アシストスーツとは
アシストスーツとは重量物の運搬や、歩行運動など日常的な動作で体に加わる負担を軽減するための装置です。モーターや油圧などのアクチュエータを含む装置や空気圧で動作する電源不要のアシストスーツなどが販売されており、作業内容に応じて適切なものを選定することで最大限の効果を発揮することができます。
アシストスーツは農業や製造業、介護など様々な業界で使用されています。特に最近では高齢者、女性が製造業でも活躍する機会が増えており、アシストスーツなどで重量物の運搬といった作業における体の負担を軽減させるニーズが高まっています。
アシストスーツの構造と効果
アシストスーツはモーターや油圧などアクチュエータを備えた外骨格型の装置で、人の脚や腕に取り付けることで動作を補助するための装置です。センサーも取り付けられたアシストスーツもあり、筋肉の動きや硬さの変化を元に人の体の動きを検知して運動をサポートします。
モーターなどの電動部品を使用していないアシストスーツも開発されており、電池や電源不要で用いることが可能です。このようなアシストスーツは人間工学に基づいて設計されており、日常生活で行われる運動で腰に加わる負担を軽減させられ、着脱が容易な上に作業服やハーネスと一緒に身につけることができます。その他、電力不要のアシストスーツとしては空気圧を用いた人工筋肉の力で動作するものも販売されています。
なお、アシストスーツの効果を最大限発揮するためには適切なサイズのものを選定するとともに、適切に装着することが必要です。そのため、アシストスーツの導入目的や具体的な作業内容、作業者の体格などを考慮して事前にテストを行うことが推奨されます。
アシストスーツの用途
アシストスーツは軽量で強度が大きい素材の開発やセンサー、モーターの小型化などの技術の進歩とともに幅広い業界で用いられています。例えば農業や物流、建設や製造現場など日常的に運搬作業、中腰での作業を行う業界で使われています。
その他、高齢者の歩行支援など運動機能の支援にもアシストスーツが使われています。また、高齢者の介護を行う方々向けのアシストスーツも開発されています。例えば高齢者がベッドから車いすに移動するときや、入浴のときなどの介助における腰の負担をアシストスーツによって軽減させることができます。
また最近では東京オリンピック・パラリンピックのスタッフの作業でもアシストスーツが使われていました。例えばパワーリフティングの重りの交換など、スタッフ作業でも重量物の運搬が必要となります。そのような作業においてアシストスーツを用いることでスタッフの負担を軽減させていました。
農業におけるアシストスーツ
農業では収穫作業や仕分け作業などで長時間の中腰姿勢が続いたり、しゃがんだ姿勢が続いたりするため、腰に負担が掛かりがちです。しかも収穫物の運搬作業や農具の運搬などで重量物を持ち運ぶ作業もあります。
農業従事者は高齢者や女性の方々も多いため、アシストスーツを用いることで就労における負担を小さくしたり、作業時間の短縮を行うことのニーズは高いです。実際に様々なサイズのアシストスーツが販売されており、高齢者や女性も使うことが可能です。また収穫物のコンテナやダンボール運搬用のオプションも販売されています。
製造業におけるアシストスーツ
製造業における労働災害の主な要因の一つが腰痛です。製造業の労働災害全体のなかでも約4割が腰痛であり、中腰での作業や重量物の運搬が日常的に行われる製造業においては腰痛への対策が必要です。とりわけ最近では製造業においても高齢の熟練労働者が働くことが増えており、腰痛が生じるリスクが高くなっています。
最近では腰痛対策、労働の負荷軽減としてアシストスーツを導入している企業も増えています。とりわけ製造業における働き方改革が進められており、女性や高齢者の方々も現場で働くことが増えていくと考えられるため、アシストスーツを活用した負担軽減への要求はますます増えると予想されます。