三次元測定機とは
三次元測定機とは、部品のさまざまな形状情報を三次元の位置情報として捉え、立体的に把握することができる測定機です。
部品の形状を互いに直行するX軸、Y 軸、Z軸について、ある基準点の位置からの距離で表すことで、立体的に測定します。例えば、金型の隅R形状といったノギス等では測れない形状でも測定可能です。
寸法以外にも三次元の位置情報をソフトウェアで解析することによって、異なる部位の位置関係や、輪郭形状、幾何公差を求められます。測定によって形状を三次元情報としてデジタル化すれば、後処理で様々な解析をすることができます。
三次元測定機による測定は一般的に、精密測定の範疇に属します。精密測定では温度の膨張による誤差を避けるため、一定の温度に管理された部屋で行われます。一般的には20℃に管理されている場合が多いです。
測定する製品も、十分に長い時間をかけて測定温度にする必要があります。三次元おいて正しい結果を得るためには、専門的な技術が要求されることもあります。
三次元測定機の使用用途
三次元測定機は主に、自動車部品等の形状測定に使用されています。さらに製品だけでなく、製品を作るための金型の寸法測定にも使用されています。
三次元測定機は、3DCAD等で設計された形状と、実際製作された部品を三次元測定機で計測した形状とを比較することによって、設計図面通りにできているか確認することも可能です。この調査方法は、リバースエンジニアリングと呼ばれています。他にも、図面がない他社製品等の部品形状を、三次元モデルとしてデジタルデータ化することもできます。
単純な長さだけでなく、角度や幾何公差を求めることも可能です。さらに丸く加工されている隅R形状など、ノギスやマイクロメータなどでは測れない形状の測定にも、三次元測定機が活躍します。
従来は接触型の三次元測定機が主流でしたが、近年は非接触型が多く開発されています。接触式は測定精度と信頼性が高い反面、高度な技術が必要であったり幾つかの制約がありました。この点については下記で解説します。
三次元測定機の原理
三次元測定機には、「接触型」と「非接触型」がありますが、それぞれ原理が大きく異なります。
1. 接触型三次元測定機
接触型三次元測定機では、スタイラスと呼ばれる測定子を直接測定対象に接触させて、点の座標位置情報を記録します。長く用いられてきた方法であり、正しい作業をすれば信頼性の高い測定が可能です。スタイラスには温度による熱膨張がほとんどない、セラミックやルビーなどが使用されています。
スタイラスを接触させるため、測定対象物がゴムなどの柔らかい製品の場合には、接触力で変形を生じることがあります。接触を伴うので、接触面に傷をつける可能性もあります。また、スタイラスの先端径より小さなR形状については、正しく測定することはできません。
2. 非接触型三次元測定機
非接触型三次元測定機は大まかに言うと、測定対象物にレーザーなどを当てることによって、測定物の三次元座形状を記録します。非接触型なので測定部が傷つくことはありません。また、短時間で測定できるため、近年需要が伸びてきています。
接触式では測定ポイントを一つずつ、スタイラスを接触させて三次元の位置情報を記録していくため、測定時間が長いことが欠点の一つでした。一般的には、接触型の測定の方が非接触式の測定よりも精度や信頼性が高いと言われています。
しかし、技術の進歩により、非接触型でも接触型と変わらないくらいの精度や信頼性が確保できるようになりつつあります。比較的高度な技術を必要とした接触式に比べ、非接触式は熟練を要することなく測定することが可能です。測定の目的に応じて使い分ける必要があります。
接触型、非接触型ともに高度な画像処理技術が用いられることによって、様々な解析ができるようになりました。解析結果の表示も、立体的なモデルなどで視覚的に理解しやすい出力が可能になっています。
三次元測定機のその他情報
1. 三次元測定機のメリット
三次元測定機のメリットは、ノギスやマイクロメータといった計測器では測れない複雑な形状や輪郭、幾何公差を測定できることです。大型の部品でも測定できます。特に接触式の場合は取り扱いに習熟が必要ですが、プログラム測定により夜間に自動測定させておくことも可能です。
2. 三次元測定機のデメリット
三次元測定機のデメリットは、装置が大型で広い設置スペースが必要なこと、他の測定器と比較すると扱いに技術が必要になることです。非接触式は比較的扱いやすい反面、測定物が鏡面であったり、メッキなどの光沢があったりすると、測定できないこともあります。また、装置の価格がかなり高額になることも、導入の際には考慮しなければなりません。
参考文献