湿度センサー

湿度センサーとは

湿度センサー

湿度センサーとは、空気中の湿度を測定するセンサーのことです。

一般的に、飽和水蒸気量に対する相対湿度を測定するセンサーを指します。温度センサーを組み合わせて温湿度センサーという形で利用される場合もあります。もちろん、絶対湿度を検出する湿度センサーもありますが、相対湿度を検出する湿度センサーの方が一般的です。

湿度センサーは、エアコンや乾燥機など家電製品だけではなく、機械のメンテナンスや食品加工の現場でも使用されています。

湿度センサーの使用用途

湿度センサーは、一般家庭用の家電製品やプリンターなどのOA機器、一般家庭やビルおよび施設の空調、工場や倉庫などの工業施設などで幅広く使用されています。それぞれの用途例は下記のとおりです。

1. 一般家庭向け製品

湿度センサーは一般家庭用の製品に搭載されています。例えば、エアコンや冷蔵庫、自動車、乾燥機、空気清浄機、加湿器などに使用されています。空気環境を調整する空調製品に湿度センサーは不可欠です。

2. OA機器

プリンターなどのOA機器にも湿度センサーは搭載されています。OA機器は極度な乾燥や湿度を嫌うため、湿度センサーにより外部環境を測定し、機器の故障を防いでいます。

3. 工業用途

さらに幅広く湿度センサーが利用されているのが、工業用途です。食品加工工場や植物栽培工場などはもちろん、半導体などの製造現場や保管場所などの湿度管理に使用されています。また、医療機器の製造および使用環境、航空宇宙事業の現場などの湿度管理が重要な場所でも湿度センサーが利用されています。

4. 保管用途

博物館や美術館の展示物の保管にも湿度管理は非常に重要です。そこで、湿度センサーは、保存場所の湿度管理に重要な役割を果たしています。

湿度センサーの原理

湿度センサーは、相対湿度を測定するものが一般的です。センサーにより空気中の湿度を測定し、これをその環境下の温度における飽和湿度に対する相対値として算出して相対湿度を導き出します。

一方で、絶対湿度を測定する湿度センサーは、その空間における1立方メートルあたりに含まれる水蒸気量を測定します。この絶対湿度は温度に依存しない値で、その空間内の水蒸気量を示しており、容積絶対湿度とも呼ばれます。

湿度センサーの種類

湿度センサーは電子式高分子湿度センサーが主流であり、さらに「抵抗変化型」と「静電容量変化型」に分類されます。いずれも、電極と高分子膜により構成されており、高分子膜の吸湿による湿度の変化を電極間の電気信号の変化として取り出すものです。

1. 抵抗変化型湿度センサー

抵抗変化型湿度センサーは、湿度変化に対応する電気信号を電気抵抗の変化で捉えて検出します。くし形状をなす電極を互い違いになるように配し、このくし形状の向かい合う電極間の隙間を埋めるように高分子膜が配された構造です。

この高分子膜が湿気を吸い込み水が吸着すると、膜内のイオンが自由に動き回れるようになり、このイオンにより膜の抵抗が変化する性質を利用しています。この膜の抵抗の変化により電極間の抵抗 (インピーダンス) が変化するので、電気抵抗の変化により湿度を検出できます。

電気抵抗変化式の湿度センサーは、構造が簡単で、大量生産も可能です。また、比較的安価で耐久性が良く、電気抵抗を測定することからノイズに強い、湿度が高い部分に向いているというメリットもあります。ただし、湿度が低いと検出がうまくいかないデメリットがあります。

2. 静電容量変化型湿度センサー

コンデンサの技術を応用し、湿度変化に対応する電気信号を電気容量で捉えて検出するのが、「静電容量変化型」の湿度センサーです。通常の電極上に、湿気を吸い込むセルロースやPVAといった高分子膜の誘電体を挟んだ状態で、水分を透過する電極を設けた構造です。

水分を透過する電極側においては、空気中の水分は電極の有無に関係なく、高分子膜に吸湿され、高分子膜の誘電体の静電容量が吸湿した水分量によって変化します。この結果、水分量の違い、つまり湿度の変化を静電容量の変化として検出できます。

静電容量変化型湿度センサーのメリットは、抵抗式よりも反応が敏感で、応答速度も速いことです。しかし、静電容量変化型湿度センサーには、回路が複雑になるというデメリットがあります。

湿度センサーのその他情報

1. 湿度センサーのタイプ

湿度センサーには、小型の素子形状で電子回路に接続して使用するタイプのほか、プローブ状の測定部内に湿度センサーを配しているタイプもあります。また、結露に強いもの、結露に弱いものもあるため、用途に応じた適切な選定が必要です。

2. 湿度センサーの寿命

湿度センサーは、長年使用し続けると徐々に劣化し、当然のことながら、測定精度が低下します。また、湿度センサーと外部出力間の接合部の劣化も生じます。これらを考慮すると、使用環境や搭載センサーの種類にもよりますが、センサーの寿命は2~5年程度です。

3. スマートフォン用湿度センサー

近年、温度・湿度センサーを搭載しているスマートフォンが増えています。このように温度・湿度センサーを搭載したスマートフォンで温度・湿度を計測するためには、無料アプリなどをダウンロードする必要があります。

また、温度・湿度センサーを搭載していないスマートフォンにおいては、外付けセンサーを取り付ければ測定可能なケースも多いです。スマートフォンに連携するワイヤレスセンサーとしては、Bluletooth機能を有した温湿度センサーなども販売されています。このような外付けセンサーは、一般的に「環境センサー」と呼ばれています。この環境センサーは湿度だけでなく、温度、照度、気圧、騒音等の複数センサー機能を有しているものが多いです。

参考文献
https://product.tdk.com/info/ja/products/sensor/sensor/humidity/technote/tpo/index.html
https://empex.co.jp/usefulInfor.html
https://www.sensirion.com/jp/environmental-sensors/

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