高電圧発生装置とは
高電圧発生装置とは、電力会社から受電した低電圧の交流電流を高電圧の交流または直流電流に変換する装置です。
電力会社から送電されてくる電気自体は6.6kV、33kVなど高電圧ですが、安全のため実際に電気を使用する末端では200V、400Vなどの低電圧に変換されています。稼働に高電圧を必要とする機器を用いる際や高電圧を用いた試験を行う際には、こうした低電圧から高電圧への変換を行う必要があります。
高電圧発生装置には用途に合わせたいくつかの種類があり、それぞれ電圧特性やレンジ等が異なります。ラインナップはメーカーによって様々ですが、直流高電圧安定化電源、耐圧試験・絶縁破壊器、インパルス電圧発生装置、高圧パルス発生装置、高電圧実験装置などがあります。
高電圧発生装置の使用用途
高電圧発生装置の使用用途は装置の特徴によってさまざまですが、主な使用用途は下記の通りです。
- 直流高電圧によって車体や建築材といった各種部品の塗装
- 電線など産業用電気機器の耐圧、絶縁破壊、インパルス試験
- 繰り返し高電圧を発生させることによる金属・プラスチックなどの表面処理
- 水中プラズマを利用した汚水処理
- 模擬雷を発生させることによる落雷試験・雷サージ試験
- 工業高校や大学等、資格認定校での高電圧実習・評価試験
高電圧発生装置の原理
高電圧発生装置は、増幅回路と呼ばれる増幅機能を持った電子回路を利用して低電圧から高電圧への変換を行っています。
増幅回路とは入力信号より大きなエネルギーの出力信号を得るための電子回路で、コンデンサと抵抗やダイオードといった部品で構成されています。代表的なものとしてはコッククロフト・ウォルトン回路が挙げられます。
コッククロフト・ウォルトン回路は比較的低電流で高圧の電源が必要な場合に用いられ、数10V~数100万Vまでの高電圧を作ることができます。回路を構成しているのはコンデンサと整流器 (二極真空管もしくは半導体ダイオード) で、それらの部品からなる電圧増幅回路をはしご状に積み重ねてできています。回路部品は単純なため、変圧器に比べ軽量で安価なことが特徴です。
増幅回路では、電圧を印加すると上流にあるコンデンサが最大で入力値のピーク値まで充電されます。そして下流側の極板にはこのコンデンサと電源の電圧が加算された分の電位が生じます。整流器があるため逆バイアスには電流が流れず、順バイアスを通って次のコンデンサに電流が流れると、次のコンデンサはその電位に応じて充電されます。
これを繰り返すことでコンデンサが順々に充電されていき、次第に電位は高くなっていきます。この状態で直列的に放電することで、高電圧の出力を生み出しています。
参考文献
https://www.yamabishi.co.jp/guide/yh/index.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jceeek/2014/0/2014_477/_pdf