オーバーシューズとは
オーバーシューズは、靴の保護や汚れ防止のため通常履いている靴の上に重ねて履くシューズです。シューズカバーと呼ばれることもあり、使い捨てのタイプやスリッパ型、ブーツ型のシューズなど形状はいろいろあります。
オーバーシューズは、大きく分けてトレッキングなどの防水、防寒用途と、クリーンルームやなどの汚れ飛散防止用途があります。一般用に雨の日に履くためのオーバーシューズも販売されています。
最近では、医療現場での感染防止用としても需要が増えています。
オーバーシューズの使用用途
オーバーシューズは、トレッキング等でよく利用されます。靴の上に重ねて履くことで防寒や防水効果を高めることができます。ゴム製のオーバーシューズは、縫い目がないので、穴が開かない限り防水効果を維持することができます。
また、クリーンルームや医療現場などほこりや汚れを持ち込まないよう配慮が必要な場所では、オーバーシューズを利用することで、汚れを抑えることができます。アスベストや環境汚染が懸念される場所では使い捨てのタイプが活用されています。
オーバーシューズの原理
使い捨てでないトレッキングタイプでは、ブーツ状が多く、床材に耐摩耗性が強い素材が使用されています。スノーシューに取り付けることも可能です。スリッパタイプでは靴の上からすっぽり入るくらい大きめのサイズが多いです。
使い捨てタイプでは、材質は不織布や塩ビ、プラスチックがあります。それぞれ太ももまで覆うタイプもありますがくるぶし程度の高さを覆う製品が多いです。一般に滑りやすいので底面に滑り止めの加工がしてある製品もあります。
不織布製は、通気性がよく、静電気防止機能がついている場合が多いです。若干滑りやすいです。履き口はゴム製で締め付けがほどよくなっています。
プラスチック製は一般には密閉性が高く、滑り抵抗は悪く、履き口はゴム製が多いです。材質にポリエチレン透湿性フィルム等が使用されている通気性が良い製品もあります。また、PVCのコーティングが施されていて防水性の高い製品もあります。
靴を履いたまま移動ができるので除染作業や工場見学、説明会、食品加工工場などの出入り等に利用されています。
安全靴に適したオーバーシューズの選び方
安全靴とは、工場や工事現場などで働く方が履いている靴のことを指しています。日本工業規格(JIS規格)によれば「主として着用者のつま先を先芯によって防護し、滑り止めを備える靴」と定義されています。工場や工事現場などでは重量物や危険な器具を扱うため常に労災の恐れがあります。安全靴は、爪先に鉄板などの硬い部材が組み込み、靴底を滑らないように加工することで、資材落下や作業ミスによって足をケガすることを防いでいるのです。また多くの場合、静電気を除去するような素材を使用しています。
工場などでは、衛生面や防水を考慮して安全靴のうえからオーバーシューズを履いて作業を行うことがあります。ここでのオーバーシューズを選択するポイントは「静電」です。
プリンターのトナーのような微粉体を扱うような場所でオーバーシューズを履くことを例に考えます。非常に細かい微粉体は往々にして可燃性の物質です。そしてそれが充満しているような場所(充填工程など)でもしも静電気などの放電があった場合、微粉体に引火して粉じん爆発を引き起こす可能性があるのです。これは微粉体だけではなく、液体や気体を扱っている場合も同様の現象が発生する可能性があります。このように、オーバーシューズを選ぶ際に静電気を発生させてしまう恐れのある素材(布など)を選ばないように気をつけましょう。
靴のまま履けるスリッパタイプのオーバーシューズ
工場見学や視察など普段現場に出向かない方向けに、最近ではスリッパタイプのオーバーシューズが販売されています。ビニール素材タイプの製品が多く、中敷や靴底も工夫されており、靴を履いたまま着用しても滑りにくいようになっています。素足で履くスリッパに比べて、全長・幅・高さ共に大きめに作られており、靴を履いたままでも無理なく着用することができます。
靴を履き替えることで効率が著しく低下する運搬・物流作業において、内履きのまま外履き(スリッパタイプのオーバーシューズ)を履くことができるこの製品を活用しているところもあります。
参考文献
https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1129615
静電気による爆発とその防止対策 児玉 勉