バラン

バランとは

バランとはBalunとつづり、Balanced-to-unbalancedの頭文字をとり、合成した単語を意味します。すなわち、平衡信号(Balance)と不平衡信号(Unbalance)の交互の変換を行うデバイスです。

また、信号変換のみならず、トランスによるインピーダンス変換も同時に行う場合もあり、アンテナの接続箇所や高周波数向け差動アンプなどのMMICの半導体チップ上に形成する整合回路向けなどに活用されています。

バランの使用用途

一般的な用途には、テレビや無線通信システムにおける高周波信号の出力からアンテナ部への信号変換を行う箇所に良く用いられ、特性インピーダンスを1:1もしくは1:4に変換するタイプがしばしば用いられます。例えば前者は、75オーム同士、後者は、50オームから200オームへの変換用などです。

バランの形態には、主に低温焼成セラミック(LTCC)基板などを用いた小型の面実装部品タイプやトロイダルコアを用いた巻き線タイプがあります。

バランの原理

バランは、前述のように平衡信号と不平衡信号の交互の変換を行うデバイスです。平衡(差動、Differential)信号では、正(プラス)側と負(マイナス)側で、その位相が180度シフトしており、往復の信号のペアは、対称になり、打ち消しあうのが特徴です。つまりコモンモードノイズを抑制可能な回路であるともいえます。それに対して、不平衡信号は、例えば片方がGNDで、往復の信号は明確に区別されている伝搬モードを意味します。

バランには電圧型バランと電流型バランの2種類があります。
電圧型バランの場合、平衡信号端子側のインダクタの中点に不平衡信号のGND端子が接続される構成となり、対のインダクタが逆向きの起電圧を起こし、平衡電圧を生成します。

電流型バランでは、例えばアンテナと同軸ケーブルとの間で直列にコイルを挿入します。中心導体側に不平衡回路の信号源から行きの電流が流れ、それに対向するコイルの方に、この電流を打ち消そうとする逆電流が流れます。これが原理であり、電柱型バランの場合は、コモンモードチョークコイルと回路記号は同じです。

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