ドライバーズエイド

監修:株式会社パントス

ドライバーズエイドとは

ドライバーズエイドとは、運転指示装置 (システム) とも呼ばれ、自動車の開発や試験において、ドライバーに正確な走行パターンを指示し、試験の精度向上に大きく貢献するシステムです。

各自動車メーカーの研究開発や、試験ラインでは、ガソリン車およびディーゼル車の厳しい排ガス規制の適合性や燃費向上試験、EV車の電池性能試験のために、ドライバーがシャシローラ上に乗せた車両を実際に運転します。

その際、ドライバーに対し、試験毎に走行パターンをモニタ画面上のグラフィック表示で指示するシステムがドライバーズエイドです。モニタ画面に、時間と車速の変化と試験車の実車速をグラフィック上に指標して表示したり、音声でドライバーに知らせるシステムもあります。また、マニュアルミッションの車では、どのタイミングで変速するかの指示も行います。

ドライバーズエイドの使用用途

正確な走行パターンを再現し、ドライバーの操作によるバラつきを最小限に抑えることで、試験の精度向上に貢献するドライバーズエイドは下記のような用途に使用されます。

1. 排ガス認証試験

シャシダイナモと呼ばれる装置上で、車両を固定し、様々な走行パターンを再現しながら排ガスを測定し、法定基準を満たしているか確認します。

2. 燃費向上試験

加速、減速、一定速度走行など、燃費に影響を与える様々な走行パターンを正確に再現するため、ドライバーの運転操作によるバラつきを最小限に抑え、高精度な燃費データを取得できます。

3. エンジンの開発

市街地走行や高速道路走行など、様々な運転条件下での燃費性能を評価するために実用的な走行パターンを再現し、エンジンの効率性を検証します。

4. 自動車燃料の開発

従来の燃料と比較して、新燃料がどのような燃費改善効果をもたらすのかを、客観的に評価することができます。

5. 自動車部品の開発

新しい部品を搭載した車両の燃費性能を評価するために、ドライバーズエイドが活用されます。例えば、低燃費タイヤやエアロパーツの効果を、実走行に近い状態で評価することができます。

ドライバーズエイドの原理

ドライバーズエイドシステムは、コントローラ、リモコン (有線・無線) 、ペンレコーダー、モニタ (レール吊り下げ、車載、台車、ハンドル固定、アーム、吸盤、保温ボックス)などから構成されています。

コントローラは、パソコンに相当する機能を有する装置で、試験する運転パターンの各種データ (時間毎の車速およびシフト) をメモリに保持。そのメモリから演算によって、モニタに運転パターンとして表示するためのグラフィックデータを作成しています。

またコントローラは、外部から新たな運転パターンのデータを入力するための通信 (インタフェース) 機能も有し、シャシローラの回転をセンサによって検出し、検出した信号から車速を計算し、モニタに指標として表示するための信号に変換してモニタに送ります。また、基準の運転パターンデータに対して上下限の許容範囲の演算も行い、グラフィック表示や音声出力を行います。

リモコンのスタート指令によってグラフィック表示をスクロールさせ、基準車速と実車速の比較を行いながら、許容範囲から逸脱していないか判定を行います。さらに、運転中の基準車速、実車速、上下限車速などのアナログ信号をペンレコーダー用として出力します。

本記事はドライバーズエイドを製造・販売する株式会社パントス様に監修を頂きました。

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ペンレコーダー

監修:株式会社パントス

ペンレコーダーとは

ペンレコーダーとは、アナログデータをペンによって物理的に記録する装置です。

通常は温度や湿度及び圧力などの測定値を紙の記録紙に自動的に記録するために使用します。測定対象の変動を連続的に記録できるため、主に工場や研究室などで用います。リアルタイムでの監視が可能なため、継続的なデータ追跡や変動の傾向を確認する際に有効です。

ペンレコーダーはチャートレコーダーやアナログ記録計の一種です。ペンレコーダーは、温度・電圧の信号をそのまま波形として記録するため、「データの改ざん」をしづらく、品質データの信頼性向上に寄与します。

ペンレコーダーの使用用途

ペンレコーダーは以下のような用途で使用されます。

1. 製造業

製造業においては、製品出荷時の品質データを記録・保存するために使用されます。また、温度や圧力などの重要な環境パラメーターをリアルタイムで監視するために使用されます。ペンレコーダーを使用することで、工程が適切な環境範囲内で行われていることを確認できます。

自動車メーカーでは、排ガス分析や車速の記録を行う用途として数多く採用されています。

2. エネルギー産業

エネルギー業界では、発電所での運転データの監視にペンレコーダーが利用されます。発電所ではボイラー温度や蒸気圧力が重要なパラメーターであるため、これらを継続的に記録することによって設備の安全性を確保します。

また、エネルギーの消費量や効率を記録するために使用することで、効率的なエネルギー管理にも寄与します。

3. 環境モニター

ペンレコーダーは気象データの記録などに使用されます。気象観測に用いることで、温度や湿度及び風速などのデータを記録し、環境変動を把握することが可能です。また、河川や水処理施設での水温やpH値を記録するためにも使用されます。

地中や海底に埋没している不発の機雷、爆弾、砲弾の探知用として、探知器メーカ-の磁気探知器の信号記録用にも使用されています。

4. その他

分析計の出力波形記録・各種試験器の出力波形記録・大学、研究機関、企業における各種実験用

ペンレコーダーの原理

ペンレコーダーに温度や圧力などの物理量を検知するためのセンサーを接続して使用します。
センサーは、測定対象から得られる情報を電気信号に変換します。この電気信号を機構部へ伝えてペンを動作させる仕組みです。

ペンレコーダ-は、ドラムの回転により記録紙を設定した速度で送り出し、入力信号を受けてペンが左右(プラス/マイナス)に動くことにより、記録紙に波形として描かれます。
回転ドラムが一定の速度で動くため、時間軸に沿ったデータを正確に記録することが可能です。ドラムの回転速度と記録紙の進行速度が定められているため、測定値が適切なスケールで対時間グラフとして表現されます。

