシに樹脂玉が付いた特殊化学繊維を使用したりする場合などがあります。

ブラシ植毛の種類

ブラシ植毛には、下記のような植毛方法があります。それぞれの植毛方法に合わせて手作業で植毛される場合と、機械植毛で植毛される場合とがあります。

  • 丸線植毛: 穴あけ加工した植毛台を用い、又釘状 (ステープル状) の線材 (丸線: 亜鉛メッキ鉄線やSUS線など) によってブラシ素材を二つ折にして打ち込む方法
  • 平線植毛: 穴あけ加工した植毛台に薄い長方形の金属板 (平線: アルミや黄銅平線など) によってブラシ素材を二つ折にして打ち込む方法
  • 接着植え: 接着剤で毛材を固めて植毛する方法
  • 引込植え: 職人自らが自分自身の力で引き込み線を使用して、ミシン縫いのように1穴ずつ引き込み植毛をする工法

植毛穴径・植毛ピッチ・植毛列数などは、ブラシ製品によって様々であり、オーダーメイドブラシ、カスタマイズブラシなどでは自由にカスタマイズすることも可能です。

ダイヤモンドディスク

ダイヤモンドディスクとは

ダイヤモンドディスクとは、表面にダイヤモンドを砥粒として用いた円盤状の研削ディスクです。

ディスクグラインダーや電気丸鋸などの電動工具に取り付けて使用する大型の一般工具製品が一般的で、ダイヤモンドカッター、ダイヤモンドホイールなどと呼ばれることもあります。一般工具製品の他には、歯科技工用回転機器などに取り付けて使用する小型の製品などがあります。円盤形状のほか、軸がついている製品もあります。ダイヤモンドは地球上で最も硬度の高い物質であり、コンクリートやブロック、タイルやレンガ、瓦など、硬い素材でも容易に研磨・切断することが可能です。

ダイヤモンドディスクの使用用途

1. 一般工具

一般工具としては、ダイヤモンドディスクはディスクグラインダーなどに取り付けて使用されます。主な用途例には下記のようなものがあります。

  • 刈払い刃、チップソー、草刈刃、ハサミ、鎌包丁、その他各種刃物類・超硬工具類の研磨
  • 塩ビ波板・塩ビパイプなどの切断
  • 高硬度素材の切断・研磨加工 (瓦、大理石、FRP、耐火レンガ、ガラス、超硬合金・セラミックス・シリコンカーバイト・サーメット・みかげ石など)
  • 石材などの面取り
  • 硬くてもろい基板材料などの溝入れ切断加工 (超硬合金、セラミックス、石材、ガラス、シリコンなど)
  • 精密製品の研磨

2. 歯科

歯科におけるダイヤモンドディスクは、軸のついた小さなものが使用されます。主な用途は陶歯や陶材、金属などの補綴物などの研削です。歯科用マンドレルに装着し、歯科用ハンドピースや歯科用エンジンなどに装着して使用します。

ダイヤモンドディスクの原理

1. 概要

ダイヤモンドディスクは、ステンレスなどの金属基材にダイヤモンドの砥粒が埋め込まれている研削ディスクです。長寿命で安定した研削を効率的に行うことができます。レジノイド砥石やチップソーでは切断できないような硬質素材の加工も可能です。

熱に弱いというダイヤモンドの特性上、摩擦熱が高くなる金属の切断には向いていません。また刃先を研ぐことができないため、寿命を迎えたら交換が必要です。

2. 砥粒の固定化方法

ダイヤモンドディスクにおいて、ダイヤモンドの砥粒を固定化している方法には、電着、焼結や溶着があります。

電着とは電気めっきの手法を用いてダイヤモンド粒子を金属の基材上に固定化する技術です。具体的には、液槽内に懸濁された金属製のシャンクに電気を通し、ダイヤモンド粒子を表面に付着させます。細かな砥粒が高密度にぎっしりと均一に付着することが特徴です。

焼結は、ダイヤモンド砥粒と樹脂などの結合材を高温高圧で焼き固めて製造する手法です。ダイヤモンドの層の厚さは1〜3㎜と、電着よりも厚くなります。また、ダイヤモンド砥粒に2種以上の金属・合金の粉末を混ぜ (コバルト、鉄、スチール、タングステン、ブロンズ、ニッケルなど) 、焼結させる製造方法は特に「メタルボンド」と呼ばれています。砥粒層が厚く、ダイヤモンド砥粒の保持力が強固であることが特徴です。砥石の形状を長く保つことができるため長寿命です。

