ベローズポンプとは
ベローズポンプとは、蛇腹のような形状を持つ伸縮性のある部品で、ベローズを活用するポンプです。
ベローズの体積の変化により流体を排出し、輸送します。軸等が不要で、液体の漏出リスクが少ないのが特徴です。
また、鉄が液体に接触しないので、種類によっては危険な化学物質も扱えます。小型で微調整可能なものから、流量30L/minに対応する大型のものまで、幅広い種類が存在します。
ベローズポンプの使用用途
ベローズポンプは、危険な薬品や金属に接すると金属を腐食させる様な薬品、粘度が高い液体、飲料などの輸送に使用されます。具体的には、半導体の製造工程や薬品工場、食品の加工工場、プリント基板などの精密機器の製造工場など、使用分野は幅広いです。
ベローズポンプの選定する際は、輸送する液体にポンプの内部が適しているかどうか、ポンプの輸送量、サイズ、消費電力、停止信号などへの感度、メンテナンス性などを考慮する必要があります。
ベローズポンプの原理
ベローズポンプは、吸引口と排出口が付いた容器にベローズが接続されています。ベローズ内部には圧力容器が配置され、コンプレッサーによって圧力が増加する仕組みです。吸引口と排出口には、バルブが取り付けられています。
1つのベローズが接続されているポンプも存在しますが、2つのベローズが接続されたモデルもあり、大量の液体の輸送が可能です。吸引過程では、ポンプ内部の圧縮空気が外部へ排出され、これによりベローズが収縮します。このとき、吸引口のバルブが開き、流体が容器内に流れ込みます。
排出過程では、圧力容器から圧縮空気がベローズに供給されて吸引口のバルブが閉じ、排出口のバルブが開き、ベローズが膨張するという原理です。これにより、流体が排出口から押し出されます。これらの動作を高速で繰り返すことで、安定した流量の供給が可能になります。
ベローズポンプの種類
ベローズポンプはその動作方式、ベローズの素材、接続方式、用途によって様々な種類が存在します。
1. 動作方式による分類
動作方式に関しては、ベローズの動きを利用して液体を吸引し、排出する方式と、ベローズの動きによる圧力変化を利用して液体を移動させる方式があります。
排出する方式は比較的シンプルな構造で、圧力変化による移動方式はより高度な制御が可能ですが、装置自体が複雑になる傾向があります。
2. 素材による分類
ベローズの素材に関しては、金属製のベローズと非金属製のベローズがあります。金属製のベローズは高温や高圧に対する耐性があり、耐久性に優れています。
一方、非金属製のベローズは、特定の化学物質に対する耐性や、柔軟性が求められる場合に使用されます。
3. 接続方式による分類
ベローズの接続方式に関しては、単一ベローズ式と複数ベローズ式があります。単一ベローズ式は1つのベローズを使用して液体を吸引・排出します。
一方、複数ベローズ式では、複数のベローズが連携して動作し、より大量の液体を高速に輸送することが可能です。
4. 用途による分類
用途による種類としては、一般的な流体輸送用から、特定の条件下での液体輸送 (例えば、危険な薬品輸送や、高温・高圧下での液体輸送など) 用まで、多種多様なモデルがあります。
これらの種類は、それぞれ特定の用途に適した設計がなされており、その用途に応じて適切なベローズポンプを選択することが求められます。
ベローズポンプの選び方
ベローズポンプを選ぶ際は、以下の点を考慮する必要があります。
1. 使用目的
「何をどのように輸送するのか」「どの程度の量を輸送する必要があるのか」「特定の化学物質や温度に対する耐性が必要なのか」を理解することが重要です。
2. 寿命・メンテナンス性
一部のベローズポンプは長寿命で、頻繁に交換する必要がありません。しかし、中には定期的な交換が必要となる製品も存在します。
3. コスト
ベローズポンプのコストも重要な要素です。初期費用だけでなく、長期的な運用コスト (電力消費、メンテナンス費用等) も考慮する必要があります。