重機運搬車とは
重機運搬車とは、建設業の工事現場などで使用される重機を運ぶための車両です。
普通自動車などを運ぶキャリアカーとは違い、油圧ショベルやブルドーザーなど、さまざまな種類や大きさの重機を運搬するために使用されています。車両のサイズなどラインナップも豊富で、機械の重量に対応するウインチやクレーンなどが架装されている重機運搬車もあります。
また、重機運搬車は重機回送車や産業機械運搬車とも呼ばれており、建設業界や重機を使用する産業には欠かすことのできない車両です。
重機運搬車の使用用途
重機運搬車の使用用途は、主に重機の運搬です。油圧ショベルや、ブルドーザーなどの重機を、効率良く短時間で工事現場などに運搬します。
工事現場などで使用される重機のほとんどは、公道を走行することができません。そのため、重機運搬車は多くの産業で重機の運搬に使用され活躍しています。
重機運搬車の原理
重機運搬車は、油圧システムを使ってさまざまな装置を作動させています。油圧システムとは、小さな力を大きな力に変換することができるシステムです。
重機運搬車の前方を上下させるための油圧ジャッキや、荷台のスライドと荷台に傾斜させるための油圧シリンダーを作動させるための動力になっています。また、油圧システムは、動力をトラックのエンジンから取り出すことのできる装置PTOの切り替えで動力を生み出しています。クレーンやウインチも動力は油圧です。
重機運搬車の構造
重機運搬車の基本の構造は、エンジンと運転席からなる車体本体と、シャシに重機を積み込むための荷台が架装されているものです。また、油圧システムも各部を稼働させるための重要な構造の1つになります。
重機運搬車の種類
重機運搬車は、大きく分けると「荷台スライド式」 と 「車両傾斜式」 の2つの種類に分けることができます。また、重機の積み込み時に使う桟橋 (さんばし) にも 「手掛け桟橋」 と 「油圧桟橋 」 の2つの種類があります。
1. 荷台スライド式 (セーフティローダー)
荷台部分が傾斜し後方にスライドするタイプです。車両傾斜式 に比べて積載時の車両の高さが低いので安全に重機の積み下ろしができます。
2. 車両傾斜式 (セルフローダー)
トラックの前方を、油圧ジャッキの伸縮で上下させることができるタイプです。荷台に傾斜をつけて重機の積み下ろしを行います。
3. 手掛け桟橋
手掛け桟橋は、人力で設置するタイプです。多少の労力が必要となります。負担を軽減するために、内部にローラーが取り付けられている収納BOXが荷台後方部に設けられている車両もあります。
4. 油圧桟橋
油圧桟橋は、リモコンなどの操作で簡単に設置できるタイプです。作業者の負担も少なく効率的に設置ができます。
重機運搬車の選び方
重機運搬車の選び方は、運搬する重機の大きさや重量を考慮しなくてはいけません。その理由は、トラックの大きさによって積載できる重量が決まっているからです。
重機の重量に適した重機運搬車を選ぶことが必要となります。また、重機の積み下ろしには車体以上のスペースが必要です。重機運搬車と重機のサイズを考慮して、最も適したタイプの車両を選ぶことをおすすめします。
重機運搬車のその他情報
1. 重機運搬車の運転に必要な免許
重機運搬車で公道を運転する際は、車両の大きさに応じて次の免許が必要になります。
- 普通自動車免許
最大積載量2t未満、車両総重量3.5t未満 - 準中型自動車免許
最大積載量2〜4.5t未満、車両総重量3.5〜7.5t未満 - 中型自動車免
最大積載量4.5〜6.5t未満、車両総重量7.5〜11t未満 - 大型自動車免
最大積載量6.5t以上、車両総重量11t以上
また、トレーラータイプの重機運搬車を運転するためには牽引免許が必要となります。
2. 重機運搬車の長所
重機運搬車の特徴は、公道を走行できない重機を短時間で移動できることです。しかし、走行することのできない道路もあるので事前の調査が必要です。
重機運搬車を使用することで重機の運搬を短時間でスムーズに行えるので、建設業などでは作業の工数が計算しやすくなり、結果として生産性の向上にも大きく貢献することになります。
3. 重機運搬車の短所
重機運搬車が走行できない道路や制限されている道路があります。重量制限のある道路や狭い道路、高さ制限のある道路での走行は困難です。走行する道路を事前に調べる必要があります。