ペンレコーダーには、ペンと記録紙を使用します。
現行製品ではインクの補充が出来ないため、ペンは消耗品として交換する必要があります。
入力信号を受けペンが記録紙上で動くことでアナログ波形を描きます。

ペンレコーダーの選び方

ペンレコーダーを選定する際は、以下を考慮することが重要です。

1. 入力信号

ペンレコーダーを選ぶ際には入力信号の種類に注意が必要です。熱電対や測温抵抗体および4-20mA入力信号などの種類で販売されています。選定する際は使用するセンサーや試験機、分析器がどの様な出力信号かを確認し、その信号に適応したペンレコーダーを選びます。

また、入力点数も重要です。複数の入力点を備えたペンレコーダーは同時に多くのパラメーターを記録できるため、多くのデータを同時に記録監視する場合に役立ちます。

2. 測定範囲

ペンレコーダーの測定範囲は、対象とする物理量の範囲に合わせて選定します。入力信号の種類によっても測定範囲が異なるため、合致する機器を選定する必要があります。一般的には製品の仕様書などに記載されていることが多いです。

3. サイズ

使用する記録紙のサイズや形式も、ペンレコーダーを選ぶ際の重要な要素となります。レコーダーが記録できる時間や記録項目数に影響を与えるため、記録するデータ量に応じたサイズや形式の製品を選びます。

ペンレコーダーのその他情報

ペンレコーダー、チャートレコーダー、アナログ記録計は、いずれも測定データをアナログ形式で記録する装置です。ペンレコーダーは、その中でも最もシンプルな構造を持ち、直感的にデータを読み取ることができます。チャートレコーダーは、ペンレコーダーを包含するより広義の言葉で、様々な記録方式に対応可能です。アナログ記録計は、これらの装置を総称する言葉です。

ペンレコーダーとチャートレコーダー、およびアナログ記録計の関係性は以下の通りです。

1. チャートレコーダーとの関係

チャートレコーダーは、ペンレコーダーを包含するより広義の言葉です。ペンレコーダーがペンで記録するのに対し、チャートレコーダーには、ペンだけでなく、打点式、サーマル式など、様々な記録方式を持つものがあります。つまり、ペンレコーダーはチャートレコーダーの一種と言えるのです。

2. アナログ記録計との関係

アナログ記録計も、チャートレコーダーと同様に、測定データを連続的な信号として記録する装置の総称です。ペンレコーダーは、アナログ記録計の中でも最も一般的なタイプの一つです。

本記事はペンレコーダーを製造・販売する株式会社パントス様に監修を頂きました。

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焼結合金加工

監修:大森精工有限会社

焼結合金加工とは

焼結合金加工とは、金属粉末を高温で焼結させて合金を作り上げる加工技術です。

焼結とは、金属粉末を溶融点以下の温度で加熱し、粉末の粒子が相互に結びついて固体となる現象です。金属を直接溶かして成形するのではなく、金属粉末を圧縮して加熱することで合金の成形を行います。したがって、鋳型による成形よりも精密で複雑な形状を作ることが可能です。

焼結合金は溶解を伴わないため、高温での金属の溶融を必要とせず、低温での処理ができます。高温での酸化や変形が抑えられ、材料特性を保ったまま製造が可能です。また、必要に応じて合金の成分を調整することで、特定の性能を持った材料を作ることができます。

焼結合金加工の使用用途

焼結合金加工は下記のような用途で使用されます。

1. 自動車

自動車産業では、耐摩耗性や強度が求められる部品に焼結合金を使用します。具体的にはギアやベアリング及びエンジン部品などが挙げられます。これらの部品を焼結合金によって製造することで、軽量化や耐久性向上及びコスト削減などの効果が期待できます。

2. 工具

工具産業でも超硬工具などの製造に焼結合金が広く使用されており、特に切削工具や研磨工具など、摩耗に強い部品に利用されることが多いです。焼結合金は高硬度のため、長寿命工具の製造に役立ちます。摩耗に強く、加工精度が求められる部品において、焼結技術は非常に効果的です。

3. 医療

焼結合金はインプラントや義肢に広く使用されています。生体適合性を有する材料を用いた焼結合金を骨折治療用インプラントや義肢部品に適用することで、軽量で強度のある部品を製造することが可能です。

高い精度が求められる部品にも最適であるため、医療機器の精密部品にも焼結技術が活用されます。

焼結合金加工の原理

焼結合金加工は金属粉末を高温で加熱し、固体の合金を形成する加工技術です。

最初に金属粉末を所定の形状に圧縮することで粒子の密度を高め、加熱工程へ移行します。焼結温度は金属の融点よりも低いものの、粉末粒子が接触し、原子間で結びつく程度には十分に高い温度です。この加熱プロセスによって粉末粒子同士が物理的に結びつき、強い結合が形成される仕組みです。

焼結温度は材料によって異なり、一般的には金属の融点の約60~80%程度です。焼結過程では粒子間の隙間が縮小し、その後粒子同士がさらに接合されて強固な結合が成立します。これにより、金属の密度が向上し、機械的特性が改善します。

焼結が進行する間、微細構造も変化します。空隙が縮小し、高強度で均質な材料となります。焼結後、材料を冷却し、所定の形状と特性を持った合金が完成する仕組みです。

焼結合金加工は金属を直接溶かして成形するわけではなく、粉末を使うことによって材料の無駄を最小限に抑えます。複雑な形状の製品を一度に製造できる点も特徴です。

焼結合金加工サービスの選び方

焼結合金加工を代行するサービスを選定する際は、以下を考慮することが重要です。

1. 加工品質

加工精度と品質管理は重要な選定基準です。焼結合金加工は高い精度が要求されるため、加工精度を維持するための設備や技術を有していることを確認します。ISOなどの国際品質規格に準拠していることや、品質管理プロセスをしっかりと実施していることを確認する必要があります。