溶着はダイヤモンド砥粒の表面に金属メッキを施し、その根元を基板にロウ付けする方法です。切れ味が鋭いため、アルミや鋳物、樹脂系材料、ゴムなどの材料の切断に特に適しています。

ダイヤモンドディスクの種類

ダイヤモンドディスクには前述の通り、電着、焼結、溶着などの製造方法の種類があります。一般工具用としては、軸付きや軸無しなどの形状種類や様々な大きさのバリエーションがあり、取り付ける工具や加工物に合わせて選択されます。歯科用製品は医療機器となるため、一般工具とは別でカテゴライズされる製品です。薄型、極薄型、超薄型などの種類があります。

砥粒であるダイヤモンドの含有比率や粒の突出率、また埋め込まれた層の焼結温度や刃部の形状などは製品によって異なり、それぞれ切断力や耐久性、切断面の仕上がりに影響します。目的に応じて最適なダイヤモンドディスクを選定することが必要です。

ダイヤモンドポイント

ダイヤモンドポイントとは

ダイヤモンドポイントとは、先端にダイヤモンドの粒子が施された切削工具です。

ダイヤモンドは地球上で最も硬度の高い物質であるため、耐摩耗性や研削力が高いです。ダイヤモンドポイントは、金属製の軸にダイヤモンドの砥粒を固定してある仕組みの工具です。先端が尖っているため、特に細かい作業や精密な削り作業に適しています。彫金や、硬くて脆いガラスやセラミックなどの材料加工、更には歯科における研削にも使用されています。

ダイヤモンドポイントの使用用途

ダイヤモンドポイントは、先端が尖っていることから、特に精密な研削加工で使用されることが多いです。ガラス、金属をはじめとする様々な硬質素材の加工が可能です。また、細かな指輪の表面に細かい凹凸を作る加工をダイヤモンドポイント加工と呼ぶこともあります。

1. 一般的用途

一般的用途では、ガラスなどに対して細かい研削加工を行うことに使用されます。特に、工芸用途で使用されることも多く、ガラス細工や、彫金などの用途があります。金属、ガラス、木材、プラスチック、皮革などに細かな絵や文字を彫ることも可能です。石膏模型のトリミングなどの用途もあります。その他では、石、翡翠、金属、硬貨鉄、貴金属の研削・研磨に使用されることもあります。

2. 歯科

ダイヤモンドポイントは、歯科において技工用研削材として使用される工具です。ハンドピースや駆動装置に装着し、歯や骨、補綴物などの硬組織を研削する目的で使用されます。ジルコニアや陶材、エナメル質など、歯科で扱われる硬い素材の研磨が可能です。

ダイヤモンドポイントの原理

1. 概要

ダイヤモンドポイントは、道具の先端で加工を行うことに特化していることが特徴です。金属製の軸 (シャフト) にダイヤモンド砥粒が固定されていて研磨を行うことができる仕組みです。ダイヤモンドバーなどと呼ばれるものと比べて先端が尖っていたり、先端が円柱形や円錐形、紡錘形など、それぞれの加工に合わせた独特の形状をしています。先端工具であることから、ダイヤモンド砥粒の付いている部分はダイヤモンドバーよりも比較的小さい場合が多いです。

尚、熱で砥粒が剥離しやすくなる為、ダイヤ層の先端を冷やしながら使用するとより長持ちさせることができます。

2. 砥粒の固定化方法

ダイヤモンドポイントにおいて、ダイヤモンドの砥粒を固定化している方法には、電着と焼結があります。

電着とは電気めっきの手法を用いてダイヤモンド粒子を金属の基材上に固定化する技術です。具体的には、液槽内に懸濁された金属製のシャンクに電気を通し、ダイヤモンド粒子を表面に付着させます。

焼結は、ダイヤモンド砥粒と樹脂などの結合材を高温高圧で焼き固めて製造する手法です。土台にはアルミなどが使用されます。ダイヤモンドの層の厚さは1〜3㎜と、電着よりも厚くなることが特徴です。

ダイヤモンドポイントの種類

ダイヤモンドポイントには、様々な種類の製品があります。まず、歯科用製品は医療機器となることから、一般工具とは分けて販売されています。

ダイヤモンドポイントには様々な先端形状があり、主な種類は下記の通りです。下記の形状の中でもサイズなどのバリエーションがあります。

  • 針状
  • 棒状 (円柱状)
  • 円錐形
  • 紡錘形 (縦・横)
  • ボール型
  • 円盤型
  • マッチ棒や綿棒のような先端が丸みを帯びた形状

