スリーブはんだ付け装置

スリーブはんだ付け装置とは

スリーブはんだ付け装置とは、スリーブを使用してはんだを接合する装置です。

一般的なはんだ付け作業では高温のコテ先がはんだに触れて接合します。ただし、はんだ内部のフラックスが急激に沸騰し、周囲に飛散してしまう現象が発生する場合があります。フラックスが周囲に飛び散ると電子回路のショートや接点不良の原因となります。

スリーブはんだ付け装置は円筒状のスリーブではんだを加熱する仕組みです。筒の中は密閉状態となるため、通常のはんだ付けで問題となるフラックスの飛散が起こりません。また、コテ先が円筒形であるため、周囲の部品との接触を避けながら、ピンポイントではんだ付けができます。これにより、従来の手法では難しかった狭小スペースや、汚れを極端に嫌う精密部品への高品質な接合が可能です。

スリーブはんだ付け装置の使用用途

スリーブはんだ付け装置は以下のような用途で使用します。

1. 電子機器

近年のスマートフォンや小型ウェアラブル機器の基板は、部品同士の間隔が髪の毛ほどの隙間しかない場合も珍しくありません。通常のコテでは、隣接する部品に触れて熱損傷を与えたり、意図しない箇所にはんだが付着するリスクがあります。スリーブはんだ付け装置は周囲の部品に干渉することなく、狙った一点だけを接合できます。

2. 光学装置・センサー

車載カメラのレンズ周辺や医療用センサーなど、わずかな汚れも許されない製品の製造にも有用です。これらの製品でははんだに含まれるフラックスが飛散すると、レンズやセンサー表面に付着し、製品の性能を著しく低下させる原因となります。スリーブはんだ付け装置によってフラックスの飛散を防止できるため、良品率を向上できます。

3. 産業機器

パワーデバイスなどの産業機器では、分厚い多層基板が用いられることが多くあります。これらの機器では熱が逃げやすい設計となっているため、はんだ付けの際は確実に加熱する必要があります。スリーブはんだ付け装置は円筒の先端面全体で接合部を強く押さえて熱を伝えるため、これらの基板にも効率よく温度を伝達できます。