分級機とは
分級機とは、粒子の分級に使用する装置・機械です。
様々な大きさの粒子が混ざった粉体の原料から、一定の大きさごとに振るい分け、粒子の大きさを揃えることを分級と言います。
粒子状の物質からなる製品や材料は、医薬、食品、高分子化学、電子部品など幅広い分野で使用され、身近なところでは粉薬やインスタント食品のスープなどがあります。
工業分野で使われる粉体の製品・材料も、粒子の大きさが一定の範囲に揃っている方が高品質で使用上のトラブルを回避できると考えられています。工業的に生産工程に組み込まれる分級機は、対象とする物質や振り分ける粒子の大きさ、分級の精度、スループットなどに対応した多様な装置が製造、販売されています。
分級機の使用用途
分級機は粉体の製品や材料の粒子の大きさを揃えるために使用します。粒子の大きさを揃える目的には、製品の品質の均一化を図る、規格に適合させる、製造工程で発生する問題を回避する等があります。
種類の異なる複数の粒子を混合して新たな製品や材料を製造する場合は、粒子径が近いほど均一に混合されるため、分級は製品や材料の品質の均一化につながります。
また、散剤や顆粒剤等には規格によって粒子の大きさが規定されているものがあり、その規格に合わせた製品を出荷するためには分級が必須です。製薬工程では、錠剤の元になる粒体の粒径が異なると成形や硬度に影響が出る場合があるため大きさを揃えています。
分級機の原理
分級機には、粒子を網の上で振動させて網目の大きさによって粒子を振るい分けるものがあります。このタイプの分級機は医薬品の製造過程で多く使われています。
その他の分級機には、粒子の落下速度の違いを利用する重力分級法、粒子の慣性力を利用する慣性分級法、遠心力と気体や液体の効力の釣り合いを利用する遠心分級法を採用する装置など、異なった方式の装置があります。
また、粒子を空気や窒素ガスの雰囲気の中で分級する分級機を乾式分級機、水や溶液の中で分級する分級機を湿式分級機として区別しています。遠心分級法を利用する湿式分級機では、容器の中に入れられた円盤状の分級ローターの中心部に吸引口が設けられており、円盤の縁の近くに、多数の分級羽が円盤を一周するように取り付けられています。
容器の中に分級対象の粒子が入ったスラリーを充填すると、分級ローターの回転によって生じる遠心力によって分級羽の間から粒子が外側に出て行きます。吸引口からスラリーを吸引すると、スラリーの中の粒子は吸引口から吸い取られます。
分級ローターを回転させながら吸引を行うと、粒子には遠心力によって外側に出ようとする力と、吸引によって円盤の中央に引き寄せられる力の両方が働きます。遠心力は同じ速度で円運動をしている粒子の間では、質量が大きな粒子により大きく加わります。また、質量は (体積) × (密度) なので、密度が同じ粒子間ではより体積の大きな粒子に大きな遠心力がかかります。
このように、分級ローターの回転速度と、吸引力を緻密に制御することで、ある大きさよりも大きな粒子を分級ローターの外側にはじき出したり、ある大きさよりも小さな粒子を吸引口から吸い出すことが可能です。分級された粒子は、ターゲットとする粒径に緻密に揃っているのではなく、通常は許容される範囲でバラついた大きさに分布しています。
さらに分級機は粉砕機と連結して使用することが多く、粒径が大きすぎるとして振るい分けで落とされた粒子は、粉砕機に戻されて原料として再利用されます。
分級機の選び方
分級機は粉体を分級する方法が、原理的に異なるものが何種類もあります。これは分級する粒体の性質が様々に異なり、どの方法が最も優れていると一概には決められないことが要因です。
分級機を選択する際はまず乾式か湿式かを考えます。工業的には乾式の方が多く使われていますが、分級対象がスラリー中の粒子である場合は、湿式を選択します。医薬品のように粒体が水に溶けてしまう場合には乾式を選択します。
乾式分流機には重力分級機、完成分級機、遠心力分級機などの方式による違いがあります。同じように湿式分級機にも重力分級機と遠心力分流機など、方法による違いがあります。
それぞれの分級方法によって、精度、スループット、設置コスト、運転コスト、使用環境などに違いが出てきます。これらの違いによって分級方式を決定し、その方式を採用する装置を比較検討することが大切です。