POEスイッチとは
POEスイッチとは、ネットワーク接続だけでなく、接続デバイスへの電力供給も可能なデバイスです。
Power over Ethernet (POE) は、ネットワークケーブル (通常はカテゴリ5以上のEthernetケーブル) を通じて電力を供給するテクノロジーを指します。POEスイッチニより、電源供給の難しい場所にあるデバイスや電源ケーブルを引きたくないデバイスの設置が可能になります。
例えば、天井に取り付けられた無線LANアクセスポイントや監視カメラなどです。POEスイッチの利点は大きく、電源配線の必要性を軽減し、インストールの柔軟性を向上させ、電源の可用性を高めることが挙げられます。そのため、ビジネス環境や大規模なネットワークインフラでの利用に適しています。
POEスイッチの使用用途
POEスイッチは、IP電話、ワイヤレスアクセスポイント、ネットワークカメラなど、POE対応機器と組み合わせて使用します。ケーブル配線が制約となる環境下では、特にメリットを享受できます。
1. オフィス内のIP電話導入
オフィス内に複数のIP電話を導入する場合、PoEスイッチとIP電話を組み合わせれば、電話機ごとに電源配線する手間が省けます。
2. ホテルやオフィスビルでのワイヤレスアクセスポイント設置
広いエリアでワイヤレス環境を提供する場合、PoEスイッチとアクセスポイントで柔軟なネットワーク設計が可能です。
3. 店舗や工場での監視カメラ設置
PoEスイッチとネットワークカメラを活用すれば、配線コストと設置工数を大幅に削減できます。
4. IoTデバイス
IoTデバイスは常に電源とネットワーク接続を必要とします。そのため、POEスイッチはスマートビルディングや自動化システムの中心的な役割を果たすことができます。
POEスイッチの原理
イーサネットケーブルには8本の信号線がありますが、そのうち4組の信号線をデータ通信用に、残りの4組の信号線を直流電力供給用に使用します。POEスイッチは、電力を供給するポートでは、送受信の信号線に加えて電力供給用の信号線に直流電圧を重畳させます。
一方、POE対応機器側では、通信用の信号と電力用の信号を分離し、電力用信号線から電力を取り出して利用するのが基本です。IEEE802.3af/at/btなどの規格により、供給電力や重畳方法、機器の検出制御などの仕様が標準化されています。POEスイッチと端末はこの規格の準拠により、相互接続性を確保しています。
このようにPOEスイッチは、データと電力を1本のLANケーブルで同時供給できるため、配線と設置工数の削減を実現可能です。ネットワーク機器の配備の自由度が向上する技術といえます。
POEスイッチの種類
POEスイッチは、特定の機器に電力を供給する能力を持つネットワークスイッチの1種です。その方法によって、主に、アクティブPOEとパッシブPOEに分けられます。
1. アクティブPOEスイッチ
アクティブPOEは、機器がPOEに対応しているかどうかを自動的に検出し、対応している場合にのみ電力を供給します。このタイプのPOEはIEEE 802.3af/at規格に準拠しており、デバイスが必要とする電力を自動的に調整します。
アクティブPOEは最大で30W (POE+規格の場合) の電力の供給が可能で、一般的なスイッチとして広く使用されています。
2. パッシブPOEスイッチ
パッシブPOEは、自動的な機器検出や電力調整機能はありません。パッシブPOEスイッチは常に特定の電圧 (通常は24Vまたは48V) を供給します。これは対応するデバイスに対してのみの使用が推奨されます。対応していないデバイスに電力を供給すると、デバイスが損傷する可能性があるからです。
これら2つは、それぞれの状況やニーズに対応するために使用されます。アクティブPOEは、さまざまなPOE対応デバイスをサポートし、自動的に電力供給を管理するので、より柔軟性と安全性が求められる場合に適しています。
一方、パッシブPOEは、特定の設定やデバイスに対して低コストで効率的な電力供給を提供する際に使用されます。ただし、使用するデバイスの互換性を事前に確認が重要です。
参考文献
https://www.jp.netgear.com/business/solutions/feature/PoE/