2. 対応材料

材料についても考慮することが重要です。焼結合金には様々な材料を使用しますが、目的に適した材料を提供できるサービス企業を選定する必要があります。材料の種類や仕様について、事前に確認しておくことが大切です。

3. 生産能力

生産能力と納期も重要な要素です。焼結合金の加工は大量生産が可能ですが、納期が重要となる場合は生産能力についても確認する必要があります。試作や少量生産を依頼する場合には、スケジュール通りに納品できることもチェックするべきポイントです。

4. 価格

コストも検討すべき要素です。複数の企業より見積もりを取って比較し、コストパフォーマンスの高い企業を選ぶことが重要です。また、見積書に材料費や加工費及び諸経費などが明確に提示されていることも確認する必要があります。

本記事は焼結合金加工を提供する大森精工有限会社様に監修を頂きました。

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デュプリケーター

監修:株式会社ワイ・イー・シー

デュプリケーターとは

デュプリケーターとは、データのコピーやバックアップを行うための装置です。

ハードディスクやネットワーク内において、一つのサーバーのデータを他のサーバーにコピーして冗長性を持たせたり、システムの移行を支援したりします。突然のハードウェア故障やシステム障害が発生した際にデータの損失を防ぎ、復旧を迅速に行うことができます。

デュプリケーターの使用用途

デュプリケーターは以下のような用途で使用されます。

1. IT

IT業界でデュプリケーターは、主にデータのバックアップや災害復旧のために使用されます。サーバーやデータベースのコピーを複数の場所に保管することで、システムの可用性と信頼性を高めます。

企業の重要データなどの迅速な復旧を可能にするため、データセンターでの使用が一般的です。また、クラウドバックアップシステムや、ストレージの冗長化においても利用される場合があります。

2. 製造業

製造業では、生産データや品質管理データのバックアップに使用されることが多いです。製造ラインの運転データ及び設計図、製品仕様書などの重要な情報を複製して保存するために使用します。万が一のデータ損失を防ぎ、製造工程の中断を最小限に抑えることができます。

また、製品設計の改訂履歴や生産スケジュールなどのデータを複数拠点で管理する場合にも使用することが多いです。これにより、業務の効率化やリスク管理の向上にも貢献します。

3. 金融業

金融業界では、データの保護と可用性が極めて重要です。デュプリケーターを利用して取引データや顧客情報、財務報告書などのデータをバックアップし、万が一のシステム障害やサイバー攻撃によるデータ損失に備えます。

また、金融機関は規制に基づいてデータの保持が必要なため、データの複製によりコンプライアンスを守りつつ、リスクを管理することが必要です。

4. 医療

医療業界では、患者情報や医療記録、診断結果などの重要なデータを保護するためにデュプリケーターを使用します。患者のプライバシーを守るため、データの冗長性とバックアップを確保することが法的に求められる場合があります。デュプリケーターを使用することで、効率的にバックアップを取ることが可能です。

デュプリケーターの原理

デュプリケーターはまず、ソースデータを読み取ります。ソースデータはハードディスクやSSDなどの記憶媒体に保存されています。これらのソースメディアからSATAやUSBなどのインターフェースを使用してデータを読み取る仕組みです。

ソースデータを読み取った後、そのデータを指定された複製先メディアにコピーします。複製先メディアにはハードディスクやネットワークストレージなどがあり、データをそのまま1:1でコピーする場合もあれば、データ圧縮や暗号化などの処理を加えることもあります。

また、複数の複製先メディアに同時にデータをコピーできる製品も販売されています。このような並列処理を活用することで、大量のデータを短時間で複製することができ、時間やコストの削減が可能です。

上記のように、データのコピーを効率よく行うことを中心に構築された装置です。データの安全性や可用性を確保するために、多くの業界で利用されています。

デュプリケーターの選び方

デュプリケーターは以下の要素を考慮して選定します。

1. 対応メディア

まず、対応するメディアを確認することが大切です。ハードディスクやSSD及びBlu-rayディスクなど、様々なタイプのメディアに対応した製品が販売されています。自分が複製したいメディアに対応している製品を選定する必要があります。

2. インターフェース

デュプリケーターの一般的なインターフェースにはSATAやUSBなどがあります。SATAは特にハードディスクやSSDの複製に使用され、データ転送速度が高速で、デスクトップやサーバー環境で使用することが多いです。

一方、USBインターフェースは、外部ストレージデバイスやフラッシュドライブの複製に便利です。

3. 処理速度

処理速度は、デュプリケーターのパフォーマンスに直結します。データのコピー速度は複製するメディアの種類やインターフェース、デュプリケーターの内部設計に依存します。高い処理速度を持つデュプリケーターを選ぶことで、大量のデータを効率的に複製することが可能です。

本記事はデュプリケーターを製造・販売する株式会社ワイ・イー・シー様に監修を頂きました。

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分銅校正

監修:関東メジャー株式会社

分銅校正とは

分銅校正とは、分銅の正確な質量を測定する作業です。

分銅の質量は用することによって変化します。取り扱いや保管環境によって、経年的な変化量が異なるため定期的な分銅校正が欠かせません。
校正の結果、決められた分銅質量 (1 g, 2 g等) からの質量差が明確になります。

一般的に1年に1回再校正を行うことが多いです。分銅校正を行うことで、使用する分銅が正確な重さを示すようになり、校正された分銅を使用したはかり校正により、信頼性の高い製品・サービス提供が可能となります。

校正作業には認定事業者が行うJCSS校正と非認定事業者の行う一般校正があります。認定事業者とは国際的な規格ISOに従った校正を実施できることを経済産業省の機関である製品技術基盤機構によって審査・認定された事業者です。

