グリーストラップとは
グリーストラップとは、飲食店や食品加工工場などから排出される油を分離する装置です。
油だけではなく、残飯や野菜くずも分離することが可能でグリストラップとも呼びます。
厨房からの排出物は水の中に大量の油が存在しており、そのまま下水に流すと下水管の詰まりや悪臭を引き起こします。更に悪化すると、環境汚染の原因にもなります。そのため、業務用の厨房を持つ飲食店では設置が義務付けられています。
グリーストラップは業種によって必要な大きさや形状が異なります。また、設置方法や定期的な清掃なども適切に行わなければならないため、専門業者によるメンテナンスが必要です。グリーストラップの正しい取り扱いは地球環境にも配慮する上で非常に重要なことです。
グリーストラップの使用用途
グリストラップは食用油を取り扱う業種では広く使用されます。以下はグリストラップの使用用途の一例です。
1. レストランやファーストフード店
レストランやファーストフード店などでは調理に使用される油脂や食品残渣が排出されるため、それらを捕捉することが必要です。グリーストラップによってこれらの油脂や食品残渣を捕捉することが可能です。
飲食店の中でも特にラーメン店などはスープに大量の油が含まれているため、排出物の問題が大きくなります。使われている油は冷えると固まる性質をもつため、配管を詰まらせる恐れもあります。容器の洗浄排水にも大量の油が含まれ、トラップでの分離が追いつかない場合もあります。
店によっては財団法人と手を組み、高性能なトラップ装置を導入しているところもあります。
2. 食品工場や加工施設
食品工場や加工施設などでは、油脂や食品残渣などの廃棄物が排出されます。精肉所などがその一例です。これらの廃棄物を排水管に流すことは環境汚染や下水処理施設のトラブルを引き起こすことがあるため、グリーストラップで油を抜き取ります。
3. 医療施設や獣医病院
医療施設や獣医病院では使い捨ての注射器や医療用具・獣医器具などが排出されます。これらの廃棄物は、下水処理施設で適切に処理されるために、グリーストラップの使用が必要です。
4. 公共施設や学校
公共施設や学校では、食堂やトイレなどから排出される油脂や固形物を捕捉するために、グリーストラップを設置することがあります。給食センターなどではグリーストラップの使用が必須です。
グリーストラップの原理
グリーストラップは、3つの槽から構成されます。
1. 第1槽
厨房からの排出物が最初に通る槽です。この槽には網目状のカゴが設置されています。カゴの中で残飯や野菜くずなど、比較的大きめのごみを取り除きます。汚泥など水よりも重い排出物も沈殿により除去されます。
2. 第2槽
中間槽で、この槽では油を分離し除去します。油は水より比重が小さいことを利用し、浮かんだ油を仕切りを使用して除去します。浮かんだ油を除去した処理は第3槽に運ばれます。
3. 第3槽
第2槽で油を除去していますが、一部は残った油を第3槽で除去します。この槽ではトラップ管を設置し、水だけを管に移動させるようにしています。トラップ管の入り口は液体の中間ぐらいに位置しており、軽くて浮いている油を侵入させない構造です。
グリーストラップの選び方
グリーストラップを選ぶ際には、容量や形状、素材の面から選定します。
まず、グリーストラップに必要な容量を選定します。使用する業種や施設の規模に合わせて適切な容量を選びます。容量が小さいと定期的な清掃の頻度が高くなって清掃コストが上がるため、適切な容量を選ぶことが大切です。
つぎに、設置場所に合わせて適切な形状のグリーストラップを選ぶ必要があります。ハンドシンクや洗浄機などと組み合わせて設置する場合は、壁掛け型が適しています。また、大型の飲食店や加工工場などでは、地下に埋め込んで設置するタンク型が使用されることもあります。
また、使用する素材も重要です。ステンレス鋼、ポリエチレン、FRPなどの素材から選ぶことができます。使用する業種や施設の状況に合わせて、適切な素材を選ぶ必要があります。
参考文献
https://www.kumamoto-waterworks.jp/waterworks_article/15720/
https://www.asahi-kasei.co.jp/saran/products/business/greasetrap/howto/
https://www.isgnet.jp/greasetrap/column/10/