吸音パネル

吸音パネルとは

吸音パネル

 

吸音パネルとは、室内においてクリアな音楽を楽しんだり、会話の際に相手の声が聞き取りやすくすることを目的として、壁などに設置されるパネルです。

音は空気の振動として空間に伝わりますが、室内では壁で振動した空気が跳ね返り、再び室内に伝わります。壁で反射して再び伝わってきた音は、ノイズや不快な音となり、本来の音の邪魔をしてしまいます。吸音パネルは、壁で発生する音の跳ね返りを低減させることにより、室内の音響環境を改善できるものです。

また、音響をコントロールして空間を設計することで、音を扱うスタジオやシアターなどで活用したり、会議室や学習環境で集中力を高めたり、病院で患者のプライバシーを保護したりするなど、様々な副次効果も期待できます。

吸音パネルの使用用途

吸音パネルは音楽スタジオ、ホールやシアターといった、音楽を楽しむ場所で使われています。音楽を楽しむ室内の壁で音の跳ね返りが発生すると、楽器などが発している本来聴きたい音を、跳ね返った音が邪魔してしまうためです。室内に設置された吸音パネルは、壁で音を吸収することにより、跳ね返る音を減らして楽器などから発生する本来の音を邪魔しないようにしてくれます。

音楽に関連する部屋だけでなく、オフィスや会議室、打ち合わせエリアなどでも使われます。多くの人が働くオフィスでは、様々な会話やOA機器の動作音が室内を飛び交っています。会議室や打ち合わせエリアなど、重要な会話が行われる場所では、吸音パネルを設置することで相手の声を聴き取りやすくなります。

また、病院や学校などでも、医師と患者さん、先生と生徒、学生とのコミュニケーションの場においても同じです。その他、余計な音が少なくなることによって、学習効果の向上や患者さんのプライバシー保護にも繋げることができます。

工場などの生産現場では、大きな音が連続して発生するような場所に吸音パネルを設置すると、労働環境の改善にも貢献できます。

吸音パネルの原理

振動した空気がパネル内に音として入り込んでくると、パネルの柔らかい素材との摩擦により、空気の振動が小さくなります。この摩擦による振動の低減効果により、本来ならば壁で跳ね返って再び室内に伝わってしまう音の量を低減させることが可能です。

吸音パネルの中には表面が細かい凹凸状になったものがあります。これは表面積を増やすことによって、吸収する空気の量を増やす効果を狙っています。また、細かい穴や細かい繊維状のものは、小さな空間の中で音を拡散させて吸収する効果があります。

吸音パネルは、吸音素材や層の作り方によって、吸収しやすい周波数が変化する点に注意が必要です。吸音パネルで吸収したい音を明確にした上で、低減効果が大きい吸音パネルを選択することが大切です。

吸音パネルのその他情報

遮音や防音との違い

吸音以外にも遮音や防音といった言葉があります。言葉は似ていても、意味は異なります。

遮音とは
遮音とは、空気の振動を遮断して伝えないようにすることです。振動を抑えるために、密度が高く重たいものを使います。具体的には鉄板やコンクリート、石膏ボードなどが挙げられます。

防音とは
防音とは、外から侵入してくる音を防いだり、室内から外部に音が漏れたりしないようにすることです。具体的には、吸音と遮音を合わせたものを指します。吸音や遮音のように具体的な効果を占めるものではなく、音の侵入や漏れを抑えるという概念を指しています。

効果的に防音を行うには、ここでご紹介した吸音と、重たいものを使った遮音を組み合わせることが大切です。

参考文献
https://www.daiken.jp/public/products/off_tone/
https://www.acoustic-advance.co.jp/sound/sound_absorptive_panel.html
https://www.sonorize.jp/kyuuon-panel

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