認定事業者の発行するJCSS校正証明書は協定質量と不確かさが示されます。

協定質量とは提供者と受給者で簡易的な質量結果の取り交わしを目的に、温度20℃、大気密度1.2 kg/m3の環境においてつり合う、密度8,000kg/m3を条件とした標準分銅の質量です。これにより空気密度による浮力条件や対象の分銅の密度を合わせより正確な質量結果を表すことができます。

不確かさは± (プラスマイナス) といった形式で示され、例えば±1.0gであった場合、-1.0gから+1.0gまでの間の真の質量があることを約95%の確度で示します。また、認定事業者の発行したJCSS校正証明書は国の管理する質量標準からの計量計測トレーサビリティが確保されていることを保証しており、トレーサビリティが確保されていることを示す体系図などの追加資料は不要です。

分銅校正の使用用途

分銅校正の結果は様々な分野で活用されています。以下はその一例です。

1. 製造業

製造業界では、分銅は必須の道具です。製品の質量を正確に測定するために、分銅を使ってはかりが正確に測定できることを確実にする必要があります。精密な質量測定が製品品質や安全性に直結するため、分銅を利用してはかりの検証作業 (日常点検や性能確認) を事前に実施しています。

2. 化学・製薬業

製造業の中でも化学工業や製薬業では、原料や化学製品の重さを正確に測ることが必要です。特に薬品の製造においては、成分の比率や原料の分量を厳密に調整する必要があり、そのために分銅によって校正されたはかりを使用します。製造機器の校正や研究所での実験の精度を保つためにも分銅は重要な役割を果たします。

3. 医療

医療分野では、薬剤の調合や体重計及び医療器具の重さの確認において分銅が使用されることがあります。分銅を使ってはかりを校正し、正確な値を指すことを確認することが多いです。はかりの値がずれてしまうと、医療の質が低下してしまう恐れがあるため注意が必要です。

4. 物流業・商業

物流や貿易業界では、貨物の重さを正確に測定する必要があります。分銅によって校正したはかり使用することで、正確な貨物の重量に基づいて運賃を計算します。また、規制に従って適正な重量となっているか確認することも重要です。

輸出入時は貨物の正確な重量を記録することも重要となるため、分銅を使用したはかり校正が必要となります。商業分野では市場や小売店での正確な計量は消費者と販売者の間で行われる商取引に重要や役割を果たしており、法律ではかりの定期的な検査が必要となるものがあります。

5. 研究・開発

科学研究では、実験の結果に影響を与える可能性があるため、精密な計測が不可欠です。分銅校正を行うことで質量の測定が正確になり、実験データの信頼性を担保します。物理学、化学、生物学の実験で使用する器具が適切に校正されていることが、実験の成功とデータの整合性を保証します。

分銅校正の等級の選び方

分銅は国際規格OIMLにより1mgから5000kgまでの精度等級ごとに材質や構造、最大許容誤差などが規定されています。精度等級が高い分銅ほど、より小さな最大許容誤差が規定されています。分銅は使用開始以後の経年変化によって購入当時の精度等級を維持しているか (適合性評価) 、定期的な校正によって確認する必要があります。なお校正の結果、購入当時の精度等級を逸脱している場合、調整孔をもつ分銅については質量調整が可能です。以下に主な校正区分を示します。

1. E1級

E1級は分銅の中で最も高い精度の等級で、非常に厳密な質量管理が求められる場合に使用されます。非常に高価で、所有機関のE2級分銅を校正するために使用し、普段は質量変化を起こさぬよう厳重に保管します。

2. E2級

E2級はE1級に次ぐ高い精度の等級で、E1級ほどの精度は要求されないものの、依然として非常に高い精度を有します。
研究所などで使用されるような、精度の高いはかりの校正に用いることが多い等級です。

3. F1級

F1級はE2級に次ぐ高い精度の等級で、E2級ほどの精度は要求されないものの、依然として高い精度を有します。
工場などで使用されるような、はかりの日常点検で用いることが多い等級です。

4. F2級

F2級はF1級に次ぐ高い精度の等級です。精密な計測が必要な場面で使用されますが、F1級よりはやや広い許容誤差範囲を有する等級です。

5. M1級

M1級は商業的な取引や一般的な計測で使用される標準的な精度を持つ分銅です。F1級やF2級ほどの精度は求められないものの、通常の商業取引や工業上の計測において充分な精度を有する等級です。
日常的な使用に対して充分な許容誤差を持ち、長期間安定して用いることができる等級です。

6. M2級

精度がそこまで重要でない場合や、予算が限られている場合に使用されます。商業的な取引や一般的な計測で用いられ、誤差がある程度許容される状況で使用します。高精度を求められる場面では使用しません。

本記事は分銅校正を行う関東メジャー株式会社様に監修を頂きました。

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分銅

監修:関東メジャー株式会社

分銅とは

分銅とは、はかりで物の重さを測定する際に基準となる質量の標準器です。はかりの製造においては目盛り付け、品質の管理に使用されます。

分銅をはかりに載せることで精度を確認できます。これを「はかりの校正」と言います。校正を行い、校正結果を確認することによって、実際にはかりを使用される際の測定結果の信頼性を担保します。
世界中の異なる場所・環境で行われた測定でも、国際的な規格OIMLに基づいて製造・校正されている分銅を用いることで測定結果の同等性を示すことができます。

かつて、各国ごと、業界ごとに、作りやすい材質または形状で製造された分銅は質量安定性に関して特性が異なっていました。1つの分銅がこの特性の違い、温度・湿度・大気圧による空気浮力の違い、高地では重力加速度の違い等、様々な場所・環境要因により測定結果に予期せぬ偏りが生じることになります。そこで国際的に製造・校正方法を統一 (標準化) し、世界中の場所・環境にとらわれず測定結果の同等性が確保できることになりました。

