騒音計とは
騒音計は環境騒音や機械が発する騒音を測定する装置です。
サウンドレベルメータとも呼ばれます。騒音測定では単純な音量測定ではなく、人がどのように聞こえるかを考慮することが必要です。そのため、大きく聞こえる音や不快音の音圧を重みづけして算出した『騒音レベル』を用いて騒音の度合いを測定します。
騒音の測定精度に応じて、普通騒音計と精密騒音計の2種類があります。
騒音計の使用用途
騒音計は、主に産業用途で使用されます。
建設現場や工場での機械騒音を測定するために使用されます。騒音の許容限度は法律で定められており、建設工事時や新規機械導入時は騒音基準を満たすかの確認が必要です。
また、住宅を建設する際には、住宅内部の騒音レベルを基準値以下にしなければなりません。したがって、建設前に周辺道路や電車などから発する騒音の測定を行う際に騒音計が使用されます。
騒音計の原理
騒音計の構成は、マイクロホン、増幅アンプ、周波数重み付け部、騒音レベル演算部、表示部などです。騒音計の原理は以下の3ステップに分けられます。
1. 測定対象場所における収音
マイクロホンの役割は周辺の音を拾い、それを電気信号に変換することです。マイクロホンには振動膜が使用され、振動膜の振動周期によって周波数を測定し振動幅によって音圧を測定します。その後、マイクロホンから発生した電気信号を増幅アンプで増幅させます。
マイクロホンの測定精度によって普通騒音計と精密騒音計の2種類に分類されます。
2. 周波数重み付け
周波数重み付け部で増幅された電気信号の周波数は、人が聞き取りやすい周波数に応じて重み付けされます。
3. 騒音レベルの演算
騒音レベル演算部の役割は、重み付けされた周波数と音圧を使用して騒音レベルを演算することです。演算時は、等ラウドネス曲線を利用して算出されます。
騒音計の選び方
騒音計は数千円~数十万円まで、幅広い価格帯で多種多様な製品が販売されています。使用する際は用途応じた選定が必要です。
1. 精密騒音計の選定
大学の研究や音響機器の評価・開発など、信頼性の高いデータが必要な場合には精密騒音計を選定します。
精密騒音計は、計量法またはJIS規格に準じた仕様で製造されているため、裁判所などの公的機関でも使用できるデータを取得できます。測定精度は0.7dB以内、周波数帯は20~12500Hzで測定が可能です。
非常に高性能な精密騒音計ですが、その分価格は約20万円と高額です。
2. 普通騒音計の選定
公的機関に提出するほどの精度は要求しないものの、工場や住宅の環境騒音をしっかり測定したい場合には普通騒音計が適しています。
普通騒音計も計量法またはJIS規格に適合しており、1.5dB以内の測定精度と20~8000Hzの周波数帯で測定ができます。価格は10万円程度の製品が多いようです。
3. 簡易騒音計の選定
騒音レベルを目安として確認したい場合は簡易騒音計が最適です。
精度や周波数帯など性能の面では前者に劣りますが、価格は数千円台から購入でき、誰でも手軽に騒音測定ができます。
4. 周波数特性の選定
騒音計を選ぶ際は周波数特性への考慮も必要です。周波数特性には「A特性」と「C特性」の2種類があります。
「A特性」は人間の聴覚感度に合わせてを周波数を重み付けします。生活騒音などを測定するのに適しています。基本的にはどの製品もA特性を基準としていることがほとんどです。
どの周波数帯でも感知しやすいのが「C特性」です。モーターの駆動音などを正確に測定したい場合は、周波数特性の影響を受けにくいC特性の製品を選定します。
騒音計のその他情報
騒音計の使い方
騒音計を使う際に最も注意すべきことは反射音の影響です。音は物体にぶつかると反射する特性があるため、測定時はなるべく壁等から離れた位置に騒音計を設置します。できれば3.5m以上離すのが理想です。
また、騒音計は三脚等で固定し、マイクロフォンを対象音源に向けて設置します。測定者が騒音計を持って測定する場合は、体からの反射音を拾わないようになるべく体から離して測定します。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/souonseigyo1977/2/6/2_6_3/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/55/5/55_KJ00001457189/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/67/12/67_KJ00007695287/_pdf/-char/ja