散水チューブとは
散水チューブとは、等間隔に空いた小さい孔から水が出ることで農作物への水やりを行うホースです。
点滴チューブと比較すると、散水チューブは細かな水の粒子が平面的かつ広範囲に吹き出し、短時間で広範囲に散水できる特徴があります。
散水チューブの使用用途
散水チューブは、農作物への水やりを行うために使用します。大規模な施設で使用されることが多く、散水チューブは水やりの負担を軽減します。
近年では、IT技術を活用した遠隔操作やセンサーを用いた水分以外の温度データなども含めて、水やりの管理を行うことも多いです。
散水チューブの特徴
長所
1. 短時間で広範囲に散水できる
水やり作業を全て手作業で済ませるとなると、時間と労力が必要です。散水チューブは1度設置してしまえば、その後は水を通すだけで均一に散水することが可能です。特にビニールハウスや広範囲の圃場においては、散水チューブは農作業の効率化に大きな効果を発揮します。
2. 水やりの量をコントロールできる
それぞれの農作物に合った量の水を与えた結果、生育が良好になり、収穫量を安定させることが可能です。また、トマトなどの農作物においては、与える水の量をあえて制限することで、糖度を高める栽培方法にも役立ちます。
通常の水やりでは、水圧によって土壌に凹凸ができたり、土壌が跳ねて農作物に付着し病害の要因になったりする場合があります。散水チューブを用いて散水量を調整すれば、そのようなデメリットを回避することも可能です。
短所
露地で使用する場合は、風の影響に注意が必要です。特に風の強い日には、チューブから出た水の届く範囲がずれ、目的の場所へ散水できません。このような可能性がある日には、きちんと散水できているかどうか目視で確認することも必要です。
散水チューブの種類
1. 素材による分類
散水チューブの素材としては、ポリエチレン製やポリ塩化ビニルなどの樹脂製チューブが一般的です。また、硬質のチューブが使われる場合もあります。
2. 両端の構造による分類
散水チューブの両端の構造は製品によって異なるのが一般的です。水道に直接接続して使用するものやねじ式で製品同士を繋げて延長できるものなどがあります。
3. 設置場所による分類
散水チューブには、畝の間に設置するタイプやビニールハウスの天井に設置するタイプ、地中に埋め込んで使用するタイプなどがあります。
畝の間に設置するタイプは、ビニールハウス内でも露地でも幅広く利用されているのが特徴です。畝間から片側のみに散水する場合は片面孔タイプ、両側に散水する場合は両面タイプを選べば、用途に合った使い方ができます。
また、ビニールハウスの天井に設置するタイプであれば、ビニールハウス全体に水を行き渡らせることが可能です。細かい霧状の水を散水するタイプが一般的で、葉菜類や育苗期などにもよく用いられます。
また、ビニールハウス内の乾燥が気になる場合には、頭上にミストタイプの散水チューブを設置すれば、乾燥予防の効果が期待できます。
散水チューブの選び方
散水チューブを選ぶ際には、用途に合ったものを選ぶことが大切です。水源からの距離や、畝の長さによって散水チューブの長さを選ぶことはもちろん、場合によっては複数の散水チューブを連結させることでより効率よく利用できます。
また、比較的安価なものであれば手軽な反面、耐久性が弱く、日光が直接当たる場合などは劣化が早まる可能性もあります。使用場所の条件も考慮し、長期的な計画を立てたうえで製品を選ぶようにしてください。
散水チューブの使い方
ビニールハウス内や露地など、設置したい場所が決まったら、散水チューブを設置したい場所に並べ、ずれないようにピンなどで固定します。設置後、動力ポンプや水道など繋がったパイプやホースと散水チューブを接続することで、いつでも散水が可能です。
パイプやホースと直結させた場合、散水量の調整ができません。バルブやコックを間に挟むことで、散水量の調整が可能となります。