分銅の使用用途

分銅は以下の用途で使用されます。

1. 製造業

製造業界では、製品の質量を正確に測定するために、分銅を使ってはかりが正確に測定できることを確認する必要があります。精密な質量測定が製品品質や安全性の確保に直結するため、分銅を利用してはかりの検証作業を必ず実施しています。

2. 化学・製薬業

製造業の中でも化学工業や製薬業では、原料や化学製品の重さを正確に測ることが必要です。特に薬品の製造においては、成分の比率や原料の分量を厳密に調整するため、分銅によって校正されたはかりを使用し品質の担保に繋げています。製造機器の校正や研究所での実験の精度を確保するためにも分銅は重要な役割を果たします。

3. 医療

医療分野では、薬剤の調合や体重計及び医療器具の確認において分銅が使用されることがあります。分銅を使ってはかりを校正し、正確な値を指すことを確認後にはかりを使用する手順となっている現場が多くあります。はかりの値がずれてしまうと、医療の質が低下してしまうリスクがあるため細心の注意が必要となります。

4. 物流業・商業

物流や貿易業界では、貨物の重さを正確に把握する必要があります。分銅によって校正したはかりを使用することで、正確な貨物の重量に基づいて運賃を計算します。また、法規制に従って適正な重量となっているか確認し、輸出入時は貨物の正確な重量を記録することも重要となるため、分銅を使用したはかり校正が必要となります。商業分野では市場や小売店での正確な計量は消費者と販売者の間で行われる商取引に重要や役割を果たしており、法律ではかりの定期的な検査が義務付けられるものがあります。

5. 研究・開発

科学研究では、実験の結果に影響を与える可能性があるため、精密な計測が不可欠です。分銅校正を行うことで質量の測定が正確になり、実験データの信頼性を担保します。物理学、化学、生物学の実験で使用する器具が適切に校正されていることが、実験の成功とデータの整合性を保証します。

分銅の原理

OIMLは分銅の製造・校正方法の国際規格です。近年販売されている分銅の多くはこのOIMLに準拠した分銅です。分銅の質量が正確であることを担保する仕組みに計量計測トレーサビリティがあります。分銅が国家の管理する質量標準 (国家標準) に対して比較校正の連鎖でつながっていることを示します。

比較校正は国際的な技術基準に従って実施されていることを示すため、経済産業省の機関である製品技術基盤機構によって審査・認定する仕組み (計量法トレーサビリティ制度:JCSS) によって確認・維持されています。JCSSは分銅をはじめとする計量器の校正を行う事業者が持つべきマネジメントシステムです。認定を受けた事業者による比較校正結果はJCSS校正証明書として発行され、国家標準からのトレーサビリティが確保されていることを保証します。なお、JCSS認定を受けていない事業者の校正結果は国家標準からのトレーサビリティが確保されているか信頼できる第三者機関によって確認されていないためトレーサブルな校正結果を必要とする場合はJCSS校正をおすすめします。

分銅のトレーサビリティの大元となる国家標準に基づいており、各国の国家標準は国際的に認められた測定機関によって管理され、国家標準間の同等性が確認・維持されているため分銅のJCSS校正証明書は国内のみならず国際的に有効です。

分銅の選び方

分銅は国際規格OIMLにより材質や構造、最大許容誤差などを規定した精度等級により、1mgから5000kgまで分かれています。精度等級が高い分銅ほど、より小さな最大許容誤差が規定されています。分銅の精度等級は一般的に、使用しているはかりの目量 (はかりの計量できる最小単位) の±1/3以下の最大許容誤差を有するもの、または測定に期待する許容範囲 (%) を自身で規定している場合は、許容誤差の±1/3以下の最大許容誤差を有するものを選びます。以下は主な分銅等級と特徴を示します。

1. E1級

E1級は分銅の中で最も高い精度の等級で、非常に厳密な質量管理が求められる場合に使用されます。非常に高価で、所有機関の下位等級分銅を校正するために使用し、普段は質量変化を起こさぬよう厳重に保管します。

2. E2級

E2級はE1級に次ぐ高い精度の等級で、実用性が上がります。E1級ほどの精度は要求されないものの、依然として非常に高い精度を有します。
研究所などで使用されるような、精度の高いはかりの校正に用いることが多い等級です。 (ウルトラミクロ天秤やミクロ天秤) 

3. F1級

F1級はE2級に次ぐ高い精度の等級で、E2級ほどの精度は要求されないものの、依然として高い精度を有します。
製造工場で高精度なはかりを校正される場合に用いることが多い等級です。 (ミクロ天秤やセミミクロ天秤) 

4. F2級

F2級はF1級に次ぐ高い精度の等級です。主に精密なはかりの日常点検で使用されます。F1級よりはやや広い許容誤差範囲を有する等級です。 (セミミクロ天秤や最小表示0.1mgの天秤) 

5. M1級

M1級は商業的な取引や一般的な計測で使用される分銅です。F1級やF2級ほどの精度は求められないものの、通常の商業取引や工業上の計測において充分な精度を有する等級です。
日常的な使用に対して充分な許容誤差を持ち、長期間安定して用いることができる等級です。大きい質量を計測するはかりの日常点検に用いられます。

6. M2級

精度がそこまで重要でない場合や、予算が限られている場合に使用されます。商業的な取引や一般的な計測で用いられ、誤差がある程度許容される状況で使用します。高精度を求められる場面では使用しません。

本記事は分銅を製造・販売する関東メジャー株式会社様に監修を頂きました。

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護岸工事

監修:株式会社イーグル・ヴィジョン

護岸工事とは

護岸工事とは、河川や海岸及び湖沼などの水辺の区域で、土砂の流出や水流による浸食を防ぐために行われる工事です。

河川や海岸に堤防を設置したり、護岸ブロックを並べたりすることが多いです。河川や海岸の水位が上昇した際に水流を制御し、周辺地域への洪水・浸水を防ぐ役割を果たします。これにより、住民や農地を保護しつつ、経済的な損失を防ぐことが可能です。

