プレートリーダとは
プレートリーダー (マイクロプレートリーダー) とは、マイクロプレートに注入した複数サンプルの吸光度または発光強度を同時に測定できる装置です。
サンプル数はマイクロプレートのウェル数にもよりますが、一般的には数十以上のサンプルを同時に測定できるため、作業効率を大幅に向上させることが可能になります。化学や生物学の研究に使用されますが、中でもタンパク質の定量によく利用されます。
作業効率の向上が期待できる反面、微小量の測定になるため誤差が発生しやすく、特徴を把握して用いることが重要です。
プレートリーダの使用用途
プレートリーダーは、化学や生物学の分野でタンパク質の定量や細胞増殖の指標とする紫外・可視光領域の吸光度の測定や、発光反応、あるいは蛍光を利用した濃度測定で使用される装置です。
以前は多くの実験において放射性物質を用いて濃度測定を行うことが広範に行われていましたが、近年発光反応の基質や蛍光プローブの研究が進展したことで、実験方法の置き替わりが生じています。このような実験方法の変化により、現在では放射性物質を使用することなく、安全に濃度測定をすることが可能です。
プレートリーダーは、主として一度に多くのサンプルを扱う際に利用され、作業効率の向上と研究者の負担軽減に寄与します。また、吸光度測定には前処理を必要とする場合や、吸光度の時間変化を追跡することが必要となる場合があります。しかし、多くのプレートリーダーでマイクロプレート中で反応を行い、一定時間後に測定することや時間経過とともに測定することが可能です。
プレートリーダの原理
プレートリーダーは吸光度測定や蛍光測定などが可能であり、それぞれ測定の原理や特徴、注意点が異なるため2つに分けて説明します。いずれにおいても、単色 (単一の波長) の光を照射する必要があり、波長の選択には光学フィルターまたはモノクロメーターを用います。
1. 吸光度測定
マイクロプレート中のサンプルに任意の波長の光を照射し、その反対側でサンプルを透過した光の強度を測定することで吸光度を求めます。吸光度を求めることができれば、ランベルト・ベールの法則により吸光度は濃度に比例するため、濃度既知の検量線サンプルと比較することで濃度未知サンプルの濃度を決定することが可能です。
ただし、マイクロプレートに傷や汚れが付着している、サンプルに気泡が入るなどすると正しい吸光度が測定できなくなり、本来の値よりも大きくなることがあります。
2. 蛍光測定
マイクロプレート中のサンプルに特定の波長 (励起波長) の光を照射することで、サンプルから発せられる特定波長の蛍光の強度を測定します。これは特定の波長帯を吸収することで励起状態へと変化し、基底状態へ戻る際に、エネルギーを放出する蛍光物質の性質を利用しています。
このエネルギーは、熱と光として放出され、いずれも濃度に比例するため、光を検出することで定量が可能です。サンプル中の特定の化学物質自体が発する蛍光を検出しているため、高感度・高精度で測定できる特徴を持ちます。
プレートリーダの選び方
プレートリーダーは、マイクロプレートに収めたサンプルから光学的情報を読み取る装置の総称であるため、実施しようとする測定法 (可視・紫外吸光、発光、蛍光のいずれであるのか) に対応したものを選択することが大切です。まず測定原理に吸光・発光・蛍光の別があり、複数の測定原理を切り替え可能なマルチモードタイプと呼ばれるものもあります。
光源の波長範囲や設定できる測定波長についても、実現したい測定に適合しているかの観点で確認します。次に、装置と付属ソフトウエアで実現できる測定・解析方法にも注意が必要です。
酵素反応を追跡する場合、カイネティックモードが必要な場合があります。また、定量を高頻度に行う場合、解析ソフトウエアで実現したい定量が可能かという観点や、定量機能の操作性も重要となります。
参考文献
https://co-labo-maker.com/equipment/859
https://www.jove.com/v/5024?language=Japanese