抵抗アレイ

抵抗アレイとは

抵抗アレイとは、電子回路やセンサーなどで使用される抵抗器の1種です。

アレイは複数の要素が規則的に配置された集合体を指しますが、抵抗アレイは複数の抵抗器が一枚の基板上に並べて配置されています。基板上に複数の抵抗器が配置されているため実装密度が高く、部品配置の効率化やコストの低減に有効的です。

また、ある種の抵抗アレイはネットワーク抵抗器と呼ぶこともあります。各抵抗器の片側をネットワーク回路の信号ラインに接続し、他方はコモン端子として全抵抗器共通のラインに接続したものです。

この共通のラインには信号のハイレベルとなる電圧が加えられ、いわゆるプルアップ抵抗器として機能します。

抵抗アレイの使用用途

抵抗アレイは、電流や電圧の制御や分岐、測定などの機能を果たすために様々な電子回路上で使われています。以下に例を挙げます。

1. 抵抗分割器

アナログ-デジタル変換やデジタル-アナログ変換回路で抵抗分割器として利用されることがあります。

2. センサーアレイ

例えば、温度センサーアレイとして、異なる温度領域を検出することが可能です。

3. プルアップ抵抗器

ネットワーク抵抗器は、CPUとメモリ間のアドレスバスやデータバス上において、プルアップ抵抗器として使用されます。

抵抗アレイの原理

抵抗アレイの原理は、複数の抵抗器が1つの基板上に配置され、それぞれの抵抗器が互いに電気的に接続されていることに基づいています。

1. 一般的な抵抗アレイ

一般的な抵抗アレイは、直列に接続された複数の抵抗器から構成されています。電流が抵抗アレイに流れると、電流はそれぞれの抵抗器を通過し、各抵抗器において電圧降下が生じます。

抵抗アレイの両端に加えられる電圧に対して、各抵抗器の抵抗値に応じた電圧降下が発生するため、電圧を分割する役割を果たします。

2. センサーアレイ

センサーアレイとして使用される場合には、抵抗アレイの個々の抵抗器として何らかの物理量 (例えば温度や圧力) の差異により抵抗値が微妙に変化するものを採用します。抵抗値のデータを外部機器に提供することにより、抵抗アレイがセンサーとして機能するものです。

3. プルアップ抵抗

CPUとメモリ間におけるアドレスバスやデータバスでは、双方向でデータの入出力が行われます。CPUからメモリに対して、アドレスを指定してデータを書き込むもしくはデータを読み出すため、CPU/メモリ双方のアドレスおよびデータの入出力回路は、アドレス長分並びにデータ長分が必要です。

さらに、これらの入出力回路は異なる信号電圧に対応するため、オープンドレイン出力構成となります。従って、外部から各ラインの電位を固定するためのプルアップ処理を行う必要があります。この様な用途において、同一のパッケージに納まっているネットワーク抵抗器は、実装スペースの面で非常に優れたものです。

抵抗アレイの構造

抵抗アレイは、複数の抵抗器が基板上に配置され、それぞれの抵抗器が電気的に接続されています。

1. 基板

抵抗アレイは、1枚の小型基板上に配置されます。基板は通常絶縁材料 (例えばセラミック) が用いられ、抵抗器を保持する役割を担います。

2. 抵抗器

抵抗アレイには、複数の抵抗器が含まれています。これらの抵抗器は一般的に薄膜抵抗器と呼ばれ、金属膜 (例えばニッケルクロム合金) を基板上に形成したものです。

抵抗器の抵抗値は、金属膜の厚さや長さなどのパラメータにより設計段階で決定されます。なお、独立した抵抗器を基板上に配置する場合もあります。

3. 電極

抵抗アレイ上の各抵抗器には各々電極が設けられていて、抵抗器の両端に配置されます。これらの電極は、基板上の配線パターンによって、抵抗器同士の接続のために使われるものです。

4. パッケージング

抵抗アレイは、素子の保護や取り扱いを容易にするためにパッケージングされています。一般的なパッケージング形態には、チップ抵抗器パッケージ (SMDパッケージ) やデュアルイラインパッケージ (DIPパッケージ) などがあります。

参考文献
https://jp.rs-online.com/web/c/passive-components/fixed-resistors/resistor-networks-resistor-arrays/
https://akizukidenshi.com/
https://www.koaglobal.com/product/category/smd_resistor

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