護岸工事は、想定外の大規模洪水や津波などに対して、工事の規模や強度が足りなくなる可能性もあります。そのため、設計段階で最新の気象データや歴史的な災害記録を基に、極端な状況にも耐えられるように工事の規模や構造を決定することが重要です。

護岸工事の使用用途

護岸工事は下記のような場所において実施されます。

1. 河川

河川沿いでの護岸工事は、主に洪水防止と土地の浸食防止を目的としています。増水時に周囲の土地や集落を守るために堤防や護岸壁を設置します。

護岸工事により、河床を安定させ、土壌が削られたり、川岸が崩れたりするのを防ぎます。河川の水流を調整することで、周辺の農地や住宅地を保護することが可能です。

2. 海岸

海岸地域では、津波や高潮といった自然災害に対する備えが最も重要な目的です。特に津波や高潮が多い地域では、護岸工事を強化して実施する必要があります。

護岸工事により、高潮時や津波発生時に、海水が陸地に浸水するのを防ぎます。結果として漁業活動の安定化に寄与し、地元経済を保護することが可能です。

3. 低地・デルタ地帯

低地やデルタ地帯では、水位の変動が浸水に直結します。降水量や河川の増水が原因でも浸水が頻発するため、堤防や護岸壁が重要な役割を果たします。こうした地域では護岸工事によって洪水のリスクを軽減し、農地や住民の生活を守る必要があります。

護岸工事の原理

護岸工事の基本的な原理は、水流が特定の方向に流れるように調整することです。河川や海岸沿いでは、水流が土砂を削り取ったり、土地を浸食したりします。護岸壁や堤防を設けることで水流が勢いを失い、土地や岸壁への影響を軽減する仕組みです。

特に海岸での護岸工事では、波のエネルギーを吸収し、拡散させることが重要です。波が岸に打ち寄せるとき、そのエネルギーが護岸壁に伝わり、岸を浸食する原因になります。

護岸工事では波のエネルギーを分散させるために、角度をつけた壁や石積み、コンクリートブロックなどを使用することが多いです。これにより、波のエネルギーが地表に及ぼす直接的な影響を抑え、浸食や土砂流を防ぐことができます。

近年では、環境に配慮した護岸工事が求められる場合もあります。従来のコンクリートや石を使った護岸壁に加えて、植物を使った自然素材を用いた護岸なども注目されています。

護岸工事の種類

護岸工事には以下のような種類が存在します。

1. コンクリート護岸工事

コンクリート護岸工事は、コンクリートを使用した護岸工事です。護岸工事の中でも最も一般的な方法であり、強度や耐久性が求められる場合に使用されます。コンクリートを用いて壁を構築し、水流や波の力を抑える仕組みです。

コンクリート護岸工事は河川や海岸、湖沼などの場所で広く使用されており、高い防護効果を発揮します。コンクリートは耐久性が高く、長期間にわたって使用することができますが、自然環境との調和には配慮が必要です。

2. 石積み護岸工事

石積み護岸工事は、天然石や人工のブロックを積み重ねて作る工法です。自然の景観に馴染みやすく、波や水流を受けても効果的にエネルギーを吸収・拡散します。石積みの隙間に植物を生育させることができ、自然環境への配慮も可能です。

3. 木材護岸工事

木材護岸工事は木材を使用して護岸を作る工法です。特に湿地や自然保護区などで利用されることが多く、景観への影響を最小限に抑えることができます。ただし、木材は腐敗しやすいため、耐久性を保つために定期的なメンテナンスが必要です。

4. 防波堤工事

防波堤工事は波を防ぐために設置する護岸工事です。主に港や漁港、海岸で実施されます。コンクリートや鋼材及び石などによる波消しブロックを用いて、波浪のエネルギーを減少させる仕組みです。

護岸工事の分類

現在の護岸工事は、おおよそ以下の3通りに分類されます。
①新設護岸工事は護岸の一部、若しくは全部を新設します。
②既設護岸改良は護岸の高さが足りない等を改良します。
③既設護岸補強は30年~50年前経過した護岸の劣化・欠損修復です。

上記工事②③の方法とし、以下の3点の工事方法が主で活用されます。

1. 断面修復

護岸の欠損・クラック・表層の劣化部の補修・補強を行います。護岸背面の空洞へも材料等充填します。護岸背面に水が浸入すると一気に河川護岸が崩壊するため、その危険性を除去する対応です。護岸の表面には微細な隙間や欠損があり、背面の土砂が流失していた場合、空洞部や欠損部に補修材・砕石を充填します。

2. 護岸下部及び護岸基礎補修・補強

護岸基礎の損傷と護岸下部の欠損などへ対応する工事です。護岸下部や護岸基礎は流域の下に位置するため、排水しなければ工事できません。河川の水位によってドライアップ (乾燥) させるため、部分的な補修・補強であっても大きなコストがかかります。

3. 新設護岸工事・既存護岸の改良

護岸基礎・護岸下部から補修・補強が必要な箇所までコンクリートを施工します。更に大きな手間とコストがかかります。ただし、護岸の劣化や機能不全が進行している場合、周囲の土地や施設を保護するために不可欠な作業です。

本記事は護岸工事を行う株式会社イーグル・ヴィジョン様に監修を頂きました。

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置き去り防止装置

監修:オクト産業株式会社

置き去り防止装置とは

置き去り防止装置 (置き去り防止を支援する安全装置) とは、自動車の中に子どもや人が取り残されないように、運転手等に車内の見回りを促したり、センサーが車内に置き去りにされた人を検知したりする安全装置です。

スクールバス等の車内に置き去りにされた児童等が、死亡または深刻な健康被害を受ける事故が繰り返されることから、2023年4月1日より、保育所、幼稚園、放課後等デイサービス事業所などの主に送迎用バスにおいて、置き去り防止装置の設置が義務付けられました。