一般的には軸径2mm〜3mm、最大部外径2.5〜6.7mmの範囲の製品が多く、砥粒の粗さは#120、#150、#400などがあります。作業部の長さは4mmほどから15mmほどまで様々です。バラ売りの他、5本セットや8本セット、10本セットなどで販売されている場合もあります。歯科用のダイヤモンドポイントの粗さの種類は、コース、レギュラー、ファイン、スーパーファインなどと表記される場合もあります。

多様な製品バリエーションから用途や目的に合わせて適切なものを選定することが可能です。

ダイヤモンド砥石

ダイヤモンド砥石とは

ダイヤモンド砥石とは、ダイヤモンドを砥粒として用いている砥石です。

ダイヤモンド砥石は、電着や焼結などの方法により、土台となる素材の表面にダイヤモンドが接着されています。ダイヤモンドは地球上で最も硬度の高い物質であるため、一般的な砥石よりもはるかに硬く、研磨力と平面保持力の高い砥石です。産業用途における様々な素材の研磨から、包丁研ぎ用の砥石まで、様々な用途で使用されています。

ダイヤモンド砥石の使用用途

1. 素材加工

ダイヤモンド砥石は、加工用途では様々な素材の研磨に使用されています。加工される主な素材は、下記の通りです。

  • 半導体材料
  • セラミックス
  • 各種ガラス
  • フェライト
  • 石英
  • 水晶
  • 金属
  • EDM加工面

また、研磨だけでなく、ブレード型の砥石では、硬脆材料の精密切断も可能です。

2. 刃物研ぎ

ダイヤモンド砥石は、包丁や大工道具などの刃物を研ぐ用途でも使用されています。下記は主な用途です。

  • 鉋や、鑿、小刀の裏押し
  • 大工道具一般の研ぎ
  • 家庭用包丁の研ぎ
  • ハイス (HSS鋼) など特に硬い鋼の刃物研ぎ
  • 和包丁の裏押し

刃物の他では、砥石の面直しにも使用されます。ダイヤモンド砥石は平面保持力が高いため、ダイヤモンド砥石で面直しをすると砥石の平面の精度が高くなるという利点があります。

ダイヤモンド砥石の原理

1. 概要

ダイヤモンド砥石は、研削作用のあるダイヤ砥粒の層と土台部分から構成されます。

セラミック砥石などと比較したダイヤモンド砥石の特徴には下記のようなものがあります。

  • ダイヤモンド砥粒の硬度が高いため、研削力が高い
  • 研削力の高さゆえに、作業時間が短い
  • 水に浸さなくてよい
  • 割れない
  • 修正しなくてよい
  • 周囲が汚れにくい

2. 電着と焼結

ダイヤモンドの砥粒を土台部分に固定する方法には、電着と焼結があります。

電着とは電気めっきの手法を用いてダイヤモンド粒子を金属の基材上に固定化する技術です。具体的には、液槽内に懸濁された金属製のシャンクに電気を通し、ダイヤモンド粒子を表面に付着させます。

焼結は、ダイヤモンド砥粒と樹脂などの結合材を高温高圧で焼き固めて製造する手法です。土台にはアルミなどが使用されます。ダイヤモンドの層の厚さは1〜3㎜と、電着よりも厚くなることが特徴です。

ダイヤモンド砥石の種類

1. 電着ダイヤモンド砥石

電着ダイヤモンド砥石は、ダイヤモンド砥粒が土台から高くの突き出しているという特徴があります。焼結ダイヤモンド砥石に比べて研磨力が高く作業性に優れています。また、比較的ダイヤモンド砥石の中では安価です。

砥石の平面修正、鎬面の研ぎ、裏押などに特に適している砥石です。ただし、研削力が高すぎるゆえに研ぎ傷が深く付きやすいことや、使用中に剥がれやすい、また層が薄いため研いでメッキ層がなくなりやすいなどのデメリットもあります。

2. 焼結ダイヤモンド砥石

焼結の場合はダイヤ砥層を厚く作ることができ、表面が削れても次々にダイヤモンド砥粒が現れるという特徴があります。そのため、電着ダイヤモンド砥石よりも寿命が長く安定して使用することが可能です。また荒砥石から仕上げ砥石まで、電着よりも、幅広い番手の種類があります。

