ネビジン

ネビジンとは

ネビジンとは、農薬の1種で農作物の病気を駆除するための土壌殺菌剤です。

主にジャガイモなどの根菜類に発生するそうか病やキャベツ・ブロッコリーなどのアブラナ科に発生する根こぶ病などの防除に使用されます。ネビジンの有効成分は、フルスルファミド0.30%です。

フルスルファミドとは、ベンゼンスルホンアニリド系の殺菌剤です。ネビジンの毒性は、毒物劇物取締法に基づく特定毒物・毒物・劇物の指定を受けない普通物であり、環境に優しいとされています。

適用する作物は、根こぶ病がキャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、及びカリフラワー、なばな類、カブ、ダイコンなどです。そのほか、そうか病やジャガイモ、ゴボウなどが挙げられます。

ネビジンの使用用途

ネビジンには、粉末や微粒剤、液体の形体があり、土壌の殺菌に使われます。ネビジン粉剤や微粒剤を使う場合は、散布した後、鍬、ホー、トラクターなどで耕うんして土と混ぜます。病原菌は土の表面部に多いので、混ぜ込む深さは10~15cm程度で十分です。

散布後は、日数をあけずに苗植えや種芋の植え付けを直ぐに実施することができます。ネビジンを使用する大きな目的は、登録のある適用作物のそうか病、根こぶ病の防除です。そうか病、根こぶ病とも土中に病原細菌が潜んでいるので、土壌の殺菌が必要になります。

1. そうか病

そうか病はジャガイモなどの根菜類に発生する病気で、特にジャガイモでの発生が多く確認されています。そうか病は土の中に生存する細菌 (放線菌) によって引き起こされます。高温乾燥の環境、アルカリ性よりの土壌では、より発生しやすいです。

症状は作物の表面がざらついたり、葉や果実に病斑が出たりします。さらに、株の生育が悪くなり、収穫量が減る傾向があります。また、ジャガイモの場合、そうか病と症状も似ている粉状そうか病という病気もあることに注意が必要です。

原生生物 (真核生物の総称) が病気の原因であり、多湿の環境で発生しやすい粉状そうか病にもネビジンによる防除が可能です。

2. 根こぶ病

根こぶ病は、アブラナ科の野菜の根にこぶができる病気です。土の中に生存する根こぶ病菌が原因で引き起こされます。土の中に休眠胞子の形で待ち構えている根こぶ病菌が作物の根から感染し発症します。根こぶ病菌は土中で10年もの間休眠状態で待ち構えているので、作物を植える前に土壌を殺菌する必要があります。

症状は日中に葉や茎がしおれ、夕方になると元に戻ります。このとき根を抜いてみると、根に大きなこぶができています。こぶが根からの水分、栄養分の吸収阻害になり、生育が止まり株が枯れてしまうため注意が必要です。

多湿の環境や水はけの悪い土壌では、より発生しやすくなります。発生してしまった場合、感染した作物の残渣を畑の土と混ぜ合わせないで、畑の外に持ち出して処分することが大切です。

ネビジンの特徴

長所

  • 長く土の中に休眠状態で生存している病原菌に対して、使い続けているとより安定した防除効果を発揮する。
  • アブラナ科の幅広い作物に登録があるため、多くの作物に使える。
  • 散布後すぐに植え付けができるので、次の作業にスムーズに移行できる。

短所

  • 薬剤や散布機などのコストがかかる。
  • 休眠胞子の発芽の阻害、胞子の放出を防ぐタイプの薬剤で、病原体胞子の密度は減少しないので注意が必要になる。

ネビジンその他情報

使用上の注意点

  • 散布後は散布箇所をよく耕うんし、土と混ぜ合わせた後に播種、植え付けをおこないます。
  • 1回の栽培において、使用できる回数が決まっているので注意が必要になります。また、同じ成分の農薬 (フルスルファミド) では総使用回数が決まっているので、他の農薬使用回数にも注意が必要です。
  • 有効年限が製造から5年となっているので、有効年限以内に使い切る必要があります。
  • 散布時は手袋やマスクなどを着用し、目や鼻、肌に直接かからないよう注意が必要です。また、粉剤タイプのネビジンは風があると、舞い上がる可能性が高いのでより気を付けて散布することが大切です。

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