国土交通省が定めた「置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」に準拠した装置には、ガイドライン認定番号が付与され、こども家庭庁の「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置リスト」に掲載されています。このリストに掲載されてない製品を設置した場合は、置き去り防止装置の設置義務違反となるため注意が必要です。

通所介護事業所 (デイサービス) やスイミングスクールなどの送迎用車両は置き去り防止装置の設置が義務付けられていませんが、自発的に装置を設置する事業者もいます。

置き去り防止装置の種類

大きく分けて2つの方式があり、各々異なるヒューマンエラー及び場面への対策を目的としています。2つの方式を組み合わせた製品もあります。

・ 降車時確認式(押しボタン式)の装置

運転手等に車内の確認を促し降車時の確認忘れを防止することを目的としています。多くの場合、エンジン停止をトリガーとして車内で音や音声を鳴らし、運転手等に車内の安全確認を促します。目視による安全確認後、確認ボタンを押すしくみです。所定の時間内に確認ボタンが押されないと、車外に向けて大音量の警報音が鳴り、車内の安全確認がされていない可能性を周囲の人に知らせるものが一般的です。

・ 自動検知式(センサー式)の装置

乗員を残したまま駐車してしまった場合に、車外に向けてその旨を知らせることを目的としています。エンジン停止後、一定時間経過後に車内に人が残っていると、人感センサーが検知して、車外に向けて大音量の警報音等が鳴ります。検知方法は超音波、音声や画像を解析するなど、様々です。また車外への通知方法も、施設内に設置した受信機やスマホアプリ宛に通知する方法など、複数の方法があります。

・上記の機能を組み合わせた装置(併用式)

置き去り防止装置の選び方

降車時確認式と自動検知式には、それぞれに一長一短があります。また送迎用車両の運用方法やルールは施設ごとに違います。ある施設にとってはメリットになる製品の特長が、別な施設ではデメリットになることもあります。実際に装置を使う場面を具体的に想像して、ご自身の施設に向いている製品を選ぶことが大切です。一度取り付けると、長く使用することになりますので、ささいな点でも気になったら、メーカーや代理店に問い合わせる事が肝心です。

・降車時確認式(押しボタン式)の装置の特徴

良い点:操作方法がシンプルな製品が多く、電子機器が苦手な人でも操作しやすい傾向があります。急に運転手が変更になった場合などでも、操作がシンプルなため問題が生じにくいメリットがあります。構造がシンプルなので、地場や磁気、通信システム障害に影響を受けにくく、安全装置単体で運用できるため、安全装置のシステムとして堅牢な場合が多いです。

難点:送迎の後など、車両を使い終わった後、毎回確認ボタンを押す必要があります。この点が安全を担保するためのコストと感じるか、煩わしいと感じるかは、導入する施設の運用方法やルールなどによって変わってきます。

・ 自動検知式(センサー式)の装置

良い点:基本的に機械任せなので、運転手の手間が少ない事がメリットです。設置したセンサー類と、IT機器やICTシステムを連動させ、車内外の情報をスマートフォンに送るなど、付加サービスを提供できる製品もあります。

難点:センサーが誤認識してしまう場合があります。場合によってはセンサーを定期的に点検する必要があります。付加サービスを提供する場合、タブレットなどのアプリを使う操作が必要となり、電子機器が苦手な人にとっては利用するハードルが高くなる可能性があります。また付加サービスは月々の利用料金が必要なものが多く、導入の際には運用コストも考える必要があります。

本記事は置き去り防止装置を製造・販売するオクト産業株式会社様に監修を頂きました。

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BIM/CIMソフト

BIM/CIMソフトとは

BIM/CIMソフトとは、建設業界で設計・建設・運用の各段階で情報をデジタルで統合的に管理するためのソフトウェアです。

BIMとは「Building Information Modeling」の略であり、主に建築物に関連する設計・建設・運用の全てのプロセスをサポートするソフトウェアです。建物の詳細な3Dモデルを作成し、建築家やエンジニア及び施工業者がリアルタイムで協力しながら作業を進めることが可能です。CADソフトなどと連携されていることが多いです。

CIMは「Civil Information Modeling」の略であり、公共事業やインフラの設計・管理に特化しています。地形データや道路設計、インフラストラクチャの詳細をデジタルで表現し、建設プロジェクトの効率性を高める役割を果たします。

BIM/CIMソフトは設計段階で詳細な3Dモデルを作成するため、物理的な構造やインフラの正確な視覚化が可能です。これにより、設計の誤りや不整合を早期に発見でき、最終的な建物やインフラの品質が向上します。

また、複数のチームメンバーが同じモデルを共有し、リアルタイムで更新を行うことができるため、各ステークホルダー間での連携が強化されます。

BIM/CIMソフトの使用用途

BIM/CIMソフトウェアは、建設業界やインフラ業界で使用されるソフトウェアです。設計段階や施工段階だけでなく、管理・運用段階でも活用される機会があります。

設計段階では、建物や構造物の設計に広く使用されます。ソフトウェアを使用して詳細な3Dモデルを作成し、構造や付帯設備などを視覚的に設計します。構造や設備の配置などをシミュレートし、設計ミスを事前に発見することが可能です。

建設現場での施工管理では、設計図や施工スケジュールと連携し、建設資材や作業進捗の管理が可能です。3Dモデルに基づいて施工手順を確認でき、建設中の変更や問題を迅速に反映できます。また、リソースの最適化やスケジュール管理が可能な製品も販売されています。

建物が完成した後の施設管理でも活用されることが多いです。建物内の設備やシステムに関する詳細な情報をソフトウェア上に格納することで、メンテナンスや修理の際に迅速に必要な情報を得ることができます。配管や電気設備の位置情報、使用されている材料のデータなどが簡単に確認でき、効率的な施設管理に繋がります。

