STK400とは
STK400とは、JIS (日本産業規格) によって規定されている一般構造用炭素鋼鋼管の一種です。
STKは、Steel (鋼) 、Tube (管) 、Kozo (構造) の頭文字を取ったものであり、400は最小引張強さ (MPa) を表しています。STK400は最低限引張強さが400 MPa以上の炭素鋼鋼管のことです。一般構造用炭素鋼鋼管には、STK290、STK400、STK490、STK500、STK540の5種類があり、JISによって規定された引張強さや許容応力などに基づいて分類されます。
STK400の使用用途
1. 建築物や橋の骨組み部材
STK400は、建築物や橋などの骨組み部材として広く使用されています。具体的には、柱や梁などの主要な構造材料として使用されます。
2. 配管
STK400は、建築物のエアコンの室外機や排水管などの配管にも使用されます。またSTK400は、建築物の駐車場や倉庫などの天井裏などに配管される空調や電気設備の配管にも使用されます。
3. 信号機などの支柱
道路構造物の信号機や街灯のポールなどの支柱には、剛性が必要であるため、STK400の強度特性が有利に働きます。
4. 建築物や構造物の部品
建築物や構造物の手すりや階段の手摺などの部品には、美観性や耐久性が必要であるため、STK400が使用されることがあります。
5. 海洋構造物の建設
STK400は、例えば海上風力発電所の支柱や、漁港の船着き場の基礎部分などに使用されます。海洋構造物の場合、塩水に対する耐食性が重要であるためSTK400は有利です。
6. 鉄道橋の橋脚部分の鉄骨構造
鉄道橋は、軌道上の列車の重量に加え、自然災害などの外部要因によって負荷がかかるため、強度が求められます。
7. コンベアーの構造材料
大型物流施設の荷役用コンベアーの構造材料として、STK400が使用されることがあります。この用途では、剛性と耐久性が重要です。
STK400の性質
1. 化学組成
- 炭素 (C) : 0.25%以下
- リン (P) : 0.040%以下
- 硫黄 (S) : 0.035%以下
2. 強度
STK400は一般構造用炭素鋼鋼管の中でも比較的強度が高く、引張強さが400MPa以上です。よって建築物や橋の柱や梁、道路構造物の信号機や街灯のポールなどの支柱など、耐荷重性が求められる部分に使用されます。
3. 焼き入れ性
STK400は、焼き入れ性に優れています。焼き入れ性とは、鋼材を加熱して急冷却することで硬さを向上させることができる性質のことです。
STK400の炭素含有量は比較的低いため、焼き入れ時に生じる歪みや変形が少なく高い加工性を持っています。また、硬度を調整できるため使用目的に応じて硬度を変化させることも可能です。
4. 耐久性
STK400は耐久性に優れていて、塗装やコーティング処理を施すことで耐食性も高められる鋼管です。そのため建築物や構造物の配管、エアコンの室外機など、耐久性が求められる部分に使用されます。
5. コスト
STK400はコスト面での優位性があります。一般的な構造用鋼材に比べて価格が安く使用用途が幅広いため、建築分野や土木工学分野などで広く使用されています。
6. 溶接性
STK400は溶接性に優れています。構造用鋼材として使用される場合、接合部を溶接できることが重要です。溶接性とは、金属同士を加熱して溶かし、互いに接合することができる性質のことです。
7. 軽量化
STK400は軽量でかつ靭性があります。そのため建築物や構造物を軽量化でき、地震などの自然災害に対する耐震性にも優れています。
8. 加工性
STK400は加工性が良いため、様々な形状に加工できます。よって建築物や構造物の部品や機械部品など多くの用途で使用されています。
9. 製造が容易
STK400は製造が比較的容易であるため、大量生産が可能です。建築物や構造物の大量生産に適していて、コスト面でも優位性があります。
STK400のその他情報
表面処理について
STK400は、鋼鉄の一種であるため、表面が空気中の酸素や湿気と反応して錆びる性質があります。特に、外部環境に長期間さらされる場合は、錆びやすくなります。よってSTK400を使用する場合には、表面に塗装や防錆処理が必要です。
塗装には、塗料を塗布する方法が一般的です。塗料には、耐候性や耐腐食性に優れたものがあり、長期間にわたって錆びや腐食から鋼材を守れるのが特徴です。また防錆処理には、表面にコーティングを施す方法があります。コーティングには、亜鉛めっきや有機皮膜コーティングなどがあり、STK400の表面にコーティングを施すことで、錆びや腐食から鋼材を保護できます。
表面の錆びは、鋼材の強度や耐久性に影響を与えることには注意が必要です。特に、構造用鋼材を使用する場合には、錆びによる強度低下が懸念されるため、適切な塗装や防錆処理が重要になります。また、錆びた表面を塗装する場合は、錆びを除去するための下処理が必要になる場合があります。
塗装とは、一般的に有機溶剤を基材とした塗料を用いて表面に膜を形成する方法です。コーティングとは、金属、セラミックス、樹脂、ガラスなどの素材を使用して、表面にコーティング膜を形成する方法です。