ELISA

ELISAとは

ELISA

ELISAは、液体溶液中に存在する抗原、抗体といったタンパク質の定性、定量分析を行う方法です。測定対象の抗原、抗体の特異的結合能が合致する抗原、抗体をプレート上に準備し結合させて、最終的には酵素や色素と反応させて吸光スペクトルを測定することにより分析を行います。ELISAはEnzyme-Linked Immuno Sorbent Assayの省略で、免疫学的測定方法の一種です。ELISAは抗原、抗体の特異性を利用しており、定性、定量のどちらにおいても精度のよい方法です。

ELISAは市販キットも販売されていますので、抗原や、抗体を主に定量的に分析する方法として広く利用されています。一般的にELISAキットは温度管理が重要になりますので、保管している冷蔵庫の場所によって温度が極端に異なったり、冷えすぎて凍結などしないように注意が必要です。

ELISA法は方法によっては定量分析を行うまでにステップが多くなる場合がありますが、最近は全自動の測定装置が開発され、分析にかかる時間が短縮されてきています。

ELISAの使用用途

ELISAは、バイオテクノロジーの分野での分析に多く活用されています。例えば、血漿、血清といった血液中の抗原、抗体の分析があげられます。血液を採取して、自己抗体の数値をELISAで測定することにより、病気の診断を行ったり、ワクチン接種による抗体価を調べることができます。そのため、病院で行われる血液検査の分析にELISAは広く利用されており、最近でも研究によってELISAで特定される病気が増えています。

また、食物に含まれるアレルギー物質の有無や、対象者の血液を採取して食物アレルギーの有無を判定したりすることもできます。

コロナウイルスの抗原、抗体の検査としてDNAを利用したPCR法が有名になりましたが、ELISAによる分析もキット等で販売されています。

ELISAの原理

ELISAは抗原抗体反応を利用して分析を行っています。

まず測定対象の抗原と、その抗原と特異性を持つ抗体を結合させます。結合した抗体を検出するために、特定の酵素を標識とした抗体をさらに結合させます。

抗原、抗体、酵素と結合した測定対象物質を、さらに酵素と反応して色調が変化する基質と混合します。すると、測定対象物質の量に応じて色調が変化しますので、吸光光度測定器により吸収スペクトルを測定して定量、定性分析を行います。

ELISAを含め免疫学的測定方法ではIgG抗体がよく利用されています。

ELISAの方法

ELISAにはいくつかの方法があり、さまざまな種類のキットが販売されています。最もシンプルな直接法を紹介します。測定の基本的な流れは他とあまり変わりません。

まず、マイクロプレート上に測定対象の物質と結合する抗体を吸着させておきます。

液体試料を、分注ピペットを利用してマイクロプレート上に規定の量を添加します。インキュベーターで温度を管理し、液体試料中に含まれる抗原や抗体と、マイクロプレート上の抗原、抗体が反応し結合するように待ちます。また、余分な抗体は洗い流します。

結合した抗体をさらに特定の酵素と反応させます。酵素活性を検出するため、酵素と結合すると吸収スペクトルが異なる基質を加えて、反応後の吸収スペクトルを測定し、分析します。基質には西洋わさび由来のペルオキシダーゼ(HRP)を利用して、発色させることが多いです。HRPを利用する際、阻害剤になるアジ化ナトリウムなどが混入しないようこれらがコーティングされている採血管などを使用しないようにする注意が必要です。

最後に、吸光光度測定器を用いて吸収スペクトルを測定し分析します。

ELISAの装置

ELISAは、対象の測定物質によって精度よく分析するために多くのステップが必要になる場合が多く、そのたびに分注したり、洗浄したりといった作業を繰り返します。また、ピペッターやマイクロプレート、インキュベーター、吸光度測定器などが必要になります。

最近では、分注するピペッターから吸光分析までの役割を一台で可能にする装置が開発されています。人の手を介するなく全自動で測定ができることで誤差を減らし、時間と手間を削減することができます。

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