BIM/CIMソフトの原理

BIM/CIMソフトの中心には、統合されたデータベースが存在します。データベースに建物やインフラに関するすべての情報を集約することにより、あらゆる情報が一元管理され、関係者間での情報共有がスムーズに行える仕組みです。

データベースには、クラウド技術やサーバー技術を使用します。クラウド技術を利用することで、複数の関係者がインターネットを介して同時にデータにアクセス・更新することが可能です。機密性の高い情報の場合、専用サーバーを活用することもあります。

BIM/CIMソフトでは、設計の段階で3Dモデルを使用して建物やインフラを視覚化します。これにより、物理的な構造や配置、空間的な関係をリアルタイムで確認できます。設計上の問題を発見するための強力なツールであり、設計ミスや不整合を事前に発見して修正することが可能です。

BIM/CIMソフトの選び方

BIM/CIMソフトを選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. プロジェクト規模

ソフトウェアを選ぶ際には、プロジェクトの規模や複雑さを考慮することが重要です。小規模な建設プロジェクトにはシンプルなBIMソフトウェアで十分な場合がありますが、大規模で複雑なインフラプロジェクトには高機能で柔軟性のあるソフトウェアが必要です。

2. インターフェイス

ソフトウェアの操作性は、作業効率に大きく影響します。直感的で使いやすいインターフェースを持つソフトウェアを選ぶことが重要です。

また、トレーニングやサポート体制が整っていることも確認します。業界で広く使用されるソフトウェアは、ユーザーコミュニティやサポートが充実している場合が多いです。

3. コスト・ライセンス

ソフトウェアの価格は、選定時の重要な要素です。BIM/CIMソフトは高価であることが多いため、サブスクリプション型や永続ライセンスなど、支払い方法についても検討が必要です。また、最初の購入費用だけでなく、保守費用やアップグレード費用も考慮します。

吸引ろ過装置

吸引ろ過装置とは

吸引ろ過装置とは、液体や気体を引き寄せつつフィルターを通すことで固体粒子を取り除く装置です。

フィルターを設置した容器と、吸引を行うための真空ポンプなどで構成されます。液体や気体がフィルターを通過する際、固体不純物がフィルターに残り、清浄な液体や気体を吐出する装置です。通常の重力ろ過よりもろ過速度が速い点が特徴です。また、吸引ろ過を実施することで細かい固体粒子を効率的に除去できます。

吸引ろ過装置の使用用途

吸引ろ過装置は以下のような用途で使用されます。

1. 研究・開発

実験室などでは、吸引ろ過装置は化学実験や生物学的研究において重要な役割を果たします。溶液から固体を迅速に分離したり、化学反応後の副産物を除去したりするために使用されます。特に小規模なサンプルで高精度なろ過が求められる場合、吸引ろ過装置が非常に有用です。

2. 製薬

製薬業界では、吸引ろ過装置を使用することで薬品や化学物質の精製、純度を高めることが可能です。結晶化した薬品のろ過や溶媒から不純物を取り除くために使用されることが多いです。

また、製薬工程において細菌や微生物を除去するために、微細なフィルターを用いた吸引ろ過が行われることもあります。衛生面や品質管理が重要なこの業界では、効率的で高精度なろ過が重要な役割を果たします。

3. 食品

食品業界では、吸引ろ過装置は、特に液体製品の清澄化や不純物除去に使用されます。ジュースやワイン、ビールなどの飲料製造過程で、果汁や液体の中に含まれる不純物をろ過することが可能です。

また、油やバターの精製過程で、固形物や異物を取り除くためにも利用されます。これにより、製品の見た目や味、品質を高めることができます。

吸引ろ過装置の原理

吸引ろ過装置では、真空ポンプや吸引装置を使用します。装置内の圧力を大気圧よりも低くすることで、液体や気体がフィルターを通過する際に吸引力が働いて、物質を強制的に引き寄せます。この吸引力によってろ過する流体がフィルターに向かって引き寄せられ、固体粒子を捕える仕組みです。

吸引ろ過装置では、液体や気体をろ過するために特定のフィルターを設置します。フィルターにはろ紙やメンブレンフィルターなどが使用されます。粒子のサイズに応じて多くの種類のフィルターが販売されており、目詰まりを防ぐために適切なものを選定することが必要です。

液体や気体が吸引力によってフィルターを通過する際、固体粒子はフィルター表面に留まり、清浄な流体がフィルターを抜けて吸引されます。この過程により、固体物質を効率よく取り除き、清浄な液体や気体が取り出すことが可能です。

吸引ろ過装置の選び方

吸引ろ過装置を選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. フィルター細孔

フィルター細孔のサイズは、ろ過する粒子のサイズに合った製品を選ぶことが重要です。フィルター細孔が小さいほど微細な粒子を取り除くことができますが、ろ過速度は遅くなります。微細な粒子を除去する場合は、フィルター細孔が小さい0.45μmや0.22μmなどを選定します。

2. 容器容量

容器容量は、ろ過する流体の量に応じて選定します。処理するサンプルの量が多い場合には、大容量の容器を選ぶ必要があります。また、容量が大きければ、ろ過作業を一度に長時間行えるため、作業効率が向上します。

3. 材質

吸引ろ過装置の材質は、使用する流体の化学的性質や使用環境に合わせて選ぶことが重要です。化学薬品や溶媒を扱う場合は耐薬品性が重要であり、ステンレス鋼やテフロン及びガラスなどを使用します。特に小規模な製品の場合はガラスを使用することが多いです。

4. 真空度

吸引ろ過装置ではろ過プロセスを効率的に進めるために十分な吸引力が必要です。真空度が高いほど流体がフィルターを通過する速度が上がりますが、過度に高い真空度を使用するとフィルターが破損するリスクが高まります。

適切な真空度のポンプを選定するためには、ろ過する流体の粘度や固体粒子の大きさを考慮する必要があります。