寿命が長い一方で、製造コストが高いため電着よりも高価になる傾向があります。研磨力は電着よりやや劣るものの、その分研ぎ傷は浅くなります。尚、一般的な砥石と同じように、砥粒と砥粒の間に削りくずが詰まって固着してしまう“目詰まり”の状態が起こる場合があります。そのため、表面を削ってメンテナンスすることが必要です。

3. 番手・形状

焼結ダイヤモンド砥石の主な番手種類は下記の通りです。

  • 荒砥石: #200、#400、#600
  • 中砥石 : #800、#1000
  • 仕上砥石: #3000
  • 超仕上砥石: #6000

また、ダイヤモンド砥石には用途に様々な形状の製品があります。角砥石のほか、アルミナ繊維を利用した繊維砥石や、ディスク状の砥石などもあります。用途に合った製品を選択することが可能です。

ダイヤモンドファイル

ダイヤモンドファイルとは

ダイヤモンドファイルとは、研磨材の一種で、表面にダイヤモンド粒子を電着したものです。

「ファイル」とは、目の細かいやすりを意味する英語のfileをそのまま使用している名称です。精密やすりの一種として、機械部品を研ぐのに使用したり、バリ取りや歯科治療、ネイルケアなどに使用されたりします。様々な用途で多様な製品が提供されています。

ダイヤモンドファイルの使用用途

ダイヤモンドファイルは、産業、歯科治療、ネイルケアなど、様々な用途で使用されています。硬度を活かして、あらゆる分野で精密な研磨を行うことに活用されている製品です。

1. 産業用途

産業用途では、バリを取り、滑らかでシャープなエッジに仕上げるエッジ研磨の仕上げや、機械や刃物の研磨・研削に使用されています。穴、角、溝を研磨したり、各種金型の仕上げ・修正・R取りが可能です。超硬合金、焼入鋼、セラミックス、ガラス、強化プラスチックなど、あらゆる硬質材料の研削に適します。その他、電子機器の修理、木工に使用されることもあります。

2. 歯科治療

歯科治療で使用されるダイヤモンドファイルは、歯科用ハンドピースや超音波機器に装着して使用されます。主な用途は、歯髄(歯の内部にある神経や血管) まで進行した虫歯を治療する根管治療に用いられ、根管の拡大、感染歯質除去、探索異物除去などです。

3. ネイルケア・フットケア

ダイヤモンドファイルは、ネイルやかかとの研磨に使用されています。セルフネイルケアの他、プロのネイリストやネイルサロンでも使用されています。下記はネイル用途の例です。

  • 爪の長さや形を整える
  • 細かな調整を行う
  • 地爪の表面をサンディングする
  • 人工爪を削っておおまかな形を作る
  • ジェルオフやフィルイン時、スカルプチュアの除去

ダイヤモンドのネイルファイルは、超音波洗浄や水洗い、煮沸消毒、アルコール洗浄、UV殺菌も可能です。紙のエメリーボードと異なり、繰り返し衛生的に使用できます。使用後はブラッシングで粉末を落とし、エタノールやUVで殺菌消毒を行った後、乾かして再度使用します。

フットケア用のダイヤモンドファイルは、角質化したかかとを滑らかに研磨する製品です。ガサガサとした角質を除去し、ひび割れやストッキングの伝線などを解消します。

4. その他

その他の用途として、スキー板のエッジ研ぎがあります。ダイヤモンドファイルに水をつけて、ガイドに挟み、スキー板の滑走面にガイドを当てて擦ります。

ダイヤモンドファイルの原理

ダイヤモンドファイルは、ダイヤモンドの微細な砥粒を擦り付けることで素材の表面を削り取り研磨する工具です。ダイヤモンドファイルの製造には電着が使用されており、電着とは電気めっきの手法を用いてダイヤモンド粒子を金属の基材上に固定化する技術です。具体的には、液槽内に懸濁された金属製のシャンクに電気を通し、ダイヤモンド粒子を表面に付着させます。このプロセスにより、粒子が高密度に均一に配置され、切れ味が鋭く耐摩耗性に優れたやすりが製造されます。

ダイヤモンドファイルの種類

ダイヤモンドファイルには、用途別に、産業用途/歯科向け/ネイルケア/フットケアなどの製品種類があります。用途によって、大きさや形状は様々です。テーパー型、平型や、先端が尖った三角型や湾曲した形状などがあります。工業用などでは先端が尖っているものも多いですが、ネイルケアなど人体に使用するものは先端が危なくないように丸みを帯びていることが多いです。また、歯科用は極めて微細な作業が必要なため、細い製品が多いことが特徴です。金属製製品のほか、ネイル用などではグラスファイバーの板の上にニッケルでダイヤモンドが固定されている場合もあります。

