分散機とは
分散機とは、目的の物質を液体や気体中に分散させるための装置のことです。
液中分散機と気中分散機の2種類に分けられます。液中分散機は、速度の変動やビーズ・撹拌翼への衝突、超音波を利用して分散を実現します。具体的には、高速回転せん断型の撹拌機、コロイドミル、超音波分散機、媒体撹拌ミルなどです。
一方、気中分散機は目的物質の凝集体を粉砕し、気体中に分散させる装置です。代表的なものとしてエジェクター型分散機、ベンチュリ型分散機、オリフィスなどが挙げられます。分散機は、化学や食品、医薬品、環境分野など幅広い産業において活躍しています。
分散機の使用用途
分散機は、インクや塗料、化学品、電子材料、食品などの分野で使用されています。特にインクや塗料の製造では、分散機の活用が欠かせません。
主原料である顔料が乾燥して凝集していることがほとんどであり、製造過程で溶媒に分散させる必要があるからです。粒子のサイズや粒径の分布、粒子形状は顔料の性能に大きく関わるため、分散機による分散工程が重要です。
また、化学品や電子材料の製造でも、分散機は品質や性能の向上に寄与しています。粒子が均一に分散されることで、化学反応の効率が向上したり、電子材料の性能が安定させたりすることが期待されます。
食品分野でも、分散機はマヨネーズやソースなどの製造に利用され、油と水を効率的に混合させ、安定したエマルション状態を保つことが可能です。
分散機の原理
分散機は物質を分散させる装置で、分散したい物質の性状や溶媒、要求される分散の程度に応じて適切な分散機を選択することが重要です。分散機の原理は、基本的にせん断作用および衝撃・衝突作用を利用しています。
高速回転せん断型の撹拌機やコロイドミル、ロールミルでは、回転体と外筒との間隙で強力なせん断応力を生じさせ、粒子の凝集体や粒子自体を微細化し、分散させています。せん断応力を大きくする方法として、せん断速度を上げる、溶媒の粘性を上げるなどが有効です。
一方、攪拌槽や容器駆動型ミル、媒体攪拌ミルでは、衝撃・衝突作用が主に利用されます。撹拌翼やボール、ビーズなどの媒体と衝突する際に、衝撃によって粒子の凝集体や粒子自体が砕かれます。衝撃を大きくするためには、撹拌や媒体の速度を上げる方法が挙げられます。
分散機のその他情報
分散機と併用される機械
分散機は主に均質化機、濾過機、乾燥機と併用されます。分散機と併用することで、さまざまな製品の製造プロセスにおいて効率的で高品質な結果を生み出すことが可能です。
適切な機械の組み合わせにより、製品の品質や性能を向上させ、市場での競争力を高められます。
1. 均質化機
分散機と共に用いられる均質化機は、物質をより一層細かく均一にするための機械です。分散機で粒子を微細化した後、均質化機を用いることでさらに細かいエマルションやサスペンションを作成できます。
製品の安定性や品質が向上し、特に食品や化粧品、医薬品の製造において重要な役割を果たしています。
2. 濾過機
分散機で粒子を分散させた後、不要な固形物や粗大な粒子を取り除くために、濾過機が使用されます。濾過機は、ろ過材を通して液体を濾過させることで、粗大な粒子を分離し、目的物質をクリアな状態にします。
3. 乾燥機
分散機で作成された液体状の製品を固形化させるために、乾燥機が利用されます。乾燥機は、製品に熱風を当てたり、真空状態にして水分を蒸発させたりすることで、製品を乾燥させます。
乾燥させた製品は保存性が向上し、取り扱いや運搬が容易になる点が特徴です。乾燥機は、化学品、食品、医薬品などの製造において幅広く活用されています。
4. 分光光度計
分光光度計は、分散機と併用されることがあります。分散機を使用して物質を分散させた後、その分散粒子のサイズや分布が製品の品質に大きな影響を与えるため、分光光度計で定量的に評価します。
適切な粒子サイズや分布を保つことで、製品の一貫性と品質を確保することが可能です。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shikizai1937/77/8/77_366/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shikizai/87/6/87_209/_pdf/-char/ja
https://www.ashizawa.com/guidance/08.html