防爆掃除機とは
防爆掃除機 (英: explosion proof vacuum cleaner) とは、防爆仕様の掃除機です。
特定のガスや蒸気の発火を防止し、可燃雰囲気が周囲にあっても着火しないような外面温度で動作する産業用掃除機です。米国国家認証試験機関NRTLなどの認定を受けることにより、爆発防止装置とみなされます。
空気と反応して着火する温度帯を避けて作動できるため、作業時の混合物の爆発や発火の防止が可能です。掃除機の方式には、乾式・湿式・電気式・空気式などの種類があります。使用する場所や吸引したい容量に合わせて、掃除機を選択します。
防爆掃除機の使用用途
防爆掃除機は、使用される分野が幅広く、自動車産業、航空宇宙、燃料分野、化学、製薬、軍事、食品など、多岐にわたって利用されます。可燃性の物質は一定の濃度を超えた状態で空気と触れると爆発する可能性があり、取り扱いに注意が必要です。
可燃性物質には、穀物・小麦粉・でんぷん・動物の飼料、軽金属・石炭・繊維製品などがあります。金属の粉塵などは、自動車や航空業界などの部品の加工時などに発生するため、防爆掃除機は安全に回収することを目的に使用されます。
防爆掃除機は、アルミやマグネシウムなどの発火性金属粉塵を回収・中和するする目的でも用いられます。
防爆掃除機の原理
防爆掃除機は、冷却しながら吸引することで発熱することを防ぎ、爆発の原因となる温度の上昇を抑えます。そして、吸引時に真空状態にすることにより、空気と対象物が接触することを防止し、フィルターに導電性の高いステンレスなどを用いることで帯電を防ぎます。
さらに、逆止弁をつけることで、吸引した可燃性物質の逆流を無くすなどの工夫を施し、爆発する可能性を限りなく最小限にすることが可能です。有害微粉塵回収用、クリーンルーム、製薬工場などで使用する掃除機は、高性能微粒子エアフィルターHEPAなどを使用して、粒径0.3µm程度の微粒子を捕捉します。
移動用のキャスターは、静電防止型を使用します。アメリカのIEC規格、全米防火協会NFPA規格、米国国家認証試験機関NRTL、欧州のATEX指令などが認定した防爆掃除機もあり、定められた危険区域での使用が可能です。
防爆掃除機の種類
防爆掃除機は、乾式・湿式・乾湿両用などがあります。また、駆動方式で分ける場合は、空気式・電気式の2種類です。
吸引方式は、真空式・サイクロン式・エジェクタ式などが使われ、中には粉塵専用の掃除機もあります。
1. 乾式防爆掃除機
乾式防爆掃除機は、吸引したい物質に水分がないものが吸引可能です。爆発性雰囲気内での粉塵回収だけでなく、金属粉や花火薬などの可燃性紛体の回収が可能なタイプもあります。
2. 湿式防爆掃除機
湿式防爆掃除機は、吸引する対象物に水分や液体が含まれる場合に使用できるタイプです。サイクロンセパレータなどで、水分・油を分離して吸引ができます。
粘性があるものや、力が加わると塊状になるものには使えません。ほとんどの製品は、クリーンルームや製薬工場でも使用可能です。
3. 乾湿両用式掃除機
乾湿両用式掃除機は、乾式と湿式のどちらにも使用できる方式です。吸引したい対象物の状態に関わらず同時に吸引できるタイプと、吸引したい対象物の状態によって選択してから使用するタイプがあります。
4. 駆動方式
防爆掃除機の駆動方式は、空気式と電気式があります。
空気式
空気式は電気を使わないので、火花などの発生が無く、電源のないところや防爆地域で使用できます。エジェクタ・ベンチュリ・空気タービンなどを使って真空を得る方式です。
汚れた際に、丸洗いできることがメリットです。航空機燃料が回収可能な専用のタイプもあります。
電気式
電気式は100V電源のものが多く、手軽に使用が可能です。連続運転が可能なモーターを使用しています。モーター部分は分離式で、収納部分を容易に洗浄できます。
参考文献
https://www.webshiro.com/cleaner_sc/explotionprevention-creaner.html
https://www.nilfisk.com/jp-jp/
http://www.daitra.co.jp/cleanroom/vacuum/air-tiger