通常、同じ形状のファイルでもダイヤモンドの粒度が異なるバリエーションがいくつか用意されています。具体的には#120、#150#、200、#400などの粒度種類です。用途に合わせて選定し、正しく活用することが必要です。

カーエアコンホース

カーエアコンホースとは

カーエアコンホースとは、自動車のエアコンに使用されている冷媒を運ぶためのホースです。

自動車のエアコンは、エアコンシステム内に冷媒であるガスを循環させ、圧力を加えてガスの気化と液化を繰り返すことで動作しています。カーエアコンホースには、高圧配管、低圧配管などの種類があります。通常、ゴム・樹脂などを用いて製造されている製品です。材料の環境対応、軽量化、長寿命化など様々な試みが成されています。

カーエアコンホースの使用用途

カーエアコンホースは主に自動車のエアコンの冷媒 (エアコンガス) の循環に使用されています。

カーエアコンは、エアコンガスの圧縮、冷却、霧状化と、空気とエアコンガスとの熱交換で動作しています。カーエアコンホースは、このエアコンガスが循環する配管として使用される部品です。使用される主な冷媒の種類には下記のようなものがあります。

  • R-134a (HFC134a): 長らく最も普及してきた冷媒です。温暖化を促進する性質があることが知られているため、R1234yfへの移行が進んでいます。
  • R-1234yf: エコロジーなガスとして、現在の新車にはほとんどこの冷媒が搭載されています。R-134aの次に普及が進んでおり、温暖化を促進せず、オゾン層も破壊しません。ただし、R-134aと比べて高価です。
  • CO2冷媒: フロン系冷媒に比べて市場シェアは少ないものの、環境対応型の冷媒として着目されています。温暖化への影響度はR-134aの1300分の1であり、塩素を含まない
    ためオゾン層を破壊することもありません。

カーエアコンホースの原理

1. カーエアコンの原理

カーエアコンを構成する主な装置は、コンプレッサー (圧縮) 、コンデンサー (冷却) 、レシーバーとバルブ (霧状化) 、エバポレーター (熱交換) などです。カーエアコンホースは、これらの装置を繋いでエアコンガスを循環させます。動作の原理は下記の通りです。

  1. 圧縮: コンプレッサーはエアコンガスを圧縮する機械です。エアコンガスは圧縮によって、低温低圧の気体から、高温高圧の半液体へと状態が変化します。
  2. 冷却: コンプレッサーで圧縮され半液体となった冷媒は、コンデンサーによって冷却されます。コンデンサー内は、細い管が何重にも折りたたまれた表面積の大きい構造です。効率的に放熱が行われ、冷媒が低温高圧の液体になります。
  3. 霧状化: 冷媒がレシーバー (レシーバータンク、リキッドタンク) に溜められ、エキスパンションバルブを通して噴霧されます。圧縮し高圧となっている冷媒を瞬時に膨張させ、低温低圧の霧状にします。
  4. 熱交換: 低温となった霧状の冷媒はエバポレーターに送られ、空気と熱交換します。冷却された空気は車内に送られ、車内温度を下げます。また、エバポレーターは除湿も可能です。水蒸気を含んだ空気を冷却すると、エバポレーター表面が結露し、この水滴を排水することで、車内に供給される空気に含まれる水蒸気量を減らす仕組みです。

2. カーエアコンホースの機能

カーエアコンホースには、高圧配管と低圧配管があります。 

高圧配管は、低圧配管に比べて細い配管です。コンプレッサーとコンデンサーを繋ぐことに使用されており、圧縮ガスが通っています。高圧配管にはのぞき窓であるサイトグラスや、圧力スイッチがついています。

低圧配管は、高圧配管に比べて太い配管です。低温低圧のエアコンガスが流れており、エバポレーターとコンデンサーを結んでいます。

カーエアコンホースの種類

カーエアコンホースは、様々な種類が製造販売されている製品です。材質は、全体がゴムでできているオールラバータイプや、内面が樹脂でできているゴム・樹脂ハイブリッドタイプなどの種類があります。ゴム・樹脂ポリマーアロイを海島構造にすることで軽量化を図っている製品もあります。このような製品では、ゴムが持つ柔軟性・耐熱性を維持しながら、高いガスバリア性能を発揮することが可能です。

ホースの寸法には、内径8mm、内径11mm、内径15mmなどがあります。用途に合わせて適切なものが選定・使用されます。