深絞り包装機

深絞り包装機とは

深絞り包装機とは、食品や医療品などを衛生的に保存できる真空包装を行うための装置のことです。

プラスチックのシートを包装対象に合わせて成形し、対象物を置いた後、上からシートをかぶせます。内部を真空状態にし、熱処理によってシートを接合することで、密封された状態での包装が可能です。

包装方法の特徴は、内部が真空になっているため、菌の繁殖を抑制し、商品の衛生的な保存ができる点です。消費者に安心して商品を提供できます。また、プラスチックシートを使うことで、包装対象にフィットするため、見栄えも良くなります。

深絞り包装機は、食品業界や医療品業界で幅広く活用されており、品質管理や衛生面での信頼性が高い装置です。

深絞り包装機の使用用途

深絞り包装機の使用用途は、食品工場や医療機器製造工場で多岐にわたります。

1. 食品工場

食品工場では、ハムやソーセージ、生の魚介類など、保存性が低い食品や空気に触れると味が劣化する食品の包装に活用されています。そのため、食品の鮮度や品質を維持し、消費者に安心して提供することが可能です。

2. 医療機器製造工場

医療機器製造工場では、衛生的な輸送が求められる医療用機器の包装に使用されます。工場内のクリーンな環境で包装された機器は、医療現場まで衛生的に輸送されることが保証されます。

 

深絞り包装機を選定する際には、いくつかの要素を考慮する必要があります。具体的には、包装の精度とスピードが挙げられます。高精度で迅速な包装ができる機器を選ぶことで、生産効率が向上します。

また、装置の機能の柔軟性も重要で、さまざまな形状やサイズの商品に対応できる機器が望ましいです。メンテナンス性を考慮すると、維持管理が楽になります。

深絞り包装機の原理

深絞り包装機は、土台のプラスチックシート供給部、成形部、包装対象挿入部、シート供給部、真空熱処理部、切断部で構成されており、これらの連携によって効率的な真空包装が実現可能です。

まず、ローラー状に巻取られた土台のプラスチックシートが供給部から送り出されます。次に、成形部で包装対象に適した形状にシートが成形され、その後包装対象が挿入部で成形後のシート上に配置され、真空熱処理部へと進みます。

真空熱処理部では、上側からプラスチックシートが供給され、包装対象に被せて内部の空気を抜きながら、熱を用いてシートの四隅を接着させ、密封することが可能です。接着包装後のシートは、切断部で適切な大きさに切り分けられます。

切断部と真空熱処理部の間には、プラスチックシートの巻取り部があり、最適なタイミングで巻取りが行われることで、包装ラインのスムーズな移動できます。また、真空熱処理部の後には、賞味期限や製造年月日などを印字するための装置が設置されている場合も多いです。

深絞り包装機のその他情報

深絞り包装機のメリット

食品の鮮度を保てる
深絞り包装は真空包装が可能なため、製品中の酸素を遮断することで食品の鮮度を通常より長期的に保持することが可能です。食品は空気に触れることで酸化が進み劣化します。

美味しさは損なわれ、異臭や変色を招きます。また、酸素の存在下ではカビや菌が繁殖しやすく、食中毒の原因になるので注意が必要です。賞味期限を長く保つためには、保存温度とともに酸素の遮断が重要な役割を果たします。

食材に調味液が浸透しやすい
食材と調味料を真空包装し加熱する真空調理は、低温かつ短時間で均一に調味液を内部まで浸透させることが可能です。空気は熱伝導率が悪いため、製品中に空気が含まれていると食材に熱が伝わりにくく、結果的に高温加熱によるパサつきや煮崩れを引き起こします。

真空状態にすることで熱が伝わりやすくなる上に食材組織の浸透圧が高まり、少量の調味液でも味が染み込みやわらかくジューシーに仕上げることが可能です。

製造現場でライン化しやすい
深絞り包装機は食品工場や医療品工場などにおいて製造ラインに組み込みやすく、人手を減らしコストの削減が可能です。チャンバー式などの真空包装機の場合は、袋詰め・真空包装・運搬といった工程が発生します。

一方、深絞り包装機は金型に合わせてフィルムが成形されます。さらに、包装後の製品は自動で排出されるため、基本的には型への製品投入以外の工程を無人化することが可能です。

2. 深絞り包装に適したフィルム

フィルムは、ボトム材 (底材) とトップ材 (フタ材) の2種類です。

ボトム材
金型に合わせて成形されるため、柔軟性やヒートシール性に優れた無延伸フィルムが適しています。

トップ材
ハリと耐久性に優れ印刷にも適した延伸フィルム、あるいはボトム材と同様に無延伸フィルムが使用されます。

 

製造過程において、フィルムが縦や横方向に引き伸ばされてできたものが延伸フィルムです。延伸フィルムと無延伸フィルムでは分子の配列が変化するため、柔軟性や耐久性、透明性といったフィルムとしての特性が大きく異なります。

参考文献
https://www.tokyofoods.co.jp/products/food/deepdrawing/tabid/74/Default.aspx
https://www.mechanize-wp.com/
https://www.nasco-japan.com/show_case/post.html
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030253824.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajscs/19/0/19_0_101/_article/-char/ja/
https://www.kurilon.co.jp/usefulguide/detail/?id=16
https://www.m-chemical.co.jp/products/departments/mcc/food-packaging/product/1200453_7250.html
http://www.pp-film.jp/knowledge.html

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