ステンレス集塵機

ステンレス集塵機とは

ステンレス集塵機とは、本体や内部の部品に耐食性や衛生面に優れたステンレス鋼を使用した集塵装置です。

空気中に浮遊する粉塵やヒュームなどの微粒子を分離・捕集する基本機能は、一般的な集塵機と同様です。しかし、その材質にステンレス鋼 (主にSUS304や、より耐食性の高いSUS316など) を採用している点が最大の特徴となります。この材質特性により、一般的な鋼板製の集塵機と比較して錆びにくく、腐食性ガスや湿気の多い環境でも高い耐久性を発揮します。

また、表面が滑らかで緻密なため、粉塵が付着しにくく洗浄が容易であることも重要な利点です。この高い清浄性は、異物混入を厳格に管理する現場において、品質維持に不可欠です。

ステンレス集塵機の使用用途

ステンレス集塵機の主な使用用途を以下に示します。

1. 食品・医薬品分野

食品・医薬品・化粧品などの業界では、製品の品質と安全性を確保するため、製造工程における衛生管理が極めて重要です。

これらの現場では、原料の投入・混合・充填工程などで発生する粉末 (小麦粉・砂糖・医薬品原薬・顔料など) を飛散させずに捕集するため、ステンレス集塵機が導入されます。表面が滑らかで洗浄が容易なステンレス製であるため、付着した粉塵を容易に除去でき、製品間の交差汚染 (コンタミネーション)を防ぎます。GMP (医薬品の製造管理及び品質管理の基準) やHACCP (食品衛生管理システム) などの厳格な基準に対応するためにも、そのサニタリー性は不可欠です。

2. 化学・電子部品分野

化学プラントや電子部品・半導体工場、二次電池の製造ラインなど、腐食性のガスや化学薬品の蒸気が発生する環境でもステンレス集塵機は重宝されます。

例えば、酸やアルカリを含むミストや各種溶剤の蒸気が発生する工程において、一般的な鋼板製の装置では腐食が早期に進行し、性能低下や故障の原因となります。そのため、耐薬品性に優れたステンレス鋼を用いることで、装置の長寿命化と安定稼働を実現します。特に、リチウムイオン電池の材料を扱うドライルームのように、水分との反応を厳密に避ける必要がある環境では、発錆リスクが極めて低いステンレス製が選択されます。

3. 金属・窯業分野

鋳造工場で発生する高温の粉塵や、窯業、湿式研磨工程のように水分を多く含む粉塵を扱う現場でも、ステンレス集塵機はその能力を発揮します。

高温の排ガスが装置内で冷却される際や、湿った粉塵を吸引する際には結露が発生しやすく、鋼板製では錆の原因となります。一方、ステンレス製であれば、このような多湿環境でも錆の発生を大幅に抑制できるため、メンテナンス負荷の軽減と装置の耐久